エピソード2(脚本)
〇遊園地の広場
わーわーわー
〇観覧車の乗り場
わーわーわー
〇観覧車のゴンドラ
わーわーわー
わーわーわー
マッチョの女神「見つかっちゃった!?」
松千代「お前ダレ!?」
松千代「ていうか、俺は、忘れたカバンを 探してただけなんたけど!」
マッチョの女神「ワタシは「マッチョの女神」! マッチョの国から来た女神よ! 見つかっちゃったなら しかたないわ!」
マッチョの女神「遊園地全体を異空間に飛ばしたの! これでアナタはここから出られない・・・」
マッチョの女神「ここから出たければ! 「マッチョボタン」を押すのよ!」
松千代「え? その変なボタン押さないと 俺、帰れないの?」
マッチョの女神「そうよ! ここから永遠に 出られなくすることもできたけど!」
マッチョの女神「あえて! この「マッチョボタン」を押す権利を、 アナタに与えたのよ! ありがたいと思いなさい!」
松千代「はぁ・・・」
松千代(なんか、 前にもこんなことが あったような気がするけど・・・)
マッチョの女神「このボタンは、一回押すごとに 結界が解けて 近くの扉が一枚だけ開くけれど、 誰かのもとに「マッチョ」がやって来るわ!」
松千代「ま、マッチョ!?」
マッチョの女神「アナタが、ボタンを「押さない」と 10分に一回! アナタに「マッチョ」が召喚されるわ!」
マッチョの女神「この遊園地敷地のエリア外に出られたら 元の世界に戻れるわよ!」
マッチョの女神「さぁ、押しなさい!」
松千代「え、えー!? 押すしかないのか?」
松千代「試しに・・・」
ポチッ
「わーーーーーーーーー」
〇観覧車のゴンドラ
バタン!
勢いよくゴンドラの扉が開いた!
松千代「扉が開いた!?」
楊木「うわーーーーわーーーーー!!! たーすーけーてー!」
松千代「楊木!!!」
マッチョの鬼「フシュー」
楊木「突然、コイツが追いかけてきたんだ! 助けてくれー!」
松千代(後ろに回り込まれた・・・ 俺、ピンチ!?)
松千代「おい!女神!? どうやって止めんだ!これ!?」
マッチョの女神「召喚された人は 止められませ〜ん! 大人しく襲われることね!」
楊木「なんだって!!!」
マッチョの女神「あと〜」
マッチョの鬼「フシュー!」
楊木「うわーーーーー!」
マッチョ楊木「わーーーーー!」
マッチョの女神「いい忘れてたけど〜 マッチョに襲われた人は マッチョになっちゃうの〜!」
松千代「はぁ!?」
マッチョ楊木「ま、まぁ マッチョになるだけなら いいけどよ・・・?」
マッチョの女神「マッチョのままで一日過ごすと、 最後には、 マッチョの鬼になっちゃうのよ!」
マッチョの鬼「フシュー!」
マッチョ楊木「ま、マジかよ! 俺アレになるの嫌だよ〜!」
松千代「治す方法はないのか?」
マッチョの女神「脱出して 結界が解けないと無理よ!」
マッチョの女神「あとボタンを押すことね! さもないとアナタを襲う マッチョが増えるわ!」
マッチョの女神「頑張って今日中に 脱出するのね! バイバーイ♡」
〇観覧車のゴンドラ
松千代「あっ! 消えた・・・」
マッチョの鬼「フシュー」
マッチョ楊木「やべえ! また襲ってくる!」
松千代「ボタンを押してみよう!」
ポチッ
マッチョの鬼「・・・」
フッ
マッチョ楊木「あっ!消えたぞ!」
松千代「どこかに行ったのかな?」
ガラッ
松千代「どこかのドアが開いた!?」
「きゃーーーーーー!」
松千代「あっちで叫び声だ! 行ってみよう!」
バタバタバタバタ
〇観覧車の乗り場
キャー
松千代「あっちだ!」
〇メリーゴーランド
松子「キャー!来ないで!」
マッチョの鬼「フシュー」
松子「あっちいってよ! えい!えい!」
松千代「あっ!あそこだ!」
マッチョ楊木「アイツ掃除モップで応戦してるぜ! 気が強いな! 俺も負けちゃいらんねえな!」
マッチョ楊木「よ、ようし! マッチョになった俺が止めるぜ!」
松千代「い、いや俺が行く!」
松千代(なぜかはわからないが 記憶がある・・・)
松千代(前に楊木がやられて、 鬼になった覚えがあるんだ・・・)
松千代「止め方は知っている、はずだ。 マッチョとはいえ、鍛えられない場所がある。そこを攻撃できれば・・・」
ガシッ!
松千代「お、俺がコイツを止めてる間に! 早く逃げるんだ!」
マッチョ楊木「松千代!!! わかった!無事でいてくれ!」
マッチョ楊木「逃げるよ!早く!」
松子「え、ええ・・・」
マッチョの鬼「フシュー!」
松千代「おりゃっ」
フシュー
バターン!
松千代「ふう。 マッチョの急所を攻めれば一撃だ」
松千代「しかし、もうすぐ10分たつ。 そろそろボタンを押さないといけない」
松千代「扉のあるところ・・・ 1番扉がありそうな 恐怖の館に行ってみるか」
バタバタバタバタ
〇お化け屋敷
松千代「ハアハア、着いた」
松千代「しかし・・・」
あの女の子・・・・・・
松千代「会った記憶はあるけど 誰かは思い出せない。 前にあったことを思い出そうとするけど」
松千代「なんだか頭が痛い・・・」
松千代「仕方ない、もう時間だ」
松千代「よし、押してみよう。 屋敷の中に上手く 鬼を誘導出来ればいいけど。」
ポチッ
うわあああああああー
松千代「声にする方に急がなきゃ」
松千代(このボタンを押すと、 俺の近くの扉が開き、 さらに誰かのもとに「マッチョの鬼」が召喚されるらしい)
松千代(しかも10分以内に1回押さないと マッチョが召喚される)
松千代(しかも今日中に脱出できないと、 全員マッチョにされてしまうみたいなことを女神が言ってたような)
松千代「あと一時間くらいで日没だ。 いま5時・・・」
松千代「楊木たちは無事だろうか?」
俺は屋敷の中へと足をすすめた。
〇洋館の階段
マッチョの鬼「フシュー」
わーわー
先生「みんなは早く逃げなさい! ここは柔道二段のワタシが!」
マッチョの鬼「フシュシュー」
先生「お前は何者だ! 警察に通報するぞ!」
先生「うわーーーー!」
〇洋館の階段
松千代「あぁ!先生がマッチョの鬼に マッチョにされた!」
マッチョの鬼「フシュー!」
松千代(気づかれた!?)
松千代「ヤバイ! ぼ、ボタンを!」
ポチッ
松千代「あっ!」
〇洋館の階段
マッチョの鬼「フシュー」
マッチョ先生「うわーーーー!」
マッチョの鬼「フシュー!」
マッチョは召喚されて
二人になった!
マッチョ先生「うわー! やめてくれー!」
マッチョの鬼「フシュー」
先生がマッチョの鬼になり
3人になった!
マッチョの鬼「フシュー!」
「フシュー!!!」
〇洋館の階段
松千代「先生が鬼になって マッチョの鬼が三人になった!」
マッチョの鬼「フシュー!!!」
「フシュー!!!」
マッチョ達は
こちらに向かってきた!
松千代「ヤバイ! 逃げるしかない!」
俺は階段を勢いよく登った!
が、足を滑らせた!
マッチョのもとに突っ込んでいく!!!
松千代「わーっ」
ドカッ
カチッ
俺は勢いよく床に落ち、
ボタンを踏んで押してしまった!
フシュー
フッ
・・・
松千代「・・・消えた。 助かった・・・のか!?」
松千代「閉じ込めるどころか 外に出ていってしまった・・・」
松千代「最悪だ・・・」
松千代「このままだと みんなマッチョになってしまう」
松千代「どうしよう・・・」
バターン
松千代「上の扉が開いた・・・のか!?」
松千代「10分以内にボタンを押さないと 俺のところに マッチョが来て捕まる・・・」
松千代「外に移動するためにも ボタンを押し続けないといけない仕組みになってるし」
松千代「とりあえず、状況から考えると、 俺がボタンを押さないと 扉が開かない」
松千代「ボタンを押すと、 俺に一番近い扉が開いて マッチョ鬼がどこかに召喚される」
松千代「だとすると、 扉が開いていなければ 鬼も扉が開けられない」
松千代「開けられない部屋に鬼が集められれば・・・」
松千代「どのくらい遊園地に人がいて、 鬼がいるのか」
松千代「とりあえず、 この階段を上に昇って 外の様子を見に行くか」
〇遊園地の広場
マッチョの鬼「フシュー」
キャーキャー
次々と人が襲われ、
マッチョは増えていく・・・
〇洋館の一室
松千代「あっ」
マッチョ楊木「松千代!無事だったか!!!」
松子「運良く、この部屋に来れたわ。 この人たちのおかげなの。」
松千代「このひとたち?」
生徒「こんにちは~」
松千代「君たちは・・・ どこかで会ったような・・・」
生徒「私たち、映画同好会で~す!!! 文化祭用のね、映画を撮ってたの。 今回は、ホラー映画よ!!!」
生徒「マッチョの夏って映画、知ってます?」
〇洋館の一室
松千代「それ、もしかして 去年の文化祭で上映してた 「マッチョな夏」・・・ 君たちが撮影してたの?」
生徒「はーい!そうでーす!」
生徒「ストーリーは、 ひとり塞ぎ込んでた少女が マッチョとの交流によって 目覚めてく、心温まるお話で〜」
生徒「その続編を撮っていて〜 きょうは館を一時貸し切りで 撮影してたの〜」
生徒「今度のお話は、 主人公の少女が卒業旅行中に、 鬼マッチョが遊園地に現れ 人々を襲うというパニックホラー!」
生徒「そしたらー クライマックスで急に マッチョマンが実体化して・・・」
生徒「ワタシたちに襲いかかってきたの」
「怖かったー」
生徒「そこをお二人が助けてくれたんです~」
生徒「次に撮る映画は ヒーローものかなって話してた」
松千代「へえ、やるじゃん楊木」
マッチョ楊木「いや、俺じゃなくて。 彼女が追い払ってくれて」
松子「そんなことないわ、 鬼を一緒に追い出してくれたし あなたもやるじゃないの」
マッチョ楊木「あっは、そんな褒められると 照れるなぁ〜」
松子「調子に乗らないでよ!」
マッチョ楊木「手厳しい〜 そういうところ嫌いじゃないけど」
松子「もう〜」
松子「マッチョが実体化って・・・ 突然現れたってことでいいのかしら?」
生徒「そうなんです〜」
生徒「でも、もうそろそろ帰らなきゃ、 暗くなってきちゃう・・・」
松子「いま外にでるのは難しいわ。 マッチョがウロウロしているし」
松千代「こんなに大勢で動くには危険だ。 俺が出口を探すから皆はここで 待機しているといい。」
松子「ワタシも?」
松千代「そうだ。君はここにいて、 彼女達を守っていてくれよ。」
松千代「俺にはいざとなったら このボタンがある。 ボタンを押すと俺だけには マッチョが来ないからな」
松子「なにそれ?」
松千代「これは、マッチョボタン。」
松千代「押すと一番近くの扉が開き、どこかにマッチョが召喚される。 仕組みはわからないけど」
松子「えぇ!? じゃあ、彼女たちの前にマッチョが現れたのは、そのボタンのせいってこと!?」
松千代「そうかもしれない」
松千代「だから、僕がボタンを押して 出口までの扉を開くまで、 みんなで待ってて欲しい」
松子「嫌よ、ワタシは、はぐれた友達を探しにいかなくちゃイケナイの。 助けに行くって約束したのよ」
松子「友達はジェットコースター乗り場に いるはずだもの」
松子「そのボタンを持っている アナタといたほうが マッチョに遭遇する確率が減るわ」
松千代「わかったよ、友達を助けに行きながら 出口をさがそう それでいい?」
松子「いいわ」
松千代「楊木、ここで彼女たちといて 守っててくれ」
マッチョ楊木「わかった」
生徒「ワタシたちにできることは ないの?待ってるだけ?」
松千代「そうだな・・・ 君たちは録画や通信機材をもっているだろ?」
松千代「ここの遊園地内のローカルネットなら 繋がるだろうから 他の場所に繋いで 情報を調べてくれないだろうか?」
生徒「わかったわ!そういうのなら得意よ!」
生徒「今試してみる! ・・・」
生徒「つながったわ! 遊園地内の情報と私達の端末なら 繋ぐことができるわ!」
松千代「よし、じゃあ情報管理は 君たちに任せたよ」
生徒「ワタシたち、ここで待ってるね! いってらっしゃ~い!」
松千代「あぁ、頼んだよ! 俺たちが出たあとは 鍵をちゃんとかけておいて!」
松千代「入るときは3回ノックする。 それでいい?」
生徒「うん、わかった!」
松千代「じゃ、行ってくる!」
ギイイィ
〇遊園地
松子「急ぎましょう、日没まで時間がないわ」
ザッザッザッ
松千代「なぁ、一つ聞きたいことがあるんだけど」
松子「なあに?」
松千代「俺・・・ 君と前に会ったこと、なかったかな?」
松子「・・・」
松子「まぁ、あるんじゃないかしら。 同じ学校に通っているんだし」
松子「・・・覚えてないのね、アナタは」
松千代「えっ?」
松子「なんでもないわ。 急ぎましょう」
キャー
松千代「あっちだ!」
〇ジェットコースター
キャー
松千代「あそこかよ!」
松子「非常用のハシゴから、 あそこに登るしかないわ!」
ガシッ
行こうとする彼女の腕をつかんだ。
松子「え?」
松千代「いや、俺が行くよ! ここで待ってろ!」
松千代「これ、持ってて!」
松子「え、だってこれ・・・ アナタの・・・」
松千代「俺はいいから! 危なくなったら押してくれ!」
ザッ
松子「あっ ちょっと!」
ザッザッザッ
身のこなし軽く、ハシゴを登っていく。
松子「・・・行っちゃった。 全く、アナタという人は、 自分をかえりみないんだから・・・」
松子「・・・」
松子「だからこそ、 選ぶのは アナタなんだけどね・・・」
松子「・・・」
ポチッ
〇遊園地の広場
わーわーわー
逃げ惑う人々、
追いかける鬼マッチョ達。
マッチョの鬼「フシュー」
フッ
〇ジェットコースター
松千代「おい!大丈夫か! しっかりしろ!」
謎の子「うっうう ひっくひっく」
松千代(子ども? 友達ってこのコか? でも他に見当たらないし・・・)
ビュオオオオオオオー
松千代「風が強い、迷ってる時間はない!」
松千代「ほら、こっちに掴まって! 慎重に降りるぞ!」
謎の子「怖い・・・怖いよ」
松千代(俺も怖い、が、 怖がらせるわけにいかない)
松千代「しっかり捕まってろ!俺が支えてやる!」
謎の子「うん・・・」
松千代「ほら、もう少し・・・」
謎の子「おにいちゃん・・・」
松千代「よいしょ!」
子どもを抱きかかえた。
ガゴゴォォン!!!
コースターが急に動き始めた!
松千代「なんだって!」
謎の子「わぁぁん! 怖いー!」
俺は抱きしめながら
勢いよく座席に飛び乗った!
松千代(安全バーが下がりきらない、 くっそー!このまま掴まって 下まで降りるしかない!)
松千代(絶体離すなよ!俺!)
ゴォオオォオオォ
ガッシャーン
〇黒
う、うう・・・
〇テーブル席
松千代「う、うーん」
松千代「はっ!ここは・・・」
エリコ「目がさめたのね。 無事で良かったわ」
松子「エリコ先生〜 無事だった!」
エリコ「良かったわ!無事だったのね! お茶でも飲んでいきなさいよ! ケーキも作ったわ!」
松子「わーい!」
松千代「どうして俺はここに・・・ それに、子どもを抱えてたはず。 あの子はどこに?」
松子「あの子って? 倒れてたのは、アナタひとりだったわよ?」
松子「救護でエリカ先生が待機しててくれてたの〜 ジェットコースターで気を失ってたから、 連れてきたわ」
松千代「そうなのか・・・ 助けてくれて、 ありがとうございます」
エリコ「なんか外は大変なことに なってるみたいね・・・」
エリコ「外に連絡は繋がらないし」
エリコ「一応、先生たちの間では 通信用に端末を持っているのだけど。 ほら見て!」
松千代「あぁ! 鬼の様子が映ってますね!」
松千代「あれ!? これもしかして」
生徒「はーい!お疲れ様! 撮れるところの様子を 動画編集して 流しておきました!」
生徒「あと無事そうな場所の地図も 送ったので見てね♪」
松千代「君たち!ありがとう!」
松子「この地図を見ると、展望台に移動するのが、いいみたいね。 遊園地の様子が一望できるわ」
エリコ「連絡取れないと困るのよね? ここにはパソコンもあるから、 その端末を貸してあげるわ。 持っていきなさい!」
松千代「先生ありがとうございます! 行こう!展望台に!」
松子「うん!ごちそうさま!」
ガラガラ ピシャン
エリコ「さて、片付けなきゃ」
フシュー
エリコ「え、!?」
キャー
〇ビルの地下通路
松子「・・・」
松千代「どうした?」
松子「ちょっと・・・ トイレに行きたいんだけど」
松子「入り口で待ってて」
パタパタ
松千代「やべえ、時間がない・・・」
松千代「しょうがない、押すしか・・・」
松千代「周りに鬼はいないな。 さっきの計算なら次は鬼が12人・・・」
ポチッ
きゃあぁぁぁぁぁああ
松千代「ど、どうした!」
〇女子トイレ
マッチョの鬼「フシュー」
松子「ちょっと! 失礼じゃないのよ! こんなところに出てくるなんて 反則よ!」
松千代「・・・」
松子「アンタも! なんてこのタイミングで押すのよ!」
松子「・・・」
松千代「恥ずかしがってる場合じゃない! どいて!」
マッチョの鬼「フシュー」
マッチョの鬼「ブフォー」
バターン
松千代「・・・見られた?」
松子「見られるわけないじゃない! もうバカ!」
松千代「ハハ・・・じゃあ良かったじゃん?」
松子「よくない!」
〇ビルの地下通路
松子「全くもう! なんでいつもタイミング悪いのよ!」
松千代「ごめん」
松子「はやく、展望台に行くからね!」
松千代「ハイ」
〇謎の部屋の扉
カッ
松子「ココよ。 この先に入れれば、展望ブースのはずだわ」
松千代「あ、開かない!」
キャー キャー
松子「明らかに複数人いるわね! でも扉が開かないってことは・・・」
松千代「ボタンを押すよ!?」
松子「準備はいいわ」
ポチッ
バターン
扉は開いた。
〇施設の展望台
バタン!
・・・
松子「誰もいない?」
松千代「やけに静かだな、嫌な予感がする」
松子「やめてよ嫌なこと言うの」
松千代「だってさ・・・」
松千代「外見てみろよ」
松子「あぁ!?」
〇遊園地の全景
Macho Macho Men〜
松千代「なにこれ!?」
松千代「踊っている・・・沢山のマッチョが」
♪〜♫〜
松千代「いったい・・・どうなってるんだ!?」
マッチョ「はい!フロントダブルバイセップスー!」
サッ
松千代「今度はポーズを決めはじめた!」
松千代「でも、みんなマッチョだけど 鬼ではないな」
マッチョの鬼「フシュー」
謎の子「キャハハハハー」
松千代「あっ鬼が、中心にいる! あの子も!」
松千代「アイツをリーダーにして 踊ったりしているのだろうか」
松千代「あの子が楽しそうに笑っている・・・・・・」
♬〜♫〜♪〜
マッチョ「Wanna feel touch my body? 俺の体に触れてみたいかい?」
松千代「え、ええー」
謎の子「キャハハハハー」
松千代「あぁ、それに触れたら・・・」
謎の子「・・・」
そっ
と触れてみた。
マッチョ「うおおおおおおおぉぉぉぉ!」
・・・
マッチョの女神「キャハハ・・・ あれ!?」
松千代「えっ!?」
松千代「ええー!」
マッチョの女神「なーんだ バレちゃった!?」
松千代「お前はマッチョの女神だったのか! なぜこんなことをするんだ!」
マッチョの女神「そりゃ〜ねぇ マッチョで世界征服!?」
松千代「世界征服!?」
マッチョの女神「そうよ。世の中は醜すぎる。 無駄な争いや足の引っ張り合い。 そんなものとは筋肉は無縁だわ」
マッチョの女神「鍛えれば答えてくれる! 筋肉は最高よ!」
松千代「何いってんだよ女神・・・」
フルルルル
松千代「端末が!?」
目をさまして!
それは超高性能AIよ!
アナタは実験されているの!
松千代「どういうこと?」
マッチョの女神「さぁ!ボタンを押すのよ! ボタンを押して マッチョで世界を埋め尽くすの!」
マッチョの女神「アハハハハハハ」
ポチッ
ポチッ
ポチポチポチポチ
ポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチポチ
ポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポポ
〇城門の下
・・・
松千代「フラフラする・・・」
松千代「そとに・・・ でら・・・れた。 なんだったんだ。いまの」
マッチョの女神「おめでとう。 さようなら。」
フッ
松千代「女神・・・」
〇実験ルーム
「あぁ、また実験は失敗かしら。」
「また、アナタをマッチョの王に
できなかったわ・・・」
「何度ヒントを与えたら、気づくのかしらね・・・」
シュウウウウウ
松千代「へ?」
生徒「目がさめたわね」
生徒「アナタはAIに脳を支配されていたのよ。 「マッチョの王」にするために・・・」
生徒「楽しい学生時代の記憶はどうだったかしら。AI・・・ いえ「マッチョの女神」は」
生徒「アナタの脳に入り込んで、 実験していたのよ」
松千代「どういうこと?」
〇説明会場
生徒「ふう・・・ また1から説明しないとイケナイのね。 わかったわ」
生徒「私達が文化祭で上映した 「マッチョな夏」 あれは女神さんが欲していた物語で・・・」
生徒「ひとり塞ぎ込んでた少女が マッチョとの交流によって 目覚めてく、心温まるお話。 というストーリーだったわよね」
生徒「アナタに、その助けてくれるマッチョに なってほしかったのよ。女神は」
生徒「怖いものから救ってほしい、 続編のホラー映画は その感情の現れかもしれないわね」
生徒「アナタに助けられるまで 実験は続くのよ。 それが女神の求めていることだから」
松千代「・・・ どうして俺なんですか?」
生徒「これよ。アナタ これを拾ってあげたことが 過去にあったでしょ?」
松千代「えーと、たしか学生の時に 川から流れてきた「それ」を拾って 渡したことがあった気がする」
松千代「渡したのは・・・ 誰だったかな」
・・・
松千代「それは何ですか?」
生徒「これは特殊プロテインよ。 AIの元になった少女の頭脳は 実験体として様々な薬品を投与されていたの」
生徒「彼女は脳だけになり 永遠の命と引き換えに 大事なものを失ってしまったわ」
生徒「だから女神は、アナタだけは そのままの姿で 女神の元にいて欲しいと思ったのよ」
生徒「アナタの脳にハッキングしてまでね・・・」
〇病院の廊下
生徒「だから それは全部つくりものよ。 本物を大事になさい」
生徒「それじゃね。 さようなら」
松千代「あ、ちょっと・・・」
おーい!
マッチョ楊木「検査終わったか! 大丈夫そうだな!」
松千代「楊木・・・ お前マッチョのままじゃないか!」
マッチョ楊木「なに言ってるんだよ。 俺はそのままだよ?」
マッチョ楊木「お前とバディ組んでレスキューで 働いてただろ?記憶喪失か?」
松千代「え?そうだっけ・・・」
マッチョ楊木「おい、しっかりしてくれよ」
松千代(もう、なにが偽物なのか、 本当なのか・・・)
松千代「わからないよ、女神・・・」
〇黒
アナタが、それに気づくまで
終わりなく続くのよ・・・