バアさんに嫌われましたぴえん(脚本)
〇黒
ジイさんなんか大っ嫌い!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
〇明るいリビング
──遡ること3日前
栗原 宗介「ふぅ。クリスマスにはバアさんにまんまとやられたわい」
栗原 宗介(このまま負けてはいられん! ワシも何かバアさんにドッキリをしよう!)
栗原 宗介(──しかし、こういうのはバアさんが得意で、ワシはカラっきし疎いからのう・・・)
栗原 宗介「そうじゃ!!」
栗原 宗介「みんなに聞けばいいんじゃ」
おじいさんはSNSが得意なナウなシルバーでした。
栗原 宗介「みんな、何かいい案が無いか教えておくれ」
〇SNSの画面
ソウザエモン「【急募】妻をビックリさせる方法 #夫婦 #優しい嘘 #サプライズ」
みゅうみゅ「突然プレゼント渡すとかどうですか?」
ぴんく大好きおじさんだヨ「マジックじゃな!!大体の人間はマジックにビックリするもんじゃヨ」
sayopi「自分のスマホに女からの連絡があってそれを妻に見られるとかは?」
我思う。故に推しあり「寝起きドッキリですよ。定番がなんやかんやで1番良いんです」
〇明るいリビング
栗原 宗介「なるほど、色々とあるんじゃな・・・」
栗原 宗介(つまり、まとめると)
栗原 宗介(”朝、バアさんに知らない女から連絡が来た所を見せ)
栗原 宗介(目の前でマジックをし、そのままプレゼントを渡す”)
栗原 宗介「なんじゃそれは」
栗原 宗介「とりあえず、飲み物でも飲んでゆっくり考えるとするか」
栗原 宗介「──そういえば、バアさん前に・・・」
栗原 宗介「これじゃ」
〇古風な和室
ワシの考えたシナリオはこうじゃ
まず、大きな音でスマホを鳴らす
栗原 宗介「ぐー・・・ぐごぉっ・・・」
栗原 小夜子「全く、朝からうるさいね」
起きないワシの代わりに
スマホを止めようとする。
しかしそこには
知らない女とのやりとり(自作自演)
にバアさんビックリ!
起きたワシと小競り合いになった瞬間
栗原 宗介(後ろにこっそり隠してたプレゼントを渡してドッキリ大成功!!!・・・という流れじゃ)
栗原 宗介(完璧じゃな)
〇古風な和室
──ドッキリ当日
栗原 宗介(ふふふっ、驚いた顔が楽しみじゃわい)
栗原 宗介(もうそろそろでスマホが・・・)
ティンティロン♪ティンティロン♪
栗原 宗介(鳴った!! バアさんは・・・)
栗原 小夜子「何だい、うるさいねぇ・・・ ジイさん、あんたのだよ」
栗原 宗介「ぐぅっ・・・ぐごぉっ・・・」
栗原 小夜子「はぁ、仕方ない」
ティンティ・・・
栗原 小夜子「なっ!?」
栗原 宗介(ふふふっ、ここまで想定通りじゃ! 後はちょっとした小競り合いを・・・)
〇古風な和室
栗原 小夜子「おいコラ起きろジジイっ!!!!!!」
栗原 宗介「えっ!?」
栗原 小夜子「これはどういうつもりだい!?えぇっ!?浮気かっ!? こんな❤️まみれの文が良いってのかい!?」
栗原 小夜子「ネットに写真あげてたんじゃなく、こいつとの好感度上げてたのか!?あぁっ!?」
栗原 宗介(予想以上にブチギレとる!!これは小競り合い所じゃない戦争じゃ!!)
栗原 宗介「バアさんそれは誤解じゃ」
栗原 小夜子「やった人はみんなそう言うんだよ!!!!!!」
栗原 宗介「確かに」
栗原 小夜子「ええぃもう知らないよっ!!!!!!」
栗原 小夜子「ジイさんなんか大っ嫌いっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
〇黒
栗原 宗介「!!」
おじいさんは、仕事で罵詈雑言を浴びて来た時ですら大丈夫だったのに
この時、生まれて初めて言葉を失ったのでした。
栗原 宗介(だい・・・きらい・・・)
〇古風な和室
栗原 宗介(──なんて事じゃ・・・。まさかこんなことになるとは。ワシの考えが甘かった)
栗原 宗介(許してもらえんかも知れんが、ネタバラシとこのプレゼントを渡そう・・・)
栗原 宗介「バアさんや」
栗原 小夜子「あぁっ?」
栗原 宗介「実は、全部ドッキリだったんじゃ。あのやりとりも嘘じゃ。ワシにはバアさんしかいらん」
栗原 宗介「許しておくれ・・・」
栗原 小夜子「・・・」
パチっ
〇古風な和室
栗原 小夜子「ふふっ・・・ あっはっはっはっはっ!!!」
栗原 宗介(急に笑い出してなんじゃ!?)
栗原 小夜子「ふふ・・・はーっ!! まさかあんな顔するとはね」
栗原 宗介(──どういうことじゃ?)
栗原 小夜子「なかなか迫真の演技だったんじゃないかい?」
栗原 宗介「演技・・・?」
栗原 小夜子「実は知ってましたよ、ドッキリだってね」
栗原 宗介「なにっ!?」
栗原 宗介(じゃああの鬼のような怒り方も演技じゃったのか!?何という才能・・・)
おじいさんはどっと冷や汗をかき、
その姿におばあさんはまた笑うのでした
栗原 小夜子「ふふっ」
栗原 小夜子「今日は結婚記念日だからね」
栗原 小夜子「この間の仕返しをするならそこだと思ったんだよ」
栗原 宗介「なるほど。そうじゃったか」
栗原 宗介(何もかもバアさんにはお見通しじゃな。 この人にはほんと敵わんわい)
そう、今日は2人の結婚50年目の記念日でした。
おじいさんは、それのお祝いも兼ねた計画だったのです。
栗原 小夜子「それに、あんたネットで聞いてたでしょ?」
栗原 宗介「何故それを!?」
栗原 小夜子「私もね、あんたにドッキリをしかけたんだよ」
栗原 宗介「いつの間に」
栗原 小夜子「【sayopi】っていたろ?」
栗原 宗介「確か、スマホのドッキリを提案してくれた・・・」
〇SNSの画面
〇古風な和室
栗原 小夜子「あれ、私ですよ」
栗原 宗介「マジかっ!?」
栗原 小夜子「あんたが最近スマホばーっか弄ってるから、ちょっと妬いちゃったのさ」
栗原 宗介「それはすまんかった。これから気をつけよう」
栗原 小夜子「もう良いんですよ。それより、このプレゼント開けても良いかい?」
栗原 宗介「勿論」
栗原 小夜子「指輪・・・?」
栗原 宗介「前に紅茶を淹れてた時に、バアさんが言ってたじゃろ?」
〇明るいリビング
栗原 小夜子「このティーカップも、 もう何年お揃いで使ってるんだろうね」
栗原 小夜子「お揃いが多いのは嬉しいねぇ」
栗原 宗介「──そうじゃな」
〇古風な和室
栗原 宗介「それを聞いて思ったんじゃ。 もう一つ、お揃いを増やそうと」
栗原 宗介「──もう一度、プロポーズさせて貰えんか?」
栗原 小夜子「えっ?」
栗原 小夜子「──はい」
栗原 宗介「出会って50年経つが、まだまだバアさんが大好きじゃし、これからも一緒にいて欲しい」
栗原 宗介「どうか第二の人生も、ワシと一緒に歩んでくれますか?」
栗原 小夜子「はい、喜んで」
栗原 小夜子「──今回はちゃんと、言いたいことが言えましたね」
栗原 宗介「あぁっ」
〇大水槽の前
〇明るいリビング
〇黒
その後、2人は記念にプリクラを取り、
SNSに載せたところ
3万いいねを記録し、
みんなにお祝いされました。
2人の第二の人生は、
まだ始まったばかりだとさ。
めでたしめでたし
混ぜるな危険…ってドッキリは混ぜちゃダメだー!笑
逆ドッキリまで…もうYouTuberとかになった方が良いのでは?笑
けど歳を取ってもこれだけ仲良いのは羨ましいです!
お見通しだから放っておくんじゃなくて積極的に絡んでいくの、愛ですね笑 出だしの文章でハラハラしましたが、前作も今回も想い合う二人で終わって、読んでいて幸せな気持ちになりました!
そりゃ怒りますよね…って思って読んでいたら、まさかのおばあさん側からのドッキリ!
いつまでも仲の良い二人っていいですよね。
読んでてキュンキュンしました!