三八月(脚本)
〇テラス席
未夏さん、貴重な時間を
使ってくれてありがとう。
こうして会ってくれてるんだもんな。
未夏さんはスリムになって、
座って話をして、
下から少し見上げると
顔立ちが、鼻もスンとして、
鼻の穴も黒がシャープな輪郭で
肌が白くて(脚もスラっとして)
モデルさんみたい。
未夏「あ、捜索願出されてるんだった」
とか、映画の半券を見せられて、
何時から何時って、2回分記されて
男と観たのかって嫉妬しちゃったり、
仕事の合間の短い時間でなのかな。
未夏「映画観てると後ろで話す声が聞こえて その内容がさ」
って話してくれたり
(怖いねーって)
何か、ちょっと浮世離れした印象。
潜水艦?
会ってる場所はこっちの地元の
道端店先、カフェのテラス席で、
黒髪ショートはパッツンじゃなく
(毛質が細くサラッとして)
白づくめの服装と相まって、
ずいぶん印象が違ってみえる。
会えただけでいい(何でもさ)。
打ち明け話とか、
自分には話してくれる
他の男とは違う、
特別に思ってくれてるって思いたい
思いたかった。
期限の話なのかな、未夏さんも
〇水の中
リト
求めようとしてる
助けようとしてる
カンゾウ(以前の、いつぞやの)
カンゾウ(未夏さんの夢を記したもの)
メイド「いや、どうも」
メイド「こわれてないよ」
カンゾウ「こわくないよ」
メイド「さようなら」
カンゾウ「SOS?」
メイド「後でいいよ、後で」
カンゾウ「いいけどさ」
カンゾウ(ソナー(探索?))
カンゾウ(意図を汲んで)
〇テラス席
自分から消えようとして去って
その未夏さんを
思い返して、
未夏さんの夢をまとめたら
助けられるかな?
〇岩山
高台の岩地の開けたところで、
姫?と、誰かが
バトルになっているところ
自分が取って代わって、
カンゾウ(俺がやるって、戦いを)
カンゾウ(こうやるんだっていうのを見せてやる)
姫は、ロングドレスで、
足先まで覆う丈のスカートで宙に浮いて
薄くて白い長剣で襲い掛かってくる。
表情が張り詰めて、
目を見開いて冷酷に
鬼気迫る、
本気で殺しにかかってくるのがわかる
カンゾウ(なめてるわけじゃないけど)
カンゾウ(本当に間違ったら危ういけど)
カンゾウ(真正面から突き刺してくるのを)
(飛んだまま、持ち手を右わきに
かためて体ごと突っ込んでくる)
カンゾウ(白刃取りしようかな)
と、やってみると、
直前でフイッと剣先
(刀身)が横に曲がって、
こっちに取られたら
詰むのわかって回避したんだな。
──結局、剣は奪って、
それどうするか、
遠くに投げ捨てるか
それだと隙をつかれて
また取られるかもしれない。
サイズを縮小して、
ズボンのポケットに入れとこうか。
カンゾウ(刺さらないかな)
とにかく無力化して、
浮いてるところ足首つかんで
地面に引き下ろして倒して、
無抵抗になったところ──
カンゾウ「つらかった?」
カンゾウ「もういいんだよ、お疲れ様」
女優の風花の姿になって
丸裸で仰向けに倒れて、
無抵抗になったところを
声かけつつ、女性の体の
上から下まで視線をを移して
カンゾウ(こんなに小柄で華奢な体で 戦ってたんだ)
そこからわきを持って立たせて
持ち上げて抱きしめて、
お互い裸で肌の感触、温かみを、
あちこちいろんな部位を感じて
(胸と胸、腕と背中・・・)
遠慮なく正面からくっついて、
じんわり湿った温度を感じて
キスも抵抗なく、
口を緩めたところ味わって
そうしてると、
場所がいつの間にか変わって
〇撮影スタジオのセット
撮影スタジオになって、
セットの中に二人だけになって、
周りはテレビ局のスタッフなのか、
人たちが働いてる。
その中で裸の二人の関係を、
いろんなポーズをとって見せたら
(風花をこっちがリードして)
スタッフは喜んだ反応みせて、
実際行為をしたら、
それそのまま撮影しようとしそうで
カンゾウ(どうしようかな)
風花は抵抗しないで、
こっちのするなり、素直に従ってるけど
見せるのより、風花と
二人きりになれるところに行って、
確保、キープして、
もっと堪能したい。
しんなりした黒々からのぞく
きれいなきみを見たい、触りたい。
風花の全てを
自分だけのものにしたい。
欲望を抑えることなく交わりたい。
撮影させて何かの拍子に、
こっちの行為はおろか
関係まで止められたくない。
カンゾウ(こんなことは初めてだ)
カンゾウ(こんな正直な欲望は)
〇岩山
死の山で自ら前に出て、
狩って、ゲットしたんだ。
俺のものだ。
カンゾウ(人はものじゃない?)
カンゾウ(それでももう自分のものだ ものにしたんだ)
カンゾウ(自然の獣が食べられるとき 無抵抗にその身を捧げるように)
カンゾウ(彼女も観念したんだ。離さない)
横たわって無抵抗になった彼女を
立たせて向き合ったとき、
カンゾウ「しよっか?」
って聞いたら
風花「うん」
って頷いた、小さく。
じゃあこっちで
ってスタジオに移って・・・
何か、風俗でひとしきり立って
イメージプレイして、
そこから「じゃあ寝よっか?」
「うん」ってする流れみたい。
でもこれは本番だから
その先までするんだから止まらない。
風俗の花
未夏
荒涼とした岩場で
こんなことになったんだったら
もう地獄の切り裂かれた
きみの顔文字は見たくない。
『ミナツキ』を起ち上げて、
君の中に入って、君の夢の先まで
お互いにとっての
金字塔になったらいい。
運んでいく、君を探す、
見つける、君のためになりたいよ。