第11話 メイナードの呵責【前編】(脚本)
〇雪山の森の中
霧生華清(きりゅうかせい)(間違いない)
霧生華清(きりゅうかせい)(遺物はこの先──アステル山にある)
霧生華清(きりゅうかせい)(すぐにでも向かいたいところだけど)
キース・フォスター「ぜぇ・・・ぜぇ・・・」
キース・フォスター「へ・・・へっくしょん!」
霧生華清(きりゅうかせい)「少し休みましょうか」
キース・フォスター「問題ない!」
キース・フォスター「第一、こんなところで休んでいたら 凍え死ぬ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「では、先を行きましょう」
キース・フォスター「クソ、なんてザマだ・・・!」
キース・フォスター「うおっ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「暖かくしたほうが動きやすいですよ」
キース・フォスター「いや、だが、これは先生の──」
霧生華清(きりゅうかせい)「南国育ちなので寒さには強いんです」
キース・フォスター「そいつは北国育ちの言い分じゃ──」
キース・フォスター「いや」
キース・フォスター「大切に使わせてもらおう」
キース・フォスター「何の音だ?」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん、あそこ!」
〇雪山
〇雪山の森の中
キース・フォスター「閃光弾か?」
霧生華清(きりゅうかせい)「いえ、何か飛びました」
キース・フォスター「戦闘機か?」
キース・フォスター「この辺りに軍事演習場はなかったはずだが」
霧生華清(きりゅうかせい)「街の方へ飛んで行きました」
キース・フォスター「きな臭いね」
キース・フォスター「一旦街へ戻ろう」
〇西洋風の駅前広場
寒波の街
ナゥサ
キース・フォスター「変わったところはない、か」
キース・フォスター「あれは遺物の類だと思ったんだがね」
霧生華清(きりゅうかせい)「街の人にもう一度聞き込みしてみましょう」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「なぁ、訊きたいことがあるんだが──」
ウェイトレス「あら、貴方は・・・」
キース・フォスター「あんたは──」
〇怪しげな酒場
シャッフルの給仕じゃないか
〇西洋風の駅前広場
ウェイトレス「こんなところで会うなんて何かの縁かしら?」
キース・フォスター「天は俺の味方らしい」
キース・フォスター「こんな美女と縁を結んでくれるなんてね」
ウェイトレス「うふふ、嬉しいこと言ってくれるのね」
ウェイトレス「でも──」
ウェイトレス「あの人が貴方の『意地』?」
キース・フォスター「いや、あいつはもう──俺の右腕だよ」
ウェイトレス「うふふ、おかしいわ」
ウェイトレス「腕を失くした右腕だなんて」
ウェイトレス「貴方のほうがよっぽど『右腕』じゃない」
キース・フォスター「そうかもな」
キース・フォスター「俺たちは一心同体なのさ」
ウェイトレス「あらやだ、妬けちゃう」
キース・フォスター「参ったね」
キース・フォスター「妬いた女は甘やかしたくなる」
ウェイトレス「あら」
キース・フォスター「む?」
ウェイトレス「うふふ、嬉しいけど遠慮しておくわ」
ウェイトレス「二人揃ってこんな僻地に来るなんて」
ウェイトレス「何か事情があるんでしょう?」
キース・フォスター「探しものだよ」
キース・フォスター「あんたこそ、何故ここに?」
ウェイトレス「転職」
ウェイトレス「だからもう、私は貴方の知ってる私じゃない」
アメリア・コールマン「ただのアメリア」
キース・フォスター「遠路はるばるこんな雪国にまで?」
アメリア・コールマン「私、気分屋なの」
アメリア・コールマン「貴方みたいね」
キース・フォスター「ひどいね」
キース・フォスター「俺はいつだって一途だよ」
アメリア・コールマン「へえ」
アメリア・コールマン「確かにそうみたいね」
アメリア・コールマン「それで? 聞きたいことって?」
〇西洋風の駅前広場
アメリア・コールマン「変わったこと?」
アメリア・コールマン「そうね・・・」
アメリア・コールマン「そう言えば、さっきアステル山の方で 何か光っていたわ」
アメリア・コールマン「かすかに地響きも聞こえた」
キース・フォスター「街に異常はなかったかい?」
アメリア・コールマン「いえ、何も」
キース・フォスター「そうかい」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん、収穫はゼロでした」
霧生華清(きりゅうかせい)「あれ、貴方は・・・」
アメリア・コールマン「じゃあ、私はもう行くわ」
キース・フォスター「助かったよ、恩に切る」
キース・フォスター「今度『礼』をさせてくれ」
アメリア・コールマン「遠慮しておくわ」
〇英国風の部屋
私、根に持つタイプなの
〇西洋風の駅前広場
霧生華清(きりゅうかせい)「お怒りのようでしたが」
霧生華清(きりゅうかせい)「何か恨みを買うようなことをしたんですか?」
キース・フォスター「土壇場で野暮用を思い出しちまってね」
キース・フォスター「予定をキャンセルしちまったんだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「非礼を侘びましたか?」
キース・フォスター「え? いや、まだだが・・・」
霧生華清(きりゅうかせい)「如何なる用事があろうとも」
霧生華清(きりゅうかせい)「礼節を欠かしてはなりません」
霧生華清(きりゅうかせい)「今度、謝りに行きましょう」
キース・フォスター「先生には適わないね」
霧生華清(きりゅうかせい)「──それで、何か目撃情報はありましたか?」
キース・フォスター「アステル山で光った瞬間を見たらしい」
霧生華清(きりゅうかせい)「やはり自分らの見間違いではなかったようですね」
キース・フォスター「それ以外は何も見ていないようだが──」
キース・フォスター「上?」
〇空
「何か光ったような──」
〇西洋風の駅前広場
霧生華清(きりゅうかせい)「危ないッ!」
キース・フォスター「うおっ!」
キース・フォスター「助かったよ、先生」
霧生華清(きりゅうかせい)「あれは・・・遺物?」
???「くははははっ! これさえあれば──」
???「世界を蹂躙できる!」
キース・フォスター「あの声・・・ケイレブか!」
霧生華清(きりゅうかせい)「ということは、アドルフさんもここに?」
ケイレブ・スペンサー中将「やはり我が前に立ちはだかるか、叛徒ども」
ケイレブ・スペンサー中将「こうも早く追いつくとは」
ケイレブ・スペンサー中将「やはり『標』は必要、か」
ケイレブ・スペンサー中将「私自ら始末してやろう」
キース・フォスター「こいつは──!」
霧生華清(きりゅうかせい)「みんな、伏せてッ!」
〇雪山
〇西洋風の駅前広場
霧生華清(きりゅうかせい)「アステル山がッ・・・!」
キース・フォスター「滅茶苦茶だッ!」
ケイレブ・スペンサー中将「見たか」
ケイレブ・スペンサー中将「これが正しい遺物の使い方だ」
霧生華清(きりゅうかせい)「正しい・・・?」
霧生華清(きりゅうかせい)「そんなはずがない」
ケイレブ・スペンサー中将「綺麗事を並べ立てたところで現実は変わらぬ」
ケイレブ・スペンサー中将「指輪を寄越せ」
ケイレブ・スペンサー中将「そうすれば見逃してやろう」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「どうやら奴らはまだ遺物を全て見つけられていないらしい」
キース・フォスター「となれば、最善手は──」
ケイレブ・スペンサー中将「逃がすかッ!」
〇西洋風の駅前広場
霧生華清(きりゅうかせい)「なんて酷いことを・・・!」
キース・フォスター「見境がなさすぎる!」
ハロルド・ムーア少尉「これは・・・!」
ハロルド・ムーア少尉「皆さん、急いで避難してください!」
キース・フォスター「ケイレブの暴走、か」
霧生華清(きりゅうかせい)「あるいは、はじめからこれが目的なのかも しれません」
ケイレブ・スペンサー中将「逃げ場はない」
キース・フォスター「こうなれば・・・」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん!」
霧生華清(きりゅうかせい)「指輪を渡したところで消されます!」
キース・フォスター「だが、無差別攻撃は止む」
霧生華清(きりゅうかせい)「ですが、それが無くなれば・・・」
キース・フォスター「なに、命を粗末にはしないよ」
キース・フォスター「背中は預けたぜ、先生?」
キース・フォスター「こんなもん、欲しけりゃくれてやるよ!」
ケイレブ・スペンサー中将「どこに投げようと【メイナード】に取れないものは──」
キース・フォスター「走れッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい!」
ケイレブ・スペンサー中将「逃がすかッ!」
ハロルド・ムーア少尉「中将ッ! お止めくださいッ!」
ケイレブ・スペンサー中将「そこを退け」
ハロルド・ムーア少尉「民の生活を脅かしてまで奴らを処する 必要があるのでしょうか!?」
ケイレブ・スペンサー中将「二度は言わぬぞ」
ハロルド・ムーア少尉「ぐっ!」
キース・フォスター「借りるぜ」
ケイレブ・スペンサー中将「逃がさぬ」
〇雪山の森の中
霧生華清(きりゅうかせい)「この方角は・・・!」
キース・フォスター「しっかり捕まってな!」
〇雪山
アステル山
キース・フォスター「奴さんは遺物だ」
キース・フォスター「なら、遺跡の中に制御装置があるはず」
キース・フォスター「クソッ!」
キース・フォスター「雪で助かっ──」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん! 離れて!」
キース・フォスター「先生ッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「かすり傷です! 走りましょう!」
キース・フォスター「地盤が緩いッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「落ち──!」
ケイレブ・スペンサー中将「呆気ない」
ケイレブ・スペンサー中将「これさえあれば、私は・・・」
ケイレブ・スペンサー中将「フフフ・・・」
「ハーハッハッハッハッ!!」
美女との再会はトレジャー系の醍醐味ですね😂いちいちセリフ回しがかっこいいキースは相変わらずです笑
中将の暴走が良くない方向に進んでいきそうなのが気になるところです🤔
少尉は敵陣営ではありますが、ちゃんと良心はあるし言語にたけてるしで個人的に好きなキャラクターです😂