ヴィルペイン

ウロジ太郎

Ep.23 / THE ELUSIVE NIGHT WATCH #15(脚本)

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〇地下倉庫
久常紫雲「・・・ッ」
  突然の頭痛で頭を抱える僕を、ちーちゃんは無表情のままじっと見つめていた。
根須戸智是「・・・・・・」
バステト「・・・・・・」
  バステトも、沈黙を守っている。
  ちーちゃんの手元には手術台に乗せられた男の子の写真が浮かんでいる。
  ふいにちーちゃんが僕を睨んだ。
根須戸智是「・・・8年前のあの日。別れたあと。 私のあとをつけたのね」
根須戸智是「絶対ダメって、言ったのに・・・」
久常紫雲「8年前の、あの日・・・? うぅっ」

〇白
  激しい頭痛と共に、映像が浮かんだ。
  それは、ちーちゃんのあとをつけるさっきの男の子、・・・僕の姿だった。

〇地下倉庫
久常紫雲「な、なに・・・これ・・・」
根須戸智是「やっぱり。覚えはあるか。 記憶は消されちゃってるけど」
久常紫雲「記憶が、消された・・・? 痛っ!」
根須戸智是「痛いでしょ」
根須戸智是「ニューロンネットワークをマイクロマシンで破壊してるから、記憶が戻ることは絶対にない」
根須戸智是「でも残滓は残る」
根須戸智是「だから関連する記憶のニューロンが発火すると、激痛を感じるようになってるの」
久常紫雲「ちーちゃん、何を言って・・・」
根須戸智是「そうするとあら不思議」
根須戸智是「人は思い出すことを無意識に避けるようになる」
  ちーちゃんは微笑みを浮かべた。
  でも瞳は無表情なまま、笑っていない。
根須戸智是「殺されなかっただけ、もうけものね」
久常紫雲「つ、つまり・・・、僕は記憶をゼニスにいじられているって?」
根須戸智是「今日は冴えてるね。そうよ」
根須戸智是「知っちゃいけないことを、知っちゃったから」
根須戸智是「・・・そうだ。この男のことは、覚えてる?」
  ウィンドウに世渡刃の顔写真が現れた。
久常紫雲「うっ! こいつ、さっきの・・・!?」

〇白
  頭痛と共に、またビジョンが浮かぶ。
  今度は、暗い部屋で幼い僕に銃を突きつけて嘲笑する、世渡の姿だった。

〇地下倉庫
久常紫雲「・・・!」
根須戸智是「8年前、会ったことがあるはずよ。 世渡刃(せと・じん)」
根須戸智是「ゼニス日本支部副社長兼、ゼニス日本支部、非合法部門のトップ」
久常紫雲「そうだ・・・銃を・・・僕に・・・っ」
  頭が猛烈に痛い。
根須戸智是「ずっと不思議だった」
根須戸智是「なぜゼニスの連中に施設を抜け出してたのがばれたのか」
久常紫雲「ゼ、ゼニスの施設が、君の家・・・?」
  ちーちゃんが薄く自嘲気味に笑った。
根須戸智是「モルモットだけどね」
久常紫雲「モルモット・・・?」
根須戸智是「そうよ。新技術の実験体」
根須戸智是「あの頃の私はね、ゼニスの施設で過ごしていたの」
根須戸智是「もちろん、実験動物に自由なんてない。 でもね。私にはこのハッキングの力があった」
久常紫雲「・・・それでゼニスを出し抜いてた?」
根須戸智是「その通り。 もっともこの能力は改造の副産物でね」
根須戸智是「連中もまさか、監禁しているはずの私がセキュリティをかいくぐって外を遊び歩いているとは、思ってなかった」
  ちーちゃんが、じっと僕を見た。
根須戸智是「・・・8年前の、あの日まではね」
  頭痛がどんどん強くなっていく。
久常紫雲「くっ・・・僕が、君の後をつけて、連中に捕まったから・・・?」
根須戸智是「ご明察。さっき手に入れたデータによると、捕まったあと、世渡に私のことをベラベラ喋ったみたいね?」
根須戸智是「覚えてない?」
  頭が・・・割れるように痛い。
久常紫雲「・・・ッ! そう、なの・・・!?」
根須戸智是「おかげで私は・・・あれから8年間」
  その瞬間、いつもの地下室が白く無機質な独房に切り替わった。

〇白
  AR端末が見せている映像だ。
  そしてそこに、病院着のような服を着たちーちゃんがいた。

〇地下倉庫
根須戸智是「これが私の、本当の姿」
  肌は病的に白く、顔色も悪い。
根須戸智是「8年間もずっと、こんな気の狂いそうな場所に囚われている」
根須戸智是「外との接触が完全に断たれた地獄に」
根須戸智是「ついこの間。セキュリティの綻びを見つけるまで通信すらできなかった」
根須戸智是「8年間、ずっとよ。ふふっ。ねぇ知ってる? 孤独ってね。・・・ふふふっ」
久常紫雲「うそ・・・でしょ」
根須戸智是「冗談で言うと思う?  こんなこと。信じられないのはわかるわ」
根須戸智是「でも、辻褄は合ったんじゃない?」
根須戸智是「なんで私がヒーロー活動なんて無理のあることを言い出したのか」
根須戸智是「これしか手がなかったのよ。信用できて」
根須戸智是「私をここから連れ出してくれるかもしれない人を巻き込むしか・・・でも」
久常紫雲「・・・ちーちゃん・・・僕は・・・」
根須戸智是「でもまさか、その白馬の王子様が私を地獄に突き落とすキッカケだったとはね」
  ちーちゃんが僕に詰め寄った。
根須戸智是「なんで? あの日私、絶対だめって言ったよね?」
根須戸智是「ついてきちゃだめだって」
久常紫雲「・・・!」

〇街中の公園
根須戸智是「絶対だめ!」

〇地下倉庫
久常紫雲「・・・僕はただ、君のことが知りたくて・・・ごめん」
久常紫雲「君にそんな事情があるなんて。 想像もできなくて・・・何も知らなくて」
根須戸智是「何も知らなかった? ふふふ。そう。 知らなかった。そうよね」
根須戸智是「そうでしょうとも」
根須戸智是「知らなかったから、私の言うことを聞いてくれなくて」

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