追加曲1 ドライブ兎のアルペジオ(脚本)
〇霊園の駐車場
うさぎの若者「教官! ありがとうございます 運転のコツがわかってきました」
教習所の教官「それはなによりです 一緒に免許取得まで頑張りましょう」
うさぎの若者「はーい 頑張りまーす」
お母さん、元気ですか?
僕は元気です。
今日も自動車学校で仕事を頑張っています。
色々な人が車の運転できるようになる
そのお手伝いができて
毎日が楽しいです
それに
たまに弟が様子を見に来てくれるので
心強いです。
弟「サモフトにいちゃん! 近くに来たから寄ってみたよ これ、差し入れ」
サモフト「嬉しいな 仕事が終わったらいただくよ」
弟「にいちゃん、無理しないでよ それじゃ」
運転が好きな僕にとって
この仕事は天職です。
たまに凹む時もあるけれど⋯⋯
〇黒
〇霊園の駐車場
〇車内
ふんわりしている少女「えっと、車が動かないです⋯⋯」
サモフト「アクセルを踏もうねー そっちはブレーキ」
ふんわりしている少女「何か音が出ますー⋯⋯」
サモフト「それはクラクションだよ」
ふんわりしている少女「あれえ⋯⋯?」
サモフト(この子本当に技能教習まで 終わってるのかな?)
サモフト「緊張してるのかなー 落ち着いて」
ふんわりしている少女「落ち着かなきゃ落ち着いて⋯⋯」
ふんわりしている少女「すぅ⋯⋯」
サモフト「寝ちゃだめぇ!!」
〇黒
〇霊園の駐車場
サモフト「運転の仕方が理解できるようになりましたね この調子ですよ」
ふんわりしている少女「えへへ⋯⋯ ありがとうございます」
サモフト(この調子だと運転できるまで しばらくかかりそうだなぁ 学科教習でやった事忘れてるし⋯⋯)
サモフト「さて、次は⋯⋯」
サモフト「担当のサモフトです 今日はよろしく──」
冷静そうな青年「あのですねぇ」
サモフト「はい?」
冷静そうな青年「ぼくはもう別の国で免許持ってるんです 同じ事やるのは時間の無駄なので 合格って事にしてくれませんか?」
サモフト「いやいやいや! この国で運転するなら試験は必要だよ!?」
冷静そうな青年「は? どの国だって運転方法変わらないでしょ 筆記試験は合格してるんだし」
サモフト「そんな事言われても⋯⋯ 免許センターで一発試験もあるし そちらで相談したらよいのでは」
冷静そうな青年「真っ先に聞いた 断られたからここで頼んでる」
サモフト「ここは普通の自動車学校ですよ センターでダメだったらこっちもダメだよ!?」
冷静そうな青年「⋯⋯仕方ない 無駄な時間だけどまた試験を受けるか 学科も受け直したというのに」
サモフト「え、えーと修了検定までは終わってるよね と、とりあえず路上運転してみようか」
〇走行する車内
サモフト(運転は順調そうだな)
冷静そうな青年「チッ⋯⋯」
サモフト「え?」
冷静そうな青年「前の車がトロくせえー!!」
サモフト(運転すると豹変する人!?)
サモフト「お、落ち着いて⋯⋯」
冷静そうな青年「もっとスピードあげるぞオラァ!!」
サモフト「す、スピード違反はだめだよ!! 落ち着いてー!?」
〇霊園の駐車場
サモフト(死ぬかと思った⋯⋯)
サモフト(今日は変わった人ばかり当たるけど たまたまだよね 次の人はきっと普通──)
ゴリラっぽい人「ウホ」
サモフト「ゴーリラー!?」
ゴリラっぽい人「ウホッウホウホウホ ウッホホ」
サモフト「何言ってるか全然分からない 誰か助けて⋯⋯」
ゴリラっぽい人「ウッホホー」
〇黒
〇一人部屋(車いす無し)
サモフト「今日は疲れたな⋯⋯」
サモフト「ん? 電話が⋯⋯」
サモフト「もしもし」
弟「もしもしにいちゃん? 何してた」
サモフト「別に何もしてないけど どうした?」
弟「なんとなく疲れてるんじゃないかと 思ってさ 心配で電話したんだ」
弟は昔からそうでした。
勘が鋭く、僕に何かあった時は
必ず電話をくれるのです
サモフト「今日はちょっと変わった人達を 相手したから疲れただけさ 心配ないよ」
弟「それならいいんだけど 何かよくない事が起きそうな気がしてさ」
サモフト「大丈夫だって 心配性だなぁ」
弟「仕事で嫌な事はない? 大丈夫?」
サモフト「大丈夫だよ いつも言ってるだろ この仕事やりがいがあって楽しいんだって」
弟「それならいいんだけど 気を付けてね それじゃ」
仕事は楽な事ばかりではありません。
辛い事も多いです。
でも好きな仕事なので頑張ります。
〇黒
〇霊園の駐車場
サモフト「今日も一日頑張ろ 気持ちを切り替えないとな」
〇霊園の駐車場
〇霊園の駐車場
サモフト「次は、ウータミィさん」
ウータミィ「はーい」
サモフト「路上練習するよ」
サモフト(筆記試験も問題無いし この子は大丈夫そうだな)
〇車内
サモフト「シートベルトしめて、エンジン始動して ──」
ウータミィ「はーい」
サモフト「って、シフトレバーどうしたの!?」
ウータミィ「触ったら取れちゃいました」
サモフト「あぁ! ハンドルも取れてるー!?」
ウータミィ「おかしいなぁ ちょっと触っただけなんだけど」
サモフト「うわぁ!! ペダルも壊れてる!?」
ウータミィ「ごめんなさい、直してみるね」
サモフト「いや、触らなくていい ああードアも外れてる! やめて触らないでえぇぇえー!!」
〇霊園の駐車場
ウータミィ「え、えーと」
サモフト「モウ、カエッテ」
ウータミィ「え?」
サモフト「あなたは出禁ですー!! モウコナイデ、マジデ」
ウータミィ「ガーン」
〇黒
〇一人部屋(車いす無し)
弟「兄ちゃん、遊びに来たよ!」
サモフト「いらっしゃい⋯⋯」
弟「どうしたの? 元気ないよにいちゃん」
サモフト「はぁ⋯⋯ もう仕事辞めようかな」
弟「どうしたんだよ 弱音吐くなんて なにかあったの?」
サモフト「今日、車が大破してさ⋯⋯ でも上司にお前の教え方が悪いって 怒られちゃって」
弟「そんなひどい! にいちゃんいつも頑張ってるのに」
サモフト「僕がもう少し注意して見ていれば 防げたかもしれないからね⋯⋯」
弟「そんなぁ⋯⋯」
サモフト「僕の指導不足が原因なんだきっと この仕事向いてないのかもな」
弟「そんな事ない にいちゃんいつも言ってたじゃないか やりがいのある仕事で楽しいって」
サモフト「⋯⋯そうだね」
サモフト「ありがとう もうちょっと頑張ってみるよ」
弟「元気になってよかった」
サモフト「心配かけてすまないね そろそろ帰らなくていいのか? お前も明日仕事だろ」
弟「明日は有給で休みさ 彼女とデートで街まで行くんだ」
サモフト「それなら早く帰らないと」
弟「大丈夫大丈夫 兄ちゃん、今度実家に帰りなよ 母さん心配してるんだからさ」
サモフト「わかった 今度休みを調整するよ それから──」
〇黒
〇一人部屋(車いす無し)
サモフト「弟に心配かけちゃったな⋯⋯ もう少し頑張るか」
落ち込む事もあるけれど
僕はもう少しこの仕事を
頑張ろうと思います。
サモフト「早く起きちゃったし 昨日の事務処理もあるし 少し早く会社行くか」
サモフト「あいつは今頃彼女とデートしてるのかな 青春してるなぁ」
追伸
今度の長期休みには帰ります。
久しぶりに母さんの手料理が食べたいな。
〇黒
〇霊園の駐車場
サモフト「さて 今日も仕事を──」
サモフト「あれ? 誰もいない」
散歩中の老人「あら、あんたニュース見てないのかい?」
サモフト「え?」
散歩中の老人「虫が大量発生したって! 今日はどこも臨時休業してるよ」
サモフト「えぇ!?」
散歩中の老人「あたしゃニュース見て 慌てて食料品買いに行った帰りさ もうスーパーもどこも閉まってるよ」
サモフト「一体何が⋯⋯」
散歩中の老人「ほら、早くあんたも帰りな!」
サモフト「でも⋯⋯ 会社からは何も連絡なかったし ん、電話が」
仕事の同僚「サモフト君 今日は仕事お休みだってー まぁ、あのニュース見たら出社してないよね」
サモフト「えっと⋯⋯?」
会社の同僚「騒動が収まるまで暫く会社も 臨時休業するんだってさ あと──」
サモフト「ニュースって⋯⋯ 何が起きてるんだ」
サモフト「⋯⋯」
サモフト「うわぁ!?」
〇空
〇草原の道
サモフト「うわあぁああ!!」
〇草原の道
サモフト「会社も連絡来るの遅いんだよォー!! あんな会社辞めてやるー!」
母さんへ
もしかしたら帰るのは
もう少し後になるかもしれません。
〇黒
本編へ続く・・・
ウータミィが車を解体する珍事件の前にも、教官のサモフトには苦労が絶えなかったんですね……。
それにしてもマリンバ……車で性格が変わる奴だったとは。シーファは愚か、ウータミィに遭遇したら不味い奴。
弟くん、ええ子や☺️✨
身内や友達、恋人が自分の事を心配してくれるって幸せな事だと思いますし、本当の人間関係を築いていけるんだと思う今日この頃です🤔
マリンバは運転すると豹変するタイプ…😅
そしてウータミィは車を解体するタイプ←!?
そしてそしてG!ヒエッ😱
本編をお待ちしてますG!