蛇地獄

YO-SUKE

第16話 『爬虫類』(脚本)

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〇薬局の店内
  坂下はレジの前にやってくると、店員の前に大量のカイロを置いた。
坂下道雄「これ、全部もらえますか」
店員「は、はい・・・」
坂下道雄「ハハ。彼女が寒がりなんですよね」

〇綺麗な一人部屋
  七瀬は苦しそうにベッドで横になっていた。
  坂下は七瀬のベッドの中に、先ほど購入してきた大量のカイロを入れる。
坂下道雄「・・・本当にこんなのでいいのか?」
片岡七瀬「・・・うん、温まる。ありがとう」
坂下道雄「でも急にどうしたんだろうな」
片岡七瀬「変なものでも食べちゃった・・・かな」
片岡七瀬「コホッ・・・ケホッ・・・」
坂下道雄「・・・・・・」

〇綺麗な一人部屋
坂下道雄「これ・・・この服ってもしかして──」

〇綺麗な一人部屋
坂下道雄「・・・なあ、変なこと聞いていいか?」
片岡七瀬「ん?」
坂下道雄「七瀬の店の店長いただろ?  ここに来たりしたか?」
片岡七瀬「え? なんで? 来るわけないじゃん」
坂下道雄「そ、そっか」
片岡七瀬「どうしたの?」
坂下道雄「いや、それともう一つ」
坂下道雄「今日って、その・・・遥香ちゃんに会ったりした?」
片岡七瀬「うん」
坂下道雄「・・・・・・」
片岡七瀬「風邪で仕事休んだはずだったんだけど、帰り際、なぜか店に来てて・・・」
坂下道雄「そう・・・なんだ」
片岡七瀬「あれ、でもどんなこと話したか覚えてないや」
坂下道雄「・・・そっか」

〇綺麗な一人部屋
  しばらくして七瀬は眠りについた。
片岡七瀬「スー、スー・・・」
  布団の端からはパジャマ姿の七瀬の腕が投げ出されている。

〇黒
遥香「一緒に暮らしてれば、あの女の腕を何度も見てるでしょ!?」

〇綺麗な一人部屋
坂下道雄「腕・・・か」
  坂下は七瀬の腕に恐る恐る手を伸ばす。
片岡七瀬「道雄・・・」
坂下道雄「!」
片岡七瀬「ありがと・・・ね」
坂下道雄「・・・・・・」

〇綺麗な一人部屋
  結局、坂下は七瀬の腕を確認しないまま眠りについた。
  翌朝、坂下が起きてくるとテーブルの上に朝食が用意されていた。
坂下道雄「・・・もういいのか?」
片岡七瀬「ちょっと良くなったからご飯だけ作った。 仕事は休むつもり」
坂下道雄「そっか」
  坂下は七瀬の前に座って朝食を食べ始める。
片岡七瀬「・・・ねえ、道雄」
坂下道雄「ん?」
片岡七瀬「私、仕事辞めていいかな?」
坂下道雄「え?」
片岡七瀬「最近、体調崩しがちだったでしょ?」
片岡七瀬「モリーが死んで、ずっとしんどかったのもあるし、少し休んでもいいかなって」
坂下道雄「いや、でも生活は・・・」
  坂下が言いかけると、七瀬は通帳と印鑑を取り出してきて坂下の前に置いた。
片岡七瀬「貯金ならある」
片岡七瀬「しばらくなら、道雄に今まで通りお小遣いをあげられるし、問題ないと思う」
  坂下が通帳を手に取り中を開くと、そこには300万の預金が記帳されていた。
坂下道雄「300万!?」
片岡七瀬「学生時代からコツコツ貯めてたから」
坂下道雄「・・・・・・」
片岡七瀬「これ、道雄に預けるから」
坂下道雄「え?」
片岡七瀬「少しなら自由に使っていいからさ」
坂下道雄「・・・・・・」

〇雀荘
常連の男「兄ちゃん、今日は振り込んでばかりの割に機嫌いいねえ」
坂下道雄「ハハ。すぐ取り返しますから。 それに軍資金はたんまりあるんで」
常連の男「臨時収入ってやつか」
坂下道雄「みたいなもんです」
常連の男「なら俺が最近聞いた儲け話、今度聞いてみるかい?」
坂下道雄「どうせ怪しい話なんじゃないですか?」
常連の男「ハハハ、でも俺はそれに乗っかって、半年で貯金が倍になったぞ」
坂下道雄「またまた~」
常連の男「銀行に預けとくよりはうんといいと思うけどなぁ」
坂下道雄「あ、自分リーチっす」

〇渋谷のスクランブル交差点
  雀荘からの帰り道。
  坂下が上機嫌で歩いていると、街の大型ヴィジョンの前に人だかりができていた。
  やだ・・・この近くじゃない
坂下道雄「・・・?」
  見上げると、大型ヴィジョンにニュース番組が放送されている。

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