〇空

〇ヘリコプターの中
クランプ「今日の課題はクリスマスの伝道だ」
クランプ「クリスマスを知らない南国の島で、 子どもにプレゼントを渡してこい」
サンタちゃん「あちゅい・・・もうダメ・・・」
トナカイ「早いなあ・・・ダレるの」
サンタちゃん「雪国育ちだから暑いのイヤ・・・」
クランプ「よし、島の上空に着いたな」
クランプ「では行ってこい」
「えっ？」
「うぎゃあああー!!」

〇密林の中
トナカイ「いててて・・・大丈夫ですか？」
サンタちゃん「う、うん・・・なんだろ、クッション みたいなのがあって助かったよ・・・」
ジャングルの王「グルルル・・・」
サンタちゃん「あ、なーんだ、ゴリラかあ」
ジャングルの王「ヴオオオオオン!!」
サンタちゃん「どひゃあ～!!」
トナカイ「に、逃げてサンタちゃーん!!」
？？？「伏せて！」
「!」

〇黒背景

〇密林の中
ジャングルの王「グギャウ!?」
トナカイ「今のは・・・!?」
？？？「こっち!!」

〇先住民の村
サンタちゃん「ハア、ハア。じ、じぬ・・・」
？？？「奴、ジャングルの王。恐ろしい猛獣」
？？？「だが、ここまで追ってこない」
トナカイ「あ、ありがとう。君は・・・？」
カリキ「カリキ。誇り高き戦士カポックの娘」
カリキ「お前たちはヨソ者か？ ・・・変わった格好と変わった家畜だな」
トナカイ「か、家畜・・・!? そうか、クリスマスを知らないから・・・」
トナカイ「カリキちゃん、僕たちはですね・・・」

〇先住民の村
カリキ「子どもだけ、物、もらえる？」
カリキ「変な習慣」
サンタちゃん「そーいうわけだから・・・ 欲しいものあったら・・・ 言ってね・・・ああー暑ぅ・・・」
トナカイ「子どもの前でくらい、 やる気出してください！」
カリキ「・・・欲しいもの、ない」
カリキ「ジャングルの王倒す、それ、すべて」
サンタちゃん「えー、つまんないのー」
トナカイ「ちょっとは口を慎んで！」
トナカイ「・・・そういえば、ほかに人はいないの？」
カリキ「ジャングルの王、皆、殺した」
カリキ「もう誰も残っていない。父も、母も」
トナカイ「それで、一人で戦い続けてきたのか・・・」
カリキ「叶うなら。 父と母・・・会いたい、もう一度」
トナカイ「カリキちゃん・・・」
サンタちゃん「うーん・・・」
トナカイ「サンタちゃん？」
サンタちゃん「閃いた!!」
サンタちゃん「パパとママ、プレゼントしてあげよう！」
トナカイ「は？ ・・・ど、どうやって？」
サンタちゃん「もちろん、わたしがなってあげるの！」
サンタちゃん「名付けて『プレゼントはわ・た・し』 大作戦だよ！」
トナカイ（それでクランプさんが納得するとは、 とても思えないけど・・・）

〇先住民の村
サンタちゃん「と言うわけで、まずはママ！」
サンタちゃん「さあカリキ、 ママが一緒に添い寝してあげるよ！」
トナカイ（ここで手料理とかにならないのが この人なんだよなあ・・・）
カリキ「カリキ、まだ、眠くない」
サンタちゃん「よしよしポンポン、よしよしポンポン！」
カリキ「・・・・・・」

〇先住民の村
　　１時間後──
サンタちゃん「スヤァ・・・」
カリキ「見回り、行っていいか？」
トナカイ「うん・・・いいと思う・・・」

〇先住民の村
サンタちゃん「ママはダメだったから、今度はパパだ！」
サンタちゃん「狩りをして食料を確保してあげるよ!!」
トナカイ「と、意気揚々と出ていったけど」
ニワトリ「コケー!!」
サンタちゃん「いたたた、痛いってば!!」
カリキ「この島、動物、とても獰猛」
サンタちゃん「ぐすん・・・つつくの、反則・・・」
トナカイ「鳥の基本戦術でしょそれ・・・」
カリキ「ふんっ」
ニワトリ「ケケッ!?」
カリキ「今日、朝食、丸焼き」
サンタちゃん「わあ～楽しみ！」
トナカイ（この人は本当に・・・）

〇先住民の村
サンタちゃん「はあ～、おいしかった！ もうここに住んじゃおうかな～」
カリキ「カリキ、新しい家族、歓迎する」
サンタちゃん「わあ～カリキ大好き～！」
トナカイ（完全に立場が逆転している・・・）
トナカイ「でもなんだか、カリキちゃんも まんざらでもないような・・・」
？？？「ヴオオオオオ!!」
「!」

〇先住民の村
ジャングルの王「ヴルルルルル!!」
カリキ「ジャングルの、王・・・!!」
トナカイ「そんな、集落の中にまで・・・!!」
サンタちゃん「にににに逃げて、カリキ!!」
サンタちゃん「ここここここはわたしが食い止める!!」
トナカイ「サンタちゃん！ 珍しくそんな勇敢に・・・！」
サンタちゃん「本当は怖くて足が動かないだけだけど！」
サンタちゃん「せっかくなら利用して かっこつけてやるんだ！」
トナカイ「その手段を選ばない感じは 嫌いじゃないけど！」
サンタちゃん「でもまるっきり ノープランなわけでもないよ！」
サンタちゃん「わたしには、おじいちゃんがくれた 悪い子用プレゼントが・・・」
サンタちゃん「あれ？」
サンタちゃん「落としちゃった・・・ プレゼントの袋・・・」
トナカイ「ええー!?」