蛇地獄

YO-SUKE

第15話 『獲物の匂い』(脚本)

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〇店の休憩室
遥香「な、何それ・・・!  その腕はなんなの!?」
片岡七瀬「・・・・・・」
遥香「あんた人間じゃないの!?」
  七瀬は黙ったまま遥香に顔を寄せる。
遥香「やめ・・・やめてっ・・・!」
片岡七瀬「美味しそう」
遥香「いやぁぁぁぁぁぁ!!」

〇住宅街
  遥香はペットショップを飛び出すと、夜道を必死に駆けて行った。
遥香「ハァ・・・ハァ・・・!」
  途中で後ろを振り向くが、そこには暗い闇が広がるばかりで人影はない。
遥香「な、なんなのよ!  なんであんな化け物が──」
  そう言いつつ遥香が前を向き直る。
片岡七瀬「・・・・・・」
遥香「!」
  遥香の目の前に七瀬が立っていた。
  暗闇の中、七瀬の両目が黄色く光る。

〇街中の交番
遥香「ハァ・・・ハァ・・・!」
  七瀬は息を切らしながら、交番前にいる警察官の元へ駆け寄った。
警察官「ど、どうしました!?」
遥香「助けてください!」
遥香「化け物に・・・化け物に追われているんです!」
警察官「化け物?」
遥香「め、目が光って、緑の皮膚に覆われて、舌が二つに分かれてて」
警察官「・・・・・・」
遥香「そう・・・まるで蛇みたいな!  蛇みたいな女が私を見て美味しそうって」
警察官「ハハ。蛇女ですか」
遥香「笑いごとじゃありません!」
警察官「わかりました。 中で話を聞きますから落ち着いてください」
遥香「すぐそこにいるんです!  お願いします! あいつを殺して!」
警察官「あのねえ・・・」
  遥香が必死に訴えていると、警察官の背後の暗闇に黄色い光がちらつく。
遥香「! そこに! そこにいます!!」
警察官「はいはい。いま調べますから」
  動揺した遥香は、警察官の腰にある拳銃を取ろうともがいた。
警察官「こら! 何をするんだ!?」
遥香「さっさとこれで撃ち殺してよ!」
警察官「何を言っているんだ・・・! 離しなさい!」
  警察官に突き飛ばされて尻もちをつく遥香。
  顔を見上げると、警察官のすぐ背後に七瀬の顔があった。
片岡七瀬「・・・・・・」
遥香「!!」

〇広い公園

〇公衆トイレ

〇個室のトイレ
遥香「ハァ・・・ハァ・・・!」
  遥香は必死に走り、公園内の公衆トイレに駆け込んだ。
  一番奥にある個室に入ると、震える手をなんとか制しながらドアを閉める。
  鞄からスマホを取り出すと坂下に電話をかけた。
  プルルル、プルルル・・・
遥香「!」
  ごめん。いま忙しい──
遥香「七瀬さんに襲われてるの!」
  ・・・?
遥香「いま、私・・・! 隠れてて・・・!」
  ちょっと遥香ちゃん、落ち着いて。
  なんで七瀬が遥香ちゃんを襲うんだ
遥香「すごく怒ってる・・・どうしよう、私のせいだ」
  怒ってる? いったい何が──
遥香「あの女は人間じゃない!」
  ・・・・・・
遥香「一緒に暮らしてれば、あの女の腕を何度も見てるでしょ!?」
  ・・・腕?
  シューッ、シューッ
遥香「・・・!」
  不気味な物音に気付いた遥香は、携帯の通話口を手で押さえた。
  遥香ちゃん? ・・・遥香ちゃん!
  何者かの足音が、コツコツと遥香の個室に近づいてくる。
遥香「ごめんなさい・・・! 」
遥香「私がたくさん、あんなこと・・・したから! 」
遥香「もうしないから! だからお願い・・・」
  不意に足音が止まって辺りが静まり返る。
遥香「・・・!」
  しばらく沈黙が流れたあと、足音は少しずつ遠ざかっていった。
遥香「・・・・・・」
  遥香ちゃん! 大丈夫?
遥香「坂下さん、私──」
  ・・・見つけた
遥香「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
  遥香ちゃん・・・!

〇黒
  静寂の後──。
  個室の扉の下から鮮血が流れた。

〇綺麗な一人部屋
  雀荘にいた坂下は急いで七瀬のアパートに戻ってきた。
坂下道雄「七瀬は・・・いないか」

〇個室のトイレ
遥香「あの女は人間じゃない!」

〇綺麗な一人部屋
坂下道雄「人間じゃなかったら・・・なんなんだよ」
  ピンポーン
  ドアのインターホンが鳴り、坂下は玄関の方へ駆けて行った。

〇玄関の外
犬伏徹「夜分に失礼します」
坂下道雄「あなたは・・・」

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