ミナツキ

但馬感象

三九月(脚本)

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〇海水浴場
  海岸で、グレーのサバ猫が寄ってきて
  両前足をこっちにかけてきて、
  「にゃー、にゃー」と懐いてくる。
  他に人、周り
  いっぱいいるのに珍しいな。
  顔を近づけると多少グッと押されるけど
  引っかかれたりしない。
  至近距離で顔マジマジ見て
  (整った顔立ちだな)
  何だろ、エサ、お腹すいてるのかな。
  ちょうどすぐわきに
  自販機が並んでるから、
  ちょっと待ってね、
  今買ってあげるからって
  銀パックの固形のを買うと、
  あれ、いなくなってる。
  どこいった?
  あ、いた、
  離れていってるのを追いかけると、
  人たちの合間縫って、
  犬が二匹いるところに行って
  飼い猫なのかな、
  どこぞの団体さんか家族かしらん。
  エサ欲しかったわけじゃなかったのかな
  戻るところあるなら、まぁいいか。
  ただ懐いてくれたんなら
  もっと構えばよかったな。
  灰色のサバ猫。
  人の賑わってる砂浜で、
  歩く先が不吉な即死室でもなく
  犬といる行先があるんならいいか。
  『はな』にいろんな言葉をくっつけて
  『はな〇〇』みたいに作ってみる
  はなさき はなばなしい はなみつき
  はなまる はなからおわりまで
  けつみゃくみちて
  はなれていけたのかな
  はなまきはなまき
  理想郷とまではいかなくても
  穏やかな縁が結べたらいい

〇開けた交差点
  そうやってんだよな
  面取りでもしたような、
  顔のない顔面に、
  肌色のストッキングを
  被せたようなものを
  間に被せないと痛々しいもんな
  皮を剥いだ地肉に直接当てるのはさ
  一枚かまさないと
  フォルム的に女性かな、見た目は。
  それで、そのあとお見送りでもするの?
  その儀式に、自分は部外者だけど
  後追ってついていく。
  その女性はピンクの
  看護婦っぽい格好で、
  祭司かしらん男性に
  連れられていくのを、
  こっちはなぜか事情も知らない
  小学校の同級生と、後追って、
同級生「これ何なの?」
  と問う同級生に、
カンゾウ「いいから行くぞ」
  と、大きな横断歩道を渡る、
  大きな車道の合流クロスするところ
  足元コールタールで
  覆われてるかのように足が進まない中
  斜めに無理して横断、
  後ろから車追突してこないか心配しつつ

〇テクスチャ3
  渡れたらその先は、
  広大な上り坂になっていて
  もう異界の雰囲気かしらん
  黄昏色が広がって、
  同級生は、小学校の頃のあだ名が
  『顔面凶器』
  (だから連れてきた?有事の武器)
カンゾウ(何追跡してんだ)
カンゾウ「・・・押せないじゃん」
同級生「イタズラしてみたらどうかな」
カンゾウ「何言ってんだ丸来」
カンゾウ「イタズラって、顔でも描く?」
同級生「後ろから脇をこちょこちょくすぐる?」
カンゾウ(・・・ダミーの顔でも貼り付ければ)
カンゾウ(代わりにそれだけ持っていって)
カンゾウ(送られなくて済む?)

〇裁きの門
  『しなのみな』ちゃん。
カンゾウ「複製としては十分な 魂込めた作品を捧げますから」
カンゾウ「どうか未夏さんを助けてください」
カンゾウ「お願いします。いい子なんです 自分が証明します」
カンゾウ「俺はどうなってもいいから どうかお慈悲を」
閻魔大王「人が供えたものとして」
閻魔大王「これほどのものは未だかつてなかった」
閻魔大王「人類史上初めてのことである」
閻魔大王「その前人未到の行いと ゆるぎない献身に敬意を表して」
閻魔大王「汝の願いを受理する」
閻魔大王「結果は追って沙汰するじゃによって 待つがよい」

〇裁きの門
しなのみな「どうして笑顔を見せられるのー?」
しなのみな「あいつが猫になっていてー」
しなのみな「私を助けてくれるから」
しなのみな「今はグレーのサバ猫になって」
しなのみな「そばにいてくれる」
しなのみな「私の守り神さんです」
しなのみな「足音が聞こえると安心する」
しなのみな「不安をはらってくれる」
しなのみな「優しい足音」

〇カラフルな宇宙空間
  猫が踏んだら 宇宙行きだ

〇教室の教壇
  ──高校三年生のとき、
竹田さん「今日誕生日なの?おめでとう!」
  って言ってくれた、竹田さん?
  に似た女子と、教室で話をして、
  席に着いてる竹田さんの前に座って、
  今年は彼氏つくるって
  5人までアタックするって聞いたけど
竹田さん「あ、うん、そう」
  友達にでも吹き込まれたのかしらんけど
  それとなく話をもっていって、
  「じゃあ自分とよければ」
  ってもっていきたい?勝算がありそうで
  何かそうやって話してる自分の姿を
  左側少し離れて見ているようで、
  若い頃よく着てたグリーンネイビーの
  腕の裾がほつれちゃったコートを着て
  足組んで、竹田さんと
  向かい合ってる自分の姿
  (白髪も目立たない黒短髪で)
  合わせ鏡で見てるような
  変わった感覚・・・
  と、竹田さんが
  友達に呼ばれて席を離れて
  (あ、ちょっと行ってくるくらいの)
  でも、もし付き合えたら、
  一緒にお昼、席一緒にして食べたり、
  生活、行動が変わる、当たり前だけど
  周りからもそれがわかる
  自分からアプローチしたんだから
  リードしてって、
カンゾウ(面倒くさいって思う?)
  穏やかに明るい昼下がりの教室
  (向かい合ってる二人の向こうが窓で
  黄みのない透明さで)
  OKしてくれるかな?
  そもそも好きなのか、成り行きで
  他人事じゃない、話が進んで──
  難しい話じゃない
  キラキラ?

〇病院の廊下
  病院。
  ペッと取り出し口から吐き出される
  ピンクのカプセル剤。
  薬?
  竹田さんか友達が病気なのか
  (性的ハラスメントによるものか)
  薬飲むの怖い?
  大丈夫、気持ちを楽にして
  簡単なことだよ
  明るい世界に戻ろう、未夏さん
  俺がついてる。守るよ
  病院の白くて音の響く廊下──
白猫「ここ!」
白猫「ここでマツと一線を画したんだ」

〇けばけばしい部屋
  (例えば、未夏さんが
  お店のスタッフ
  男性のマツと決別して、
  その世界と離れたくらいの)

〇病院の廊下
黒猫「ターニングポイントだ」
黒猫「いい風が吹いている」
  『飛騨高山ポテト』
  想定の何倍もミラクル結果で。
  黒猫白猫の二匹も、
  これにはおんぶに抱っこ、本当です
  と、特に3カウント目の結果は、
  ダーツのど真ん中クリーンヒット
カンゾウ「そんな極上ポテトをお届けするから」
カンゾウ「安心して待っててね、未夏さん」
  ってこと。
カンゾウ(あの最悪の日 未夏さんはポテトを)
カンゾウ(こっち見ないように もそもそ食べてたけど)
カンゾウ「俺、結婚できるかな」
「できるできる」

〇宇宙空間
  TIKE
女性「チケ」
女性「おまえだけは ぼくとずっと一緒にいてくれた」
女性「ありがとう」
女性「感謝してるよ本当に」
  チャトラ猫にそう伝える女性

次のエピソード:○月

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