第十話「純愛。だよ」⑥(脚本)
〇黒
〇街の全景
「逃げろぉぉっ──!!」
〇荒廃したセンター街
市民「もうこの街はダメだッ!」
市民「逃げるんだよぉぉぉッ──!!」
〇黒
「方陣展開」
「超耽美・RAY」
「純愛のパワー」
「嫉妬の炎・摂氏233度!!」
〇荒廃したセンター街
ナオトラ「はぁ・・・はぁ・・・」
「あーあ」
「随分とヤンチャしちまったなぁ──」
三雨 (ササメ)「お互いに。よぉ」
ナオトラ「勝負は・・・」
ナオトラ「これからじゃろう?」
三雨 (ササメ)「あぁ〜?」
三雨 (ササメ)「そうか?」
三雨 (ササメ)「そうだなぁ・・・」
「そうかもなぁッ──!!」
この感情は・・・
なんじゃ・・・?
〇基地の広場(瓦礫あり)
血反吐を吐き──
死に目にも遭うて──
それでもなお
鍛錬を続けた
〇ボロボロの吊り橋
それは──
何のためであったか
〇屋敷の大広間
先代将軍 ヨシトキ「ならん!」
先代将軍 ヨシトキ「一切の手出し無用!」
ナオトラ「なぁッ!?」
ナオトラ「カガ王国とは契約がござる!」
ナオトラ「不義理をしたとあらば」
ナオトラ「武士の名折れに候!」
ナオトラ「拙者ひとりでも助太刀に参るッ!」
先代将軍 ヨシトキ「小童が・・・」
先代将軍 ヨシトキ「礼儀を教えてやるッ──!!」
〇日本庭園
〇城門沿い
ナオトラ「ぅぅ・・・」
ナオトラ「・・・」
〇白
〇洋館のバルコニー
ヤタラ「ッ!」
ヤタラ「・・・」
ヤタラ「・・・」
ヤタラ「・・・」
〇城門沿い
ナオトラ「・・・」
ナオトラ「ごめん──」
〇黒
あぁ──
この感情は
〇荒廃した教会
三雨 (ササメ)「まあ、アレだ──」
三雨 (ササメ)「謝る気はねぇ」
三雨 (ササメ)「たまたま食ったイケメンが」
三雨 (ササメ)「テメーのオトコだったというだけのこと」
ナオトラ「ふっ」
ナオトラ「ふふっ」
ナオトラ「ふはははッ──」
三雨 (ササメ)「?」
ナオトラ「わっちの・・・男?」
ナオトラ「勘違いじゃの」
ナオトラ「そもそも、わっち──」
ナオトラ「男は嫌いじゃ」
〇白
男というナマモノは──
魔性も持たず
弱い上に
醜い
されど・・・!
されど・・・されど・・・!
この男だけは・・・
違うッ!
〇砂漠の滑走路
『ダチ』のため──
その目的を失った、わっちのチカラを
最強とも囁かれる、わっちの全力をッ!
〇荒廃した教会
この男は──
受け止めてくれたッ!
そして何より・・・
美少女ッ──!(男なのに)
ナオトラ「あぁ──」
ナオトラ「そうか・・・」
ナオトラ「これを・・・これを・・・」
三雨 (ササメ)「へっ」
三雨 (ササメ)「男に未練はねぇってことか」
三雨 (ササメ)「じゃあ──」
三雨 (ササメ)「そろそろキメようぜ?」
三雨 (ササメ)「構えなッ!」
この感情を──
この切ない想いを──
〇教会の中
巷ではッ──!
恋と呼ぶのですねッ──!!
〇荒廃した教会
三雨 (ササメ)「極嬢男っ──」
ナオトラ「ふふっ」
ナオトラ「速さでは、わっちが上じゃの」
三雨 (ササメ)「ッ!?」
ナオトラ「ダーリン」
三雨 (ササメ)「ダーリン!?」
〇黒
ナオトラ「純愛のパワー」
ナオトラ「束縛(ソクバク)」
ナオトラ「緊縛(キンバク)」
ナオトラ「サハラ砂漠ッ!」
〇ピラミッド
『アラビアでロマンス』
三雨 (ササメ)「エジプトぉぉぉっ──!?」
ナオトラ「ふふーん」
ナオトラ「ダーリン」
ナオトラ「逃がさないからぁ〜」
三雨 (ササメ)「ひぃぃ・・・」
〇黒
〇結婚式場の前
ナオトラ「というコトじゃ」
「・・・・・・」
どういうコト?
〇結婚式場の前
ナオトラ「はぁ──」
ナオトラ「これだから低学歴は・・・」
ナオトラ「ガムテさん」
ガムテ「は、はい」
ナオトラ「わっちとの愛の物語」
ナオトラ「覚えておろう?」
ガムテ「・・・」
ガムテ「うん」
ナオトラ「タイトルは?」
ガムテ「”半径500メートル”」
ナオトラ「正解!」
ナオトラ「そう、まさに──」
〇街の全景
純愛のパワー
その射程距離は──
”半径500メートル”
〇白
ナオトラ「純愛の魔性は──」
ナオトラ「『愛にまつわる全て』を顕現させる能力」
〇黒
愛ゆえの嫉妬は炎を
土砂降りの夜に──
誓ったハレンチ・・・!
※ なんか水も操る
〇白
ナオトラ「他にも色々あるけれど」
ナオトラ「奥義はコレじゃ」
ナオトラ「『純愛ワールド』」
〇開けた交差点
対象の人物を
半径500メートルに展開した
純愛ワールドに囲い込み
〇綺麗な部屋
堕とすッ!
そして
閉じ込めるッ!
この愛が・・・
思い出に変わってしまう前に・・・!
〇結婚式場の前
ナオトラ「というコトじゃ」
ガムテ「そんな・・・」
ガムテ「あの愛が偽物だったなんて・・・」
ナオトラ「ち、ちがっ!」
ナオトラ「愛してたから!」
ナオトラ「本当に愛してたから!」
ガムテ「来ないで・・・!」
ナオトラ「ガムテさん・・・」
ルック「これはすごい魔法・・・」
ネコニキ「極嬢男姿の閨(ねや)──」
ネコニキ「耽美領域に近い能力だな・・・」
ルック「ん、ということは」
ルック「お兄様も堕とされたのですね?」
三雨 (ササメ)「ッ──!!」
ナオトラ「ダーリンは特に──」
ナオトラ「念入りに可愛がってやったからのう」
ナオトラ「三日三晩!」
ナオトラ「封印も3重〜」
〇ハート
純愛パンケーキの術
まずはダーリンをバナナに封印
これは齧ったら解けるが──
わっちは罠を仕掛けておいたのよ
〇謁見の間
ダーリンの行動はお見通しじゃ
バナナから解放されたらすぐに──
イケメンを食いに行くッ!
〇黒
おしべとおしべ
向かいおうたら──
勢いじゃッ!
触れずにはおられまい?
ここで──
2つめの魔法が発動
〇洋館のバルコニー
発動条件は──
『イケメンに触れる』
まんまと引っかかったのう
〇結婚式場の前
三雨 (ササメ)「女コワイよぉぉぉッ──!!」
ネコニキ「将軍のねーちゃん!」
ネコニキ「もう、ササメはずっと幽霊なのかよ!?」
ナオトラ「ふふっ、まさか」
ナオトラ「言ったじゃろ?」
ナオトラ「わっちと結婚すれば、術は解ける」
ネコニキ「ダメ!絶対ダメッ!」
ルック「ネコどの」
ルック「ここは結婚しか選択肢が無さそうだぞ?」
ガムテ「どうだろうか」
ガムテ「さっき、バナナをかじって」
ガムテ「封印が一時的に解けたろう?」
ルック「うむ」
ルック「アゴが疲れるサイズ感であった」
ネコニキ「姉ちゃん、思い当たるフシがあるのか?」
ガムテ「おそらくは。ですが──」
〇白
私の魔性も封印型
ダンボールを開封するためには
いくつか方法があります
テープを剥がす、カッターを使う・・・
おそらく、ササメ殿の封印も同じ
解除する方法は一つではないはず
〇結婚式場の前
ナオトラ「さすが、ガムテさん」
ナオトラ「ご明察」
ナオトラ「確かにもう一つ」
ナオトラ「術を解く方法はある」
ネコニキ「それはッ!?」
ナオトラ「誰ぞ、バナナをかじった者がおろう?」
ルック「余だけど?」
ナオトラ「ヒトのバナナを勝手にかじりおって」
ナオトラ「躾がなっとらんぞ、”小娘”」
ルック「余はオトコだッ!」
ナオトラ「まあ、よかろう」
ナオトラ「純愛のパワーは──」
ナオトラ「愛より出てて、愛より絡み」
ナオトラ「その縛りを、解かし払う」
ナオトラ「つまり──」
ナオトラ「この世で『たった一人の番』」
ナオトラ「男か女か、どちらでもよいが」
ナオトラ「その者に──」
ナオトラ「バナナをかじらせれば」
ナオトラ「術は解ける」