エピソード4(脚本)
〇空
「はあ・・」
「暑い・・」
カノン「大丈夫?、響子さん」
鏡響子「暑くてまったく大丈夫じゃないです!」
鏡響子「お二人はよく平気ですね・・」
カノン「まあ、わたしはこのままあと三日は大丈夫かな?」
ミュウ「わたしは明日までは平気」
ゾル「俺は十日かな?」
鏡響子「ちょっと待って! 体力お化け!️?・・・」
鏡響子「もうわたしは限界ですよー、無理・・」
〇空
「無理・・」
「あっ! 響子さん!」
「・・なに?」
「船があるよ!」
「はぁ?」
〇空
鏡響子「船?!️」
鏡響子「なんで船が砂漠の中に・・」
カノン「行ってみるしかないようね」
〇地下室
「ここから入るのかな?」
鏡響子「ここから、船室に行けるのかな?」
〇小さな小屋
〇地下室
「わああああーーー!」
〇小さな小屋
鏡響子「誰ですか! あなたは!」
船長「お前たちは誰だ!」
〇白
船長「俺はただの漁師だ 魚を採って生活していてそれで満足だった」
船長「しかし、ある時ーー」
〇黒背景
船長「十日十晩の大雨が降り、海は嵐で荒れに荒れた」
船長「俺は船を浜に置いておくと大波に攫われると思い、海に漕ぎ出だした」
船長「船が嵐で転覆がある覚悟でな」
船長「恐ろしい嵐は去った・・」
船長「・・。」
〇白
〇小さな小屋
船長「・・・。」
鏡響子「・・・。」
カノン「・・・。」
リバン「漁業長、晩餐を持ってきましたよ!」
アンナ「お酒の他にお茶も持ってきましたよ!」
アンナ「あれ?」
リバン「ご客人でしょうか?」
リバン「ちょうど晩餐を持っています、ご一緒いかが?」
アンナ「お水もいかがですか?」
〇空
〇小さな小屋
船長「それでは酒に!」
リバン「ご客人との出会いに!」
アンナ「お料理に!」
船長「それでは旅人との出会いに乾杯!」
アンナ「二人とも、晩餐は始まったばかりよ! さっ、飲んで!」
〇空
「乾杯! かんぱーい!」
〇小さな小屋
ソメイル「アンナ、この子は人獣なんだね? ひさびさに見たよ」
アンナ「旅の人たちなのよ」
ソメイル「こんな砂漠の中を?、そりゃすごい」
鏡響子「ここはもともと超巨大な湖だったのですか?」
ソメイル「そうさ」
鏡響子「でもなぜこんな砂漠に? 大嵐があったとはいえ」
ソメイル「湖だから農業用水に使えたんだよね だから人獣協議会が農地の灌漑に使った」
アンナ「干上がる前も水位はかなり減っていたよね?」
ソメイル「そう、減った水位であの大嵐がきて まさしく湖の栓を抜いた」
鏡響子「それで砂漠に・・」
カノン「あの漁業長さんはなにをしているのですか?」
アンナ「また海が戻ってくるのを待っているのですよ」
カノン「待っている? 食事はアンナさんが用意しているの?」
アンナ「はい、そうです」
カノン「アンナさんは漁業長の家族か親戚なの?」
アンナ「いえ」
カノン「なんでアンナさんは漁業長の食事を用意しているの?」
アンナ「漁業長さん、困っているからですよ 海がなくなって魚も獲れないし」
カノン「アンナさんはお金持ちだから、漁業長さんの世話をしてあげているの?」
アンナ「まさか、魚が獲れなくなって 慣れない農業で前より貧乏暮らしですよ」
船長「おう! アンナ酒のおかわりだ! 今日の酒は安酒だからたくさん飲まないとな!」
アンナ「はいはい」
カノン「・・・・。」
カノン(ねえ、響子さん、なんでアンナさんはなにも働いていない人にお料理を持ってくるの?)
鏡響子(困っている知人だからですよ)
カノン(あれをずっと続けるの?)
鏡響子(貨幣文化のない人たちだからみんな善人なのでしょうね)
カノン(みんな善人?)
鏡響子(困っている人を見捨てられないのですよ)
カノン(そうなんだ)
〇空
〇空
ゾル「響子、おはよう」
鏡響子「ゾル、おはよう」
ゾル「・・・・。」
鏡響子「どうしました?」
ゾル「響子、この先どうするんだ? これだと旅行団でも結成して、馬車で移動し、絶えず街により補給を繰り返す旅になる」
鏡響子「それだと1年以上かかる長い旅になるかもしれませんね」
ゾル「そうだな」
鏡響子「・・・・。」
ゾル「・・・・。」
ゾル「響子、響子の魔法でここを海に戻すことはできないのか?」
鏡響子「ふふ、ゾル、わたしにそんな強大な自然魔法は使えませんよ」
ゾル「そうか・・」
鏡響子「ゾル、わたしと初めて出会った時、わたしは魔法書の中から現れたのをおぼえていますか?」
ゾル「・・ああ、おぼえている」
鏡響子「魔法書は、呪文で転移者を呼び出すのですが、誰が呼び出されるかは誰もわからないのですよ」
ゾル「・・ああ、それで?」
鏡響子「しかし、契約を交わした者同士には関係が生まれ、絆が生まれるのです」
ゾル「・・それで」
鏡響子「呼び出せばいいのですよ」
ゾル「誰を?」
鏡響子「あなたの統率者ですよ」
ゾル「俺の統率者・・」
ゾル「・・・・。」
ゾル「・・・・。」
ゾル「まさか・・」
ゾル「お前、こんなところにシア・ロナージャ様を呼び出すつもりか!️?」
鏡響子「そうです、暗黒の大魔王なら、海を降らすような魔法も使えるはずです!」
〇空
「ふざけるな! お前! シア・ロナージャ様をなんだと思っているんだ!?」
「ゾル! わたしのこと「お前」って呼ばないでくださいいい!️!️」