さ迷って

マンダリン

エピソード2(脚本)

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〇古い畳部屋
寧々「もう朝・・・?」
  昨晩、和に握られた手を見ると思い出して胸がドキドキする
寧々「一人の女性・・・」
  その時、襖の向こうから和の声がした
仁科和「寧々さん、朝ごはんです。 起きてますか?」
  寧々は、びくりとして手を布団の中に隠す
寧々「あ、はーい! 今行きます!」
寧々(声、変じゃなかったよね・・・?)
  起き上がるとすぐに着替えて、居間へ向かった

〇実家の居間
  居間へ行くと、すでに朝ごはんが机に並べられていた
寧々「私が作らなきゃいけないのに、すみません」
仁科和「いえ、いいんですよ。あんまり眠れなくて、早く起きてしまったから」
寧々「あ、和さんも眠れなかったんですか?」
仁科和「ええ、はい」
寧々「実は私も眠れなくて」
仁科和「そうですか・・・」
  照れ臭くなって、二人は俯いた
寧々「た、食べましょう!」
仁科和「そうですね!食べましょう!」
  和は目玉焼きを頬張った
寧々「あの、今日お仕事は?」
仁科和「今日は休みなんです。 それで寧々さん」
寧々「はい」
仁科和「二人で散歩でもしませんか?」
寧々「散歩ですか?」
仁科和「この村のこと、あまり紹介してなかったから・・・」
寧々「ああ、なるほど それは嬉しいです!」
仁科和「じゃあ、食べたら行きましょう」
寧々「はい!」

〇山間の集落
  二人は村を一周するように歩いた

〇古びた神社
仁科和「ここは、神社なんですけど」
仁科和「もうあまり使われていなくて」
寧々「お祭りをしていた神社とは違うんですね」
仁科和「ここはあまり誰も寄り付きません」
仁科和「神様も、もう住んでいないようなそんなところですから」
寧々「そうなんだ」
仁科和「ちょっと寒いですね 次へ行きましょう」

〇枯れ井戸
寧々「ここは?」
仁科和「もう使われいない枯れ井戸です」
仁科和「昔はこの井戸に罪人を葬ったという噂があります」
寧々「何だか怖いですね」
仁科和「昔の話ですから」
寧々「でも、幽霊が出たりして」
仁科和「もし幽霊が寧々さんを襲っても俺・・・」
仁科和「守りますから、絶対」
寧々「・・・」
仁科和「何があっても・・・」
  和が真っ直ぐ寧々の目を見て言う
寧々「でも・・・」
寧々「もし私が悪いことしてた人だったら?」
仁科和「え?」
寧々「この井戸に落とされちゃうのでしょうか」
仁科和「寧々さんは悪い人じゃないですよ」
寧々「どうしてそう言えるんですか?」
仁科和「あんなにおいしい味噌汁を作る人に悪い人はいません」
仁科和「それに手も温かいし・・・・・・ そんな人が悪い人なわけないですよ」
寧々「和さん・・・」
  二人は見つめ合った
  その時──

〇水たまり
  ザザッ────
「寧々!!!」
「イヤッ────」

〇枯れ井戸
寧々「イヤッ・・・」
  寧々が急にしゃがんで頭を抱えた
仁科和「寧々さん?! 大丈夫ですか?!」
寧々「急に頭が────ズキズキして」
寧々「わたし、、、わたし、、、、」
  寧々は混乱しているようだった
仁科和「さっきの神社で休みましょう 立てますか?」
寧々「はい・・・」

〇古びた神社
仁科和「どうですか気分は?」
寧々「随分、良くなりました ご心配おかけしました」
仁科和「それは、いいんですが」
仁科和「何か嫌なこと思い出したりしましたか?」
仁科和「言える範囲でいいんですが」
寧々「分らないです」
寧々「分らないけど、ただ、、、」
  寧々は手首を触りながら言った
寧々「とても怖かった」
仁科和「・・・」
寧々「思い出したくないです」
寧々「でも、ちゃんと思い出さなきゃ」
仁科和「いいんです。 怖いなら思い出さなくて」
寧々「でも、私、ずっと和さんのお世話になるわけには行かないですし」
仁科和「俺は、ずっと寧々さんが居てくれても構いません」
仁科和「ずっと居て下さい」
寧々「それって・・・」
仁科和「あ、いや、、、」
  和は恥ずかしそうに俯く
仁科和「俺、小さい頃からじいちゃんに育てられて、、。 だけど、そのじいちゃんもいなくなってしまって」
仁科和「それで寧々さんがこの村に来て、一緒に住むようになって楽しいんです」
寧々「・・・」
仁科和「毎日が楽しいんです」
仁科和「もう一人じゃないから」
仁科和「だから・・・・・・」
寧々「私で良ければ」
仁科和「え?」
寧々「ずっとそばに居ます」
寧々「和さんが寂しくないように」
寧々「そばに居ます」

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