オズワルドの裁定

シュウ

第12話 メイナードの呵責【後編】(脚本)

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〇水の中
キース・フォスター(地底湖・・・!?)
キース・フォスター(だが、これなら──)
霧生華清(きりゅうかせい)「がぼ・・・た、す・・・ぇ・・・!」
キース・フォスター(しまった!)
キース・フォスター(先生!)

〇洞窟の深部
霧生華清(きりゅうかせい)「げほっ! げほっ!」
キース・フォスター「先生! 無事か!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい」
霧生華清(きりゅうかせい)「手間をかけて申し訳ありません」
キース・フォスター「いや、無事で何よりだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「身体が不自由なばかりに、キースさんに 負担を・・・!」
キース・フォスター「いや」
キース・フォスター「判断が遅れた俺の落ち度だよ」
キース・フォスター「危うく、先生まで失うところだった」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさんは何も悪くありません!」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「これは俺たち二人の責任だ」
キース・フォスター「だからもう、謝らないでほしい」
キース・フォスター「俺たちは二人だ」
キース・フォスター「足りないものは補い合えばいい」
キース・フォスター「さっき手を伸ばしてくれたみたいにね」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい」
キース・フォスター「【メイナード】か」
霧生華清(きりゅうかせい)「崩れる前に脱出しなければ!」
キース・フォスター「いや──」
霧生華清(きりゅうかせい)「こ、これは──!?」
キース・フォスター「誘いには乗らないとね」

〇秘密基地の中枢
霧生華清(きりゅうかせい)「既に遺物が起動しています」
キース・フォスター「ということは、これが──」
  永久運動機関【メイナード】
  如何なる状況にも稼働せん
霧生華清(きりゅうかせい)「周囲の元素を取り込むことで」
霧生華清(きりゅうかせい)「半永久的に稼働できる救助用機械のようです」
キース・フォスター「救助用の機械が人の命を脅かすなんて皮肉だな」
キース・フォスター「止められるかい?」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】、停止してください」
【メイナード】「接続ヲ 確立デキマセン」
キース・フォスター「離れていちゃ止められない、か」
キース・フォスター「強制帰還させる方法は?」
霧生華清(きりゅうかせい)「それは──」
キース・フォスター「探す手間が省けたね」
ケイレブ・スペンサー中将「生きておったか」
ケイレブ・スペンサー中将「しぶといハエ虫め」
キース・フォスター「地の底まで追ってくるなんて」
キース・フォスター「しつこい男は嫌われるぜ?」
ケイレブ・スペンサー中将「それは光栄だ」
ケイレブ・スペンサー中将「私を嫌う連中にはご退場願おう」
キース・フォスター「くっ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん、動かないでください」
キース・フォスター「何?」
【メイナード】「エラー」
【メイナード】「生体反応アリ」
【メイナード】「武器ヲ ロック シマス」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】に人を傷つける動きは できません」
キース・フォスター「ヘタに動けば逆に危ないってワケか」
霧生華清(きりゅうかせい)「【メイナード】、機能停止してください」
【メイナード】「マニュアルモード ニテ 駆動中デス」
【メイナード】「停止デキマセン」
霧生華清(きりゅうかせい)「セーフティがかかっているようです」
キース・フォスター「それじゃあパイロットにご退室願おうか」
キース・フォスター「先生、行けるか?」
霧生華清(きりゅうかせい)「無論」
ケイレブ・スペンサー中将「操縦席(ここ)に乗り込むつもりか?」
ケイレブ・スペンサー中将「捕まえればいいだけのこと」
【メイナード】「エラー」
ケイレブ・スペンサー中将「何?」
キース・フォスター「ヘタに動けば民間人が傷ついちまうぜ?」
ケイレブ・スペンサー中将「自ら足元に近付くとは小癪な!」
霧生華清(きりゅうかせい)「出てきてください」
霧生華清(きりゅうかせい)「上(ここ)に立たれては【メイナード】も 使えないでしょう?」
ケイレブ・スペンサー中将「片腕で向かってくるとは私も舐められたものだな」
霧生華清(きりゅうかせい)「不利であることは理解しています」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですが、不用意に人々の不安を煽り」
霧生華清(きりゅうかせい)「あまつさえ銃口を向ける行為を見過ごせません」
ケイレブ・スペンサー中将「蛮国の人間には理解できまい」
ケイレブ・スペンサー中将「これは兵器だ」
ケイレブ・スペンサー中将「使わずして何とする?」
霧生華清(きりゅうかせい)「遺物は・・・先人たちが築き上げた技術は」
霧生華清(きりゅうかせい)「人の生活を豊かにする代物でした」
霧生華清(きりゅうかせい)「その遺志を兵器として扱った時点で」
霧生華清(きりゅうかせい)「貴方の程度は知れています」
ケイレブ・スペンサー中将「文明とは『力』だ」
ケイレブ・スペンサー中将「貴様のように力の使い方を理解せず」
ケイレブ・スペンサー中将「現実を見ない者のことを何と呼ぶ?」
ケイレブ・スペンサー中将「『足手まとい』と言うのだ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「『足手まとい』でも戦える」
霧生華清(きりゅうかせい)「貴方は強い」
霧生華清(きりゅうかせい)「でも、一人で戦っているつもりなら」
霧生華清(きりゅうかせい)「弱い者二人には勝てない」

〇秘密基地の中枢
【メイナード】「【メイナード】、機能停止シマス」
キース・フォスター「こいつは返してもらうよ」
ケイレブ・スペンサー中将「まだだ・・・!」
ケイレブ・スペンサー中将「【メイナード】! 起動しろ!」
キース・フォスター「あいつ、先生の腕を道具みたいに!」
【メイナード】「再起動デキマセン」
【メイナード】「アクセスコード ヲ 入力シテクダサイ」
ケイレブ・スペンサー中将「何!?」
キース・フォスター(『アクセスコード』)
キース・フォスター(確か【ウィルフレッド】を再起動しようと した時にも・・・)
霧生華清(きりゅうかせい)「大人しくしてください」
キース・フォスター「先生」
霧生華清(きりゅうかせい)「気絶させただけです」
キース・フォスター「そうか、安心した」
キース・フォスター「敵とは言え、命まで奪いたくないからね」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん、『アクセスコード』とは?」
キース・フォスター「遺物を再起動させるために必要らしいが」
キース・フォスター「先生は【ケイラ】を再起動したんだろう?」
キース・フォスター「こいつを分離するために」
霧生華清(きりゅうかせい)「アクセスコードを求められた記憶はないですが」
キース・フォスター「もしかすると」
キース・フォスター「【メイナード】、起動してくれ」
【メイナード】「『アクセスキー』ヲ 認識シマシタ」
【メイナード】「【メイナード】、起動シマス」
霧生華清(きりゅうかせい)「これは・・・!」
キース・フォスター「やはり、こいつも──」
???「そう、『鍵』なのよ」
キース・フォスター「誰だ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「伏せて!」
キース・フォスター「先生!」
霧生華清(きりゅうかせい)「致命傷では・・・ありません」
アメリア・コールマン「あら、身を挺して守るなんて誠実なナイト様ね」
キース・フォスター「あんたは・・・!」
アメリア・コールマン「ねぇ、大人しくそれを渡してくれる?」
キース・フォスター「そうか・・・やっぱりな」
キース・フォスター「──アドルフの差し金だな?」
霧生華清(きりゅうかせい)「え?」
キース・フォスター「俺たちはずっと、見張られていたんだ」

〇砂漠の基地
  スージァにいた時も

〇中東の街
  シャッフルにいた時も

〇市場
  トゥゾーリにいた時だって、な

〇秘密基地の中枢
霧生華清(きりゅうかせい)「アドルフさんが、そんな・・・」
アメリア・コールマン「フフ、どうかしら?」
アメリア・コールマン「ごめんなさいね、守秘義務があるの」
キース・フォスター「マズい、先生の傷が・・・」
アメリア・コールマン「動かないでちょうだい」
アメリア・コールマン「私、言われてるのよ」
アメリア・コールマン「──もう殺していい、って」
霧生華清(きりゅうかせい)「ア、アドルフさん・・・」
霧生華清(きりゅうかせい)「話が、違うじゃないですか・・・!」
キース・フォスター「先生!」
アメリア・コールマン「さあ、どうする?」
キース・フォスター「殺していい、か」
キース・フォスター「上等だね」
アメリア・コールマン「は・・・」
アメリア・コールマン「はああああああっ!?」
アメリア・コールマン「貴方、自分が何をしたかわかっているの!?」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「ゴチソサマデシタ」
アメリア・コールマン「意味わからない!」
キース・フォスター「どうした?」
キース・フォスター「さっさと撃って取り出せばいい」
キース・フォスター「許可なら出ているんだろう?」
アメリア・コールマン「くっ・・・!」
キース・フォスター「思ったとおりだ」
キース・フォスター「あんたは人を殺せない」
キース・フォスター「ケチな盗人だよ」
アメリア・コールマン「甘く見ないでちょうだい!」
キース・フォスター「虚勢を張らないほうがいい」
キース・フォスター「あんたは俺を殺せなくとも──」
キース・フォスター「俺はあんたを──殺せる」
アメリア・コールマン「そ、そんなことすれば引き返せなくなるわよ?」
キース・フォスター「『汝は進まん 未知の旅路を』」
キース・フォスター「そういう試練だったはずだ」
キース・フォスター「あんたには覚悟が足りないのさ」
アメリア・コールマン「わ、私は・・・」
キース・フォスター「家に帰りな、子猫ちゃん」
キース・フォスター「寂しくなったら遊んでやるよ」
アメリア・コールマン「わ、私は──!」

次のエピソード:第13話 アイゼイヤの虚実

コメント

  • キリューとケイレブ。二人が信じる生き方、互いの意見がぶつけながらの戦闘シーン。否応なしに盛り上がるー😤
    絶対絶命からの状態から機転を効かせ覚悟の差を見せたキースにも拍手!役者が違いますね!やっぱ冒険小説はこうでなくちゃいけませんね😉

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