読切(脚本)
〇白い校舎
〇グラウンドの水飲み場
萱場真之介「ん? あれ?」
目を閉じたままタオルを探す萱場。
服部あずさ「ねえねえ、真之介」
萱場真之介「あ、俺のタオル! お前なー!」
あずさからタオルをひったくる萱場。
服部あずさ「ねえ、知ってる?」
萱場真之介「何を。てか、あず、部活は?」
服部あずさ「いつもの”顧問のご都合”てやつ。 これから、みんなでプール行くんだ」
萱場真之介「顧問いないくらいで、部活休みかよ」
服部あずさ「バドミントンはサッカーみたく強くないからね」
服部あずさ「って、そうじゃなくてさ」
萱場真之介「ん?」
服部あずさ「裏門のなっがい石段あるでしょ」
萱場真之介「ああ」
服部あずさ「8月8日の満月の夜にあそこを8回上ると・・・」
萱場真之介「あー聞いたことある」
萱場真之介「運命の人に会えるとかって、いかにも女子が好きそうな」
服部あずさ「ププッ。何それ! 真之介、誰から聞いたの?」
萱場真之介「は? 違うのかよ。じゃあなんだ?」
服部あずさ「石段を8回上って神社の方に行くと、鏡が祭壇にあってね」
萱場真之介「鏡? そっちの方がねーな」
服部あずさ「運命の人の方がありえないでしょ」
萱場真之介「で? その鏡が何だって?」
服部あずさ「・・・もう、いい」
萱場真之介「はあ?」
服部あずさ「知らない! 真之介のアホ!」
萱場真之介「はあ? 何だよ、急に!」
服部あずさ「べー!」
〇ファストフード店
〇ファストフード店の席
ハンバーガーを頬張る3人。
杉涼「一般的に、サッカー部ってモテるよな?」
森下翔馬「まあ、花形ですよね。部活の」
萱場真之介「彼女いない奴が言っても説得力ないな」
「お前もいないだろ!」
萱場真之介「俺、そういうの興味ないし」
杉涼「とか言ってー。 カヤ、今日は後輩ちゃんと、何話してたの?」
森下翔馬「なに? センパーイ、お祭り行きませんかあ? ってか! このリア充め!」
萱場真之介「何言ってんだ。あいつはただの──」
杉涼「幼馴染な」
杉涼「でもさ8日、祭りだよ?」
杉涼「真ちゃん今年で卒業だし・・・勇気を出して誘ってみよっかな的なことがあったんじゃないの?」
萱場真之介「・・・・・・」
杉涼「・・・んだよ、ノリ悪ぃ」
森下翔馬「その冷たい目、やめて!」
萱場真之介「そんなに夏らしいことしたいなら、海行こうぜ、海」
杉涼「お前、男だけで海って・・・」
森下翔馬「えー? 祭りは? 祭り行こうよ」
萱場真之介「それこそ、男だけで行ったって」
森下翔馬「ほう。 カヤは祭りに、可愛い後輩ちゃんと行きたいと?」
萱場真之介「はあ? なんでそうなる」
森下翔馬「恋のキューピッド、発動! てい!」
森下が萱場のスマホを奪い、操作する。
萱場真之介「ちょ! やめろ!」
森下翔馬「祭り、い、か、ね? っと。送信」
萱場真之介「は、なに! マジで送ったのか?」
森下翔馬「あずさちゃん、でいいんだよな?」
杉涼「ん。そんな名前だったような気がする」
萱場真之介「ま、おま、マジのマジで」
森下翔馬「えへ、マジで送っちゃった」
杉涼「祭りの報告よろしくー」
森下翔馬「断られたら、それはそれで面白いから教えろよ」
萱場真之介「お前ら・・・」
〇女の子の一人部屋
服部あずさ「嘘・・・でしょ」
服部あずさ「やったあー!」
〇神社の出店
萱場真之介「すげー人だな」
服部あずさ「・・・う、うん」
萱場真之介「行くか」
服部あずさ「どこに?」
萱場真之介「・・・なんか食う。腹減った」
服部あずさ「・・・そういえば」
服部あずさ「あ! イカ焼き!」
萱場真之介「いいな!」
〇神社の出店
萱場真之介「次、どうする? 射的、金魚・・・」
服部あずさ「・・・・・・」
服部あずさ「立ち止まり、足元を見るあずさ。」
萱場真之介「どした?」
服部あずさ「う、ううん、何でもない」
萱場真之介「靴擦れしてんじゃん。 あれ? 下駄でも靴擦れっていうのか?」
服部あずさ「大丈夫! 全然、こんなの」
萱場真之介「浴衣なんて、慣れねえもん着るから」
服部あずさ「・・・・・・」
萱場真之介「しょうがねえなー」
服部あずさ「・・・・・・」
萱場真之介「あず?」
服部あずさ「大丈夫だって言ってるでしょ!」
服部あずさ「もういい、そういうこと言うなら・・・帰る!」
萱場真之介「あず・・・」
人ごみの中に消えて行くあずさ。
〇神社の石段
石段の一番上に座っているあずさ。
萱場真之介「あず!」
服部あずさ「・・・・・・」
石段を上る萱場。
萱場真之介「ハァ・・・ハァ・・・」
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