蛇地獄

YO-SUKE

第13話 『飼育』(脚本)

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〇ペットショップの店内
  鼻歌を歌いながら書類を片付ける七瀬の元に遥香がやってきた。
遥香「七瀬さん、体調もういいんですか?」
片岡七瀬「うん。すっかり元気になったの」
遥香「でも七瀬さん戻ったのに、今度は店長が休みだなんて」
片岡七瀬「店長、風邪かな?」
遥香「・・・・・・」
片岡七瀬「早くみんな揃うといいねー」
遥香「・・・あの、七瀬さん」
片岡七瀬「ん?」
遥香「どうしてそんなに元気なんですか?」
片岡七瀬「ははは。私が元気じゃいけない?」
遥香「私、嘘つくの嫌なんで、正直に言います。 今、坂下さんがうちに来てます」
片岡七瀬「あ、そうなんだ」
遥香「どうしても泊めて欲しいって頼まれて、私、断れなくて──」
片岡七瀬「ちょっと喧嘩中なんだよね。 まあよくあることだから」
遥香「・・・・・・」
片岡七瀬「迷惑かけてごめんね。 でも、遥香ちゃんなら安心かな」
遥香「安心・・・ですか」
片岡七瀬「それに、すぐに戻って来ると思うよ。 道雄は私がいないとダメだもん」
遥香「・・・・・・」

〇女の子の部屋(グッズ無し)
  坂下が目を覚ますと、テーブルに卵焼きとトーストがメモ付きで置いてあった。
  「しっかり食べてね♪」
  坂下は卵焼きをつまんで口に入れる。
坂下道雄「マズっ・・・」

〇ハローワーク
  朝食後、坂下は職業安定所へと向かい仕事を探すことにした。
  しばらくした後、坂下はため息をつきながら建物から出てきた。
坂下道雄「そう簡単には仕事見つからないか・・・」

〇パチンコ店
坂下道雄「・・・チッ」
  坂下は舌打ちをして財布を開けるが、中身は小銭が数枚しか入っていない。
坂下道雄「もう少しで出そうなんだけどな・・・」
  そのとき、坂下のスマホに七瀬からメッセージが届いた。
  「今日給料日だからお小遣い渡すよ」
坂下道雄「・・・行くわけねえだろ、バカ」

〇繁華な通り
  え、店長家に帰ってないんですか?

〇ペットショップの店内
増田の妻「そうなんです。もう二日も」
遥香「何も連絡はないんですか?」
増田の妻「ええ。 さすがに、そろそろ警察に相談しようかと」
増田の妻「でも、その前に職場に確認したほうがいいと思って来たんです」
遥香「そう・・・ですか」
増田の妻「もし何か思い当たることがありましたら、いつでも連絡ください」
遥香「はい・・・」

〇川に架かる橋
遥香(どういうこと・・・? )
遥香(あの女のところに行ってから何かあったってこと?)
遥香「・・・・・・」

〇中規模マンション
  その頃、坂下は七瀬のアパートの前で彼女の部屋を見上げながらウロウロしていた。
上野毛信子「しばらくぶりだねえ」
坂下道雄「・・・どうも」
上野毛信子「彼女さんもようやく吹っ切れたみたいじゃないか?」
坂下道雄「吹っ切れた?」
上野毛信子「なんだい。何も知らないのかい」
坂下道雄「あの、いったい──」
  道雄~!
  坂下が見上げると、二階のベランダから七瀬が手を振っている。
  ご飯あるよー。早く上がっておいで
坂下道雄「・・・・・・」

〇綺麗な一人部屋
  テーブルには豪華な食事が並んでいる。
片岡七瀬「道雄は帰って来てくれると思ったんだ」
坂下道雄「・・・・・・」
片岡七瀬「この唐揚げ、すごくおいしいんだよ。 道雄絶対気に入ると思うから食べて」
坂下道雄「・・・・・・」
片岡七瀬「あ、先にお小遣い渡しとく? 」
片岡七瀬「これいつも通りだけど、ちゃんと入ってるから」
坂下道雄「・・・さっきお隣の上野毛さんから聞いたんだけど、何かあったのか」
片岡七瀬「・・・たいしたことじゃないんだけどね」
  七瀬は少しうつむいて、部屋の隅にあるゲージを見た。
  坂下が慌ててゲージの中を確認すると、そこには以前いたはずの黒い蛇の姿がない。
坂下道雄「! モリーはどうしたんだ?」
片岡七瀬「道雄と喧嘩した夜に、死んじゃったの」
坂下道雄「・・・!」
片岡七瀬「でもね、奮発してすごく豪華なお葬式挙げちゃったんだ」
片岡七瀬「すごいんだよ、黒スーツの職員さんたちがちゃんとお迎えに来てくれるの」
坂下道雄「・・・そっか。残念、だったな」

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