エピソード26(脚本)
〇占いの館
占い師「だいぶ悩んでおられたようですね」
占い師「しかしそれもやわらいで、少しはゆとりが持ててきたようです」
占い師「あなたの信じる道をそのまま突き進んでください」
占い師「その先の未来は明るいでしょう」
・・・・・・。
占い師「あの、聞いてらっしゃいますか?」
占い師「・・・えーと、結城さん?」
結城あかり「・・・・・・」
占い師「他に占いたいことは?」
結城あかり「・・・あっ」
占い師「以上で?」
結城あかり「・・・人を捜しています」
占い師「人? どのような?」
結城あかり「背が高くて、寡黙(かもく)な男性なのですが」
占い師「・・・寡黙」
結城あかり「寡黙というか、人と話すことをほとんどしない人で・・・」
占い師「ひょっとして・・・」
結城あかり「知ってるんですか?」
占い師「・・・以前いらしたお客様と特徴が似ていたので」
結城あかり「どこにいるか分かりませんか?」
占い師「・・・見てみます」
結城あかり「・・・・・・」
占い師「・・・力及ばず申し訳ありません」
占い師「その男性の姿は映りませんでした。 ご存命かどうかも確認できません」
結城あかり「・・・そんな」
占い師「相当、周りを警戒されていた方のようですね」
占い師「水晶に映らないのは初めてのことです」
結城あかり「・・・・・・」
〇黒
結城あかり「事件は全て解決した」
〇黒
組織のボスだった新堂と磯ヶ谷部長は、会社に爆弾を仕掛けた容疑で警察に逮捕された。
新堂は殺し屋に関することは一切供述していない
〇黒
どうやら灰島が、命を取らない代わりに自分たちの情報を漏らさないよう脅したらしい。
〇黒
そして、私の婚約者を保険金目当てで殺した人物・・・。
〇黒
岩重君子は殺人容疑で逮捕された。
近々、夫を殺した容疑でも再逮捕されるという。
共犯者である東条は、証拠不十分で釈放。
岩重君子は全て自分ひとりでやったと供述している。
駒として使っていた東条に情が沸いたのかは分からない。
警察から聞いた話によると、毎晩、息子の名前を呼んでいるという。
自分の犯した罪の重さに気づき始めたのか。
だからといって、決して許されることではない。
決して・・・
〇黒
この私の周りで起きた一連の事件が終止符を打てたのは、彼がいたから。
・・・不破誠。
彼は姿を消してしまった。
私はお礼の一つも言えていない。
あなたは今、どこにいるの?
〇綺麗な一人部屋
結城あかり「あの人は、きっと生きているはず。 私たちの恩人だもの。 死んでなんか・・・」
ピンポーン♪
結城あかり「・・・まさか不破さん?」
〇玄関内
玄関のドアを開ける。
結城あかり「・・・あなた」
東条昌弘「私の顔など見たくないのは承知しています」
結城あかり「・・・何しにきたの」
東条昌弘「あなたの心残りを埋めに来ました」
結城あかり「心残り?」
東条昌弘「私が警察に捕まっていないのは、あなたにとって本位ではない」
結城あかり「・・・・・・」
東条昌弘「私は奥様のご子息、いや、あなたの婚約者の命を奪ってしまった」
結城あかり「・・・・・・」
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