その瞳に反射する、まっすぐな祈り

なもなき一職人

前編 【キミの瞳から見える世界】(脚本)

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〇空
  言葉に出来なくても、
  
  伝えたい想いがあって......

〇マンションの共用廊下
  日曜の朝10時、
  
  1匹と1人が、にらめっこ♪
  にらめっこだけど
  
  笑ったら負けとか
  
  そんなじゃなくて...

〇明るいリビング
彼女(30)「・・・・・・」

〇部屋の扉

〇明るいリビング
彼女(30)「やっぱり、返してくれてる!」
彼女(30)「マバタキを!!」

〇部屋の扉
  マバタキは伝える!
  
  愛を、伝えていく!
「こっち、おーいで!」
ネコ(21)「ナー」

〇明るいリビング
彼女(30)「よしよし♪」
ネコ(21)「ニャー♪」
彼女(30)「お互いに『だいすき』を返しあえたね♪」
彼(30)「そうなん?(ボソッ」
彼女(30)「にゃーにゃー♪」
ネコ(21)「ニャーニャー♪」
彼女(30)「にゃ~♪」
ネコ(21)「ニャ~♪」
「にゃぁぁぁぁぁ~♪」
  ──とってもシアワセな、
  
  1匹と1人だけの空間......
彼(30)「置いてきぼりなんだが──」
彼(30)「向い合わせで見つめあって 人と猫がマバタキって、何ごと?」
彼女(30)「お、おはよう!」
彼(30)「あぁ、おはようさん!」
彼女(30)「えーと!えーと!」
彼女(30)「アンタをワザと無視した訳じゃないから!」
彼女(30)「か、勘違いしないでよね!」
彼(30)「いや、そんな別に──」
彼(30)「俺は、 寂しがり屋キャラでも無いしよ」
彼女(30)「そ、そぉかな!?」
彼女(30)「保育園の頃から、アンタは1人にされると」
彼女(30)「いっつも、イジケちゃうじゃない!」
彼(30)「そんなんも有ったかも知れんけど もういい大人だし──」
彼(30)「どうでもいいよ、気にすんな!」
彼女(30)「ほんとに~!?」
彼(30)「あのさ、俺ら来月には 付き合って13年のツーカーな間柄よ!」
彼(30)「お前がイイ奴だってのも ちゃんと分かってるから」
彼女(30)「とりあえず 大丈夫そうで、よかった~!」
彼(30)「“つーか”、 今週も起きるの遅くなっちまったな」
彼女(30)「まぁ、 最近はアンタのお仕事もタイヘンだし」
彼女(30)「日曜日くらい、 ゆっくりしてても──」
彼女(30)「そうそう! 冷蔵庫にあるからさ、朝ゴハン!!」
彼(30)「・・・おう!」
彼(30)「この前みたく、レンジして食べるよ!」
彼(30)「きっと、冷めてるだろうからな・・・」
ネコ(21)「・・・」
  微妙に噛み合わないけれど
  
  似た者同士の
  仲いい2人である......

〇空

〇部屋の扉
彼(30)「えっと、あとは・・・!」
彼(30)「おっと!端っこに──」
彼(30)「うっし、こんなもんかね!」
彼(30)「今週の洗濯と掃除は完了!」

〇明るいリビング
彼女(30)「うりゃ~」
「そのヒモで遊ぶの、よく飽きねぇな」
彼女(30)「だって大好きだし、楽しいものね~!」
ネコ(21)「ナー♪」
彼(30)「ゴキゲンだな!」
彼女(30)「ふふっ、ありがとう!」
彼女(30)「それから掃除も洗濯も、ありがとう!!」
彼(30)「思い出した!」
彼(30)「あ、あのさー 結局、何だったん?」
彼(30)「朝方に、コイツと向かい合わせで お互いに見つめ合いながら」
彼(30)「マバタキしあってたけど、 いったい──???」
彼女(30)「あー、 アレは『スロー・ブリンク』って言ってね」
彼女(30)「人と猫の間で、 『だいすき』や『愛してる』って気持ちを」
彼女(30)「伝え合うコミュニケーションなのよね~」
ネコ(21)「ナー♪」
彼(30)「マバタキが、 人と猫の間で『だいすき』・・・」
彼(30)「マジで、そういうのがあるんか・・・」
  マジです!

〇明るいリビング
彼女(30)「朝に、ネットで調べたんだけどね~」
彼女(30)「理屈は、 よく分からないらしいけど──」
彼女(30)「人が猫にマバタキを 特に、ゆ~っくりマバタキをしてあげると」
彼女(30)「マバタキ返してくれたり、 好意的な反応を見せてくれるんだって!」
ネコ(21)「ニャー♪」
彼(30)「確かに、ぽいコトやってたな」
彼女(30)「モチロン、 互いに気持ちがあるのは前提だけど──」
彼女(30)「好きって仕草をすれば、 同じ様に返してくれるのって」
彼女(30)「想いが通じ合うってカンジでいいよね♡」
彼女(30)「──そうだ!」
彼女(30)「アンタも、このコにマバタキしたげて!」
彼(30)「はぃぃぃ!?」
彼女(30)「『だいすき』とか『愛してる』を、」
彼女(30)「ゆっくりマバタキして、伝えてあげて!」
彼(30)「ん・・・」
彼(30)「俺は、やめとくよ! ガラじゃねーし!」
彼女(30)「えぇ!?」
彼女(30)「もしかして、照れてるの!?」
彼(30)「ち、違うわ。」
彼女(30)「あっ、ふ~ん!」
彼(30)「って、言うか!」
彼(30)「俺に『だいすき』とか伝えられても 迷惑だろ、コイツも!」
ネコ(21)「ヌー!」
彼女(30)「そ、そんなコトないよね!」
ネコ(21)「ナー!」
彼(30)「まぁ、 これから明日の企画書作りやりたいから」
彼(30)「そっちに集中させて貰っても──」
彼女(30)「あ! いいよいいよ、ゼンセン!」
彼女(30)「お夕飯、私が頑張って作るから!」
彼女(30)「任せておきんシャイ!」
彼女(30)「そーだ! 何か食べたいものリクエストある?」
彼(30)「──ない!」
彼(30)「いつも通りの、テキトーで良いからな~」
彼女(30)「おけまる水産っ」
彼女(30)「それじゃ、買い物に行ってくるね~」
  ・・・・・・

〇空

〇空

〇明るいリビング
彼(30)「まいったね、どーも!」
「大変そうね...」
彼(30)「あぁ、そこに置いといてくれ!」
彼女(30)「・・・はーい!」
彼(30)「あとで俺が洗って、棚に戻しとくからよ」
彼女(30)「ありがとうっ」
彼女(30)「ねぇ、悪いんだけど!」
彼(30)「ん、どーした?」
彼女(30)「もう眠いから、先に寝とくね!」
彼(30)「はいはい!おやすみ~♪」
彼女(30)「・・・一生懸命なのはイイケドさ、」
彼女(30)「あんまり、無理しちゃダメだよ・・・!」
彼(30)「大丈夫だって。」
彼(30)「締切直前の、深夜労働は楽しいなぁ~。」
彼(30)「あはははは!」
彼(30)「──ふぅ」

〇明るいリビング
  外は雨が降りだした
彼(30)「はぁ、 こんなもんかね・・・・・・?」
彼(30)「おぉ!」
ネコ(21)「ニャォー」
彼(30)「お前は眠くないんか──!?」
ネコ(21)「ヌー」
彼(30)「・・・ん~」
彼(30)「アイツも寝てて、見られる事ないし(ボソッ」
彼(30)「俺も、やってみようか?(ボソッ」
「・・・・・・」
彼(30)「──ど、どうよ」
彼(30)「伝わったか、俺からの愛!?」
ネコ(21)「・・・」
ネコ(21)「ニャ二ャー!」
彼(30)「・・・怒られた」
彼(30)「うぅ・・・」

〇明るいリビング
彼(30)「とほほ・・・」
ネコ(21)「ンー・・・」
ネコ(21)「ニャーニャニャニャー ニャーニャニャニャー ニャーニャニャーニャ ニャーニャニャニャーニャ♪」
ネコ(21)「ニャーニャーニャーニャニャー ニャーニャニャーニャニャ ニャニャニャーニャニャ♪」
ネコ(21)「ニャニャー ニャニャニャー ニャニャニャーニャー♪」
彼(30)「うえぇ!?」
ネコ(21)「ンン・・・」
ネコ(21)「ニャーニャニャニャー ニャーニャニャニャー ニャーニャニャーニャ ニャーニャニャニャーニャ♪」
ネコ(21)「ニャーニャーニャニャーニャー ニャーニャーニャ ニャニャーニャニャ ニャニャ ニャニャニャーニャニャ♪」
ネコ(21)「ニャニャー ニャニャニャー ニャニャニャーニャー♪」
ネコ(21)「・・・・・・」
彼(30)「いや、そう言われましても」
彼(30)「ごめんな・・・」
彼(30)「お前とも20年の付き合いになるけれど」
彼(30)「猫の言葉は、わかんねーよ」

〇明るいリビング

〇黒
彼(30)「・・・」
  ここは、夢の中
  だけど、それでも──
  彼は、思いを巡らせている
ネコ(21)「ニャー! ニャー! ! ニャー! ! !」
ネコ(21)「──」
  何かを伝えたいのは分かる
  アイツは何を伝えたい・・・?
  俺は、何をしたらいい・・・?
  ・・・・・・
彼女(30)「やっぱり、照れてるの──?」
  ──うるさいな!
「──」
  ・・・ゴメン
彼女(30)「アタシからの、お願い!」
彼女(30)「『愛してる』とか『ありがとう』とかさ」
彼女(30)「ちゃんと、言ってあげてね」
  ・・・・・・え
  ──どこ行くんだよ!
  ・・・
  ま、
  待ってくれ!

〇黒
  じゃないと──
  じゃないと、きっとね──
  やっぱり、寂しいからさ

コメント

  • 映像作品として本当に見入ってしまいました! エフェクトや表情まで細やかに仕掛けられていて✨ 場面や会話のテンポも、ネコ様との暮らしの空気がすごく感じられます🥰
    この作品、ほのぼのネコ様ライフのお話かと思いきや、分類は「ミステリー」なんですね💦 ミステリー展開が到来するのか、すでにその要素が散りばめられていたのか、などと考えると気分が高揚します😊

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