鈴木は人気配信者を目指し最強の錬金術師と契約する

司(つかさ)

10話(脚本)

鈴木は人気配信者を目指し最強の錬金術師と契約する

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〇街中の道路
鈴木「避難所にはもう着くはずです」
鈴木「大吾さん。傷の方は大丈夫ですか?」
大吾「ああ。君の手当てのおかげで少し楽になった」
大吾「だが、油断すると意識がもうろうとしてくる」
大吾「すまんが、急いでくれ」
パンドラ「大吾、先ほどの学校に知り合いは居たのか」
大吾「案内してくれた女の子の事は良く知らなかったが、先生は見たことがあった」
大吾「だが、俺が知ってる先生はあんな人じゃない」
パンドラ「やはり・・・・・・そうか」
鈴木「パンドラさん、どういうことです?」
パンドラ「ああ、鈴木それは」
大吾「──おい待て、止まるんだ」
  大吾が道半ばで二人を制止する
大吾「誰か来る」
  大吾がそう言ってから数秒後
  全員に聞こえるくらい沢山の集団の音がこちらに向かっているのがわかった
パンドラ「鈴木、気配を消す薬は」
鈴木「あと、1回しか使えません」
パンドラ「仕方ない。一旦使って様子をみるぞ」
  鈴木はすぐに薬を使用した
  集団が徐々に近づき、その輪郭が明らかになる
大吾「先頭にいるのは・・・・・・一輝だ」
大吾「アイツなんで持ち場を・・・・・・」
大吾「なっ!?」
  大吾が自ら言った疑問は、すぐに解消された
  一輝は避難所にいた他の住人達に追いかけられていた

〇街中の道路
一輝「皆さん。やめてください!」
一輝「大吾さん、大吾さん!! どこにいるんですか!」
  一輝は全速力で向かってくるが、こちらには気づかない
大吾「くそっ、何が起こってやがる!」
大吾「アイツを助けないと」
  大吾が咄嗟に手を離して駆けだそうとするが、鈴木は手を離さなかった
鈴木「今行ったら駄目です」
大吾「離せ! 部下が危険なんだ」
鈴木「駄目ですって! 大吾さんだってまともに動ける状態じゃないですから」
大吾「ならどうする? 一輝をこのまま見捨てるのか!」
パンドラ「待て」
パンドラ「大吾、ワシらは一輝を見捨てたいわけではない」
パンドラ「今出て行けば、一輝より先にお前が確実にやられる」
パンドラ「傷を負ったお前ではな」
大吾「それは・・・・・・」
パンドラ「大丈夫じゃ。まだ手はある」
パンドラ「鈴木よく聞け。お前は大吾と共に先に避難所に向かうんじゃ」
鈴木「パンドラさん。それって・・・・・・」
パンドラ「ワシが一輝の方へ向かう」
パンドラ「拘束の薬・・・・・・この薬の有効性は先ほど確認出来た」
パンドラ「強力な魔物でもなければワシ一人で対処できる」
パンドラ「だから、言っている意味は分かるな」
鈴木「パンドラさん・・・・・・」
パンドラ「いいか、大吾の手当てをしたらすぐに合流するんじゃ」
パンドラ「ワシの視界を薬で確認しろ」
鈴木「でも、やっぱり一人じゃ」
パンドラ「──ワシに大吾を運べる力はない」
パンドラ「これはお前にしか出来ない事じゃ」
鈴木「あっ・・・・・・・・・」
パンドラ「では、頼んだぞ」
  パンドラが手を離す
  薬を手に抱え、一輝とその後ろに続く人たちの後を追った

〇学校の体育館
  パンドラと別れた二人は、無事避難所に到着していた
鈴木「はい、これで応急処置は終わりです」
大吾「すまないな・・・・・・鈴木君」
鈴木「いえ、僕は大したことはしてないですよ」
鈴木「それよりここに避難してた人達。みんな出て行っちゃたんですね・・・・・・」
大吾「あぁ。一体、ここで何があったんだ」
大吾「俺が居れば・・・・・・こんなことには」
鈴木「やめましょう大吾さん。血圧が上がっちゃいます」
鈴木「少し休んだらパンドラさんと合流しましょう」
大吾「そうだな」
大吾「なぁ、鈴木君」
鈴木「どうしました?」
大吾「俺は・・・ずっとこの現実を疑ってた」
大吾「魔術だの、魔物だの、ずっと目の前にしていたのに認めるのを拒否していた」
鈴木「大吾さん・・・・・・」
大吾「だが娘が消えて、先生もおかしくなって、ここにいた人も・・・そしてなにより」
大吾「俺はずっと君たちに助けられている」
大吾「さっきは、俺が出て行って一輝を助けるなんて啖呵を切っちまったが」
大吾「冷静に考えれば、俺一人で何とか出来る状況じゃなかった」
大吾「本当に感謝してるよ」
鈴木「そんな、僕じゃなくてパンドラさんが凄いんですよ」
鈴木「出会った時からあの人は、頭が良くてここぞいう時冷静で頼りになるんです」
大吾「そうか。お前たちはいいコンビだな」
鈴木「そんな、コンビだなんて」
鈴木「僕は・・・・・・まだまだです」
大吾「ふっ、そうか。なら、俺もこれ以上甘えてはいられん」
大吾「鈴木君。君たちを見ていて少し思いついたことがあるんだ・・・・・・」
鈴木「思いついた・・・・・・事?」

〇学校の体育館
  二人が会話していると外から不意に扉を叩く音が聞こえた
  まだ万全ではない大吾に代わり、先に鈴木が様子を見に行く

〇体育館の裏
鈴木「君は・・・・・・」
  外には女の子が立っていた
大吾「香織!」
鈴木「えっ?」
  後ろから遅れてやってきた大吾が女の子を見て声を上げた
  女の子は二人を見比べると、すぐに振り返り走っていく
大吾「まて! 香織っ!・・・・・・つっ」
鈴木「大吾さん! 大丈夫ですか」
大吾「すまん鈴木君、香織を追ってくれ」
鈴木「でも、大吾さんを置いては」
大吾「──俺は大丈夫だ。すぐに追いかける」
大吾「香織をまた見失ったら・・・・・・今度こそ助けられないかもしれん」
大吾「だから、頼む」
鈴木「わかりました」
鈴木「後で、必ず来てくださいね」
鈴木「大吾さんは父親なんですから」
大吾「ああ、もちろんだ」
  鈴木はその言葉の後すぐに全速力で香織の後を追った

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