Transcendence

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〇電車の中
リーマン(はぁ、時間を無駄にした)
リーマン(普段、通勤時間中は営業先の担当の方と話し合わせるためにスポーツとか政治についてニュースアプリを読み漁るけど)
リーマン(ふと渋谷の交差点の大型ビジョンとここ東急線のビジョンに一駅Novelコンテストの最優秀作品か何か知らんが)
リーマン(めちゃめちゃ宣伝してたから魔が差して読んでみたら後悔しかない・・・・・・)
リーマン(ありふれた設定にありきたりな展開、最後のオチもモヤモヤするし)
リーマン(こんなのが選ばれるなら俺の方がもっと面白いの書いて脱サラしてやるのに・・・・・・)
リーマン(まあ愚痴を言ったって時間は戻ってこないし1分1秒ともったいない。とにかく情報をインプットして・・・・・・)
リーマン(ん?隣の人もこのクソラノベ読んでいるのか)
リーマン(って、あれっ。めっちゃかわいい!! こんな朝に私服ということは女子大学生か!?)
リーマン(ヤバい。声かけてこの小説について語りたい)
リーマン(この話主人公のモノローグが隠キャぽくて痛いとか。こんなヒロイン存在するんですかねとか)
リーマン(あと最後のオチとかの感想も聞いてみたい)
リーマン(そしてできれば仲良くなりたい)
リーマン(んー、でもこの沈黙を破って声をかける・・・・・・・・・・・・)
リーマン(無理無理無理無理)
リーマン(こんな朝早くに知らない男から声かけられるって状況はヤバい)
リーマン(さらに他人のスマホを盗み見しているのもなかなか犯罪ポイントが高くて草)
リーマン(まぁ、こんなしがないサラリーマンに青春ときめくラブコメは未来永劫来るはずないんだよなぁー)

〇電車の中
パパ活(まさか隣の人もタップノベルを読んでいるなんて)
パパ活(この作品いろいろツッコミどころが多いところを共有したい)
パパ活(話自体はそこまで普通なんだけどキャラに全振りしてるから、いろいろ物申したい。あと最後のオチ結局何なの)
パパ活(喋りたい。でもいきなり電車内で見知らぬ女性に何も脈絡もなく話しかけるのはヤバい人と思われるし)
パパ活(第一お互い偶然この車両に乗り合わせただけの乗客)
パパ活(特にこの人だけに感想を伝える義理もない。駅降りたら級友と語ればいいだけだし・・・・・・)
パパ活(んー、ただこの人が身に付けてる腕時計がこの前鶯谷で一緒に寝たパパと同じめっちゃ高いやつやん!)
パパ活(たしか鶯谷パパ300万したって言ってたっけ。この人も多分相当金持ちのはず)
パパ活(とりあえず話して気が合えばパパ活コースでいっぱい搾り取ろう♡)
(それじゃあ・・・)
パパ活(相手の視界にスマホの画面が見えるよう絶妙な角度でスマホを傾けてっと・・・)
パパ活(・・・)
パパ活(・・・って全然気づいてない!)
パパ活(まあ仮に気付けたとしても、この電車の中で話しかけるとか無理ゲーよね)
パパ活(かくなる上は)

〇改札口前
リーマン(結局話せないまま終わったな)
リーマン(えっ、この子も降りるの?)
リーマン(この辺りに大学あったっけ?)
リーマン(いやいや、もう会社に着くんだから切り替えていこう)
リーマン(あっ!あの子いまハンカチ落とした!)
リーマン「『すみません、ハンカチ落とされましたよ』」
パパ活「『すみません、ありがとうございます。』」
リーマン「『いえいえ、それでは。』」
パパ活「『あのさっき、タップノベル読んでましたよね』」
リーマン「『えっ』」
パパ活「『いえ、実は電車の中で隣でまじまじとスマホに釘付けになっていたので、いけないことですけどスマホ覗いちゃいました。』」
リーマン「『そんなに見入ってました?変わった作品だったのでつい。』」
パパ活「『分かります。私も読んでて夢中になりましたもん』」
リーマン「『ですよね。いやー本当なら立ち話もなんですからカフェでじっくり語り合いたかったんですけど、この後仕事が。』」
パパ活「『そうですよね。残念です』」
リーマン「『また乗り合わせる機会があれば、ぜひ語りましょう。』」
リーマン「流石に初対面で連絡先聞いたりするのは失礼だし、名残惜しいけど仕事に行くか」
パパ活「『あ、あの。』」
パパ活「『もしよろしけば、LINE聞いてもいいですか』」
リーマン「『へっ!?』」
パパ活「『直接の連絡が無理ならインスタのDMでもいいので、お話し聞きたいです』」
リーマン「『ぜひぜひお願いします!!』」
パパ活「『本当よかった〜。断られたら多分半年くらい寝込んでますよ笑』」
リーマン「『断る理由ないですから!』」
リーマン「『そうだ!今度会うときそのタップノベルに出てたジャン・フランソワ行きません? 実際の渋谷駅の中にあるカフェのやつ』」
パパ活「『あぁ、ありましたね。ヒロインがメロンパンの外側のサクサクした部分だけ先に食べちゃうシーンのやつでしょ笑』」
リーマン「『あのシーンもかわいいよね』」
リーマン「『おっと、もうこんな時間か。 また後で連絡しますね。』」
パパ活「『はい!!』」
  お互い別れた後、胸の中でガッツポーズが止まらなかった

〇大会議室
リーマン「この先の展望を想像するとニヤケが止まらない。多分ずっとニヤケが止まらなかったのだろう、課長に注意された」
課長「『おい、しっかりしろ今から大事な会議あるんだから。』」
リーマン「『分かってますよ』」
課長「『自覚がねぇんだよ。知らんぞ部長に顔指されても』」
リーマン「そう言われてもこの衝動は抑えられないんだから仕方ないでしょ」
「っと言ってる側から部長が来たな」
部長「『えー、すでに耳に入ってると思うが昨今若者が身を売った売春が横行しており収入を多く得ていると。』」
部長「『我々国税局としては正しく納税して国のインフラを支えることが使命である。』」
部長「『よって国会でも時期に売春を取り締まる法律をさらに厳罰化するとの方針だ。』」
部長「『くれぐれも国税局員として金銭の授受がないように』」

コメント

  • 女の子の名前が「パパ活」とドストレートで笑いました😂笑
    メタがあったり、心の中の会話でほぼ物語が進んだり、とても面白かったです!笑
    メロンパンのお話があまりにも気になりすぎます🤦‍♀️笑

  • この作品が参加しているコンテスト自体をネタにするメタ視点の面白さ、表と裏のギャップの面白さ、巡り合わせの面白さ…等、色々な面白さが詰まった作品でした!女性のキャラ名が出た瞬間笑いました 笑
    ヒネリが効いていてよかったです!

  • (笑)いいですね、楽しかったです。なんとなく風刺!?がきいてるような、、、ストーリーがうまく展開されていてとっても楽しい作品でした。

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