第2話 サンタちゃんは前人未到の無酸素単独登頂を成し遂げたい!(脚本)
〇西洋風の部屋
年が明けて、一月──
トナカイ「午前中は書類の整理。午後はCM撮影」
サンタちゃん「むり・・・」
トナカイ「夜はおもちゃ会社主催の パーティーに招待されてます」
サンタちゃん「もう・・・むぅりぃ・・・」
トナカイ「いやーよかったですね、去年の あの騒動のおかげでこんなに仕事が」
サンタちゃん「ぜんっぜんよくない!」
サンタちゃん「補助金出たし、 グータラできると思ったのに!」
サンタちゃん「何でこんな忙しいの!?」
去年の一件で、広く活躍が知られて
しまったサンタちゃん。
今ではさまざまな依頼が殺到する、
売れっ子サンタになっていた。
サンタちゃん「もう・・・働きたくない・・・ 休ませ・・・て・・・」
トナカイ「そんなこと言って、 面倒な雑務はほとんど僕にやらせて」
トナカイ「実質一日2時間くらいしか 働いてないじゃないですか」
トナカイ「ほら、まずはこの書類から・・・」
〇雪山
〇雪山の山荘
〇西洋風の部屋
トナカイ「なんだぁ!?」
クランプ「・・・・・・」
サンタちゃん「て、天井から人が落ちてきた・・・?」
トナカイ(このするどい眼光、 ただ者じゃない・・・!!)
クランプ「・・・お前たち」
トナカイ「な、なんだ!?」
クランプ「ICGAで働きたいかー!!」
「・・・・・・」
トナカイ「はっ?」
クランプ「は、じゃないだろ。は、じゃ」
クランプ「そこは「おおーっ」って返すところだろ、 ノリの悪い奴らだな」
トナカイ「いきなり現れた人に言われても・・・」
サンタちゃん「あいしーじーえーって、なに?」
クランプ「ICGA。国際降誕祭統治機構・・・ 独立行政法人だ」
クランプ「私はICGA所属のサンタクロースで、 クランプという」
クランプ「早い話が政府の犬だな」
トナカイ(ホントに早い話だなあ)
クランプ「こんなクソ田舎まで、わざわざ ご足労してやったのはほかでもない」
クランプ「お前にこれを渡しに来た」
サンタちゃん「なにこれ?」
〇菜の花畑
インターンシップのお誘い
クリスマスの円滑な挙行を目的とする弊機構では、インターン生を募集しています。
成績優秀者には、
そのまま幹部候補生となるチャンスも!
全世界を見晴るかす広い立場で、クリスマスを守る活動に参加してみませんか?
〇西洋風の部屋
トナカイ「ふーん、インターン」
トナカイ「でも残念でしたね、 サンタちゃんは大変忙しくて・・・」
サンタちゃん「あ、もしもし? 今日の撮影とパーティー欠席で!」
トナカイ「ちょおおおおい!!」
トナカイ「勝手に何してんですかアナタ!?」
サンタちゃん「わたしね、常々思ってたんだ」
トナカイ「?」
サンタちゃん「わたしは在野のサンタで 終わるような器じゃない」
サンタちゃん「偉いサンタになって、暖かいオフィスで 皆を顎で使うのが、わたしの使命なんだ!!」
トナカイ「いや働きたくないだけでしょ!?」
クランプ「ではもう一度聞くぞ」
クランプ「ICGAで働きたいかー!!」
サンタちゃん「おおーっ!!」
トナカイ「・・・・・・」
クランプ「ついてこい。 まずはお前の力を見せてもらおう」
サンタちゃん「まっかせといて!」
トナカイ(嫌な予感しかしない)
〇雪山の森の中
――大雪山セントノエル・3合目
サンタちゃん「ざ、ざむうううう!!」
トナカイ「なんでこんなところに・・・?」
クランプ「ほかでもない、 ICGAの本部はこの山の頂上にある」
クランプ「インターンに参加できるのは、 自力で本部まで来れた者のみだ」
サンタちゃん「ええー!?」
サンタちゃん「ふふふ、なんてね」
サンタちゃん「トナカイさんを連れてきたのも こんな時のため!」
サンタちゃん「さあトナカイさん、ソリで私を運ぶのだ!」
トナカイ「はいはい、しょうがないですね・・・」
トナカイ「痛ったぁ!?」
クランプ「・・・「自力で」と言っただろう」
クランプ「次にその家畜を飛行機代わりにしたら、 ソリごと叩き落とすぞ・・・!」
サンタちゃん「そ、そんなぁ〜!」
トナカイ(なんで僕が殴られるの・・・?)
クランプ「さあ早く行け」
クランプ「日没までにたどり着かなかった場合も 失格だからな」
サンタちゃん「どひゃ〜!!」
クランプ「・・・・・・」
〇上官の部屋
――数日前
クランプ「この少女を雪山に置き去りにして、 殺害するという計画は理解しました」
クランプ「しかし私には分かりかねますな、どうして こんな小娘に執着するのか・・・」
マロウス「彼女はあの「ミュラ・ニコラ」の孫だ」
クランプ「!!」
クランプ「ミュラ・ニコラ・・・15年前の事件の?」
マロウス「そのとーり。 理由なんてそれで十分じゃない?」
マロウス「あの件には、 ボクも無関係じゃあないしねえ・・・」
〇雪山の森の中
クランプ「・・・ここで死ねば、 それまでということか」
クランプ「さあ、運命の子よ。 お前の力を見せて見ろ!」
〇雪洞
サンタちゃん「もう無理・・・お家帰るー」
トナカイ「諦めるの早っ!?」
サンタちゃん「だって聞いてないよこんな!」
サンタちゃん「あったかい部屋で ヌクヌクできると思ってたのに~!」
トナカイ「でも確かに厳しすぎるような・・・ このままじゃ、凍死しかねない!」
サンタちゃん「わぶひゃばぁ〜!?」
トナカイ「と、とりあえず一回 あの洞窟に逃げ込みましょう!」
〇洞窟の深部
トナカイ「吹雪、止みそうにないですねえ・・・」
サンタちゃん「うーん・・・」
トナカイ「どうしたんですか?」
サンタちゃん「トナカイさんさあ、オナラしたでしょ!?」
トナカイ「は、はあ!? してませんよ!?」
サンタちゃん「だってなんか臭いもん!!」
サンタちゃん「あれ? でもトナカイさんの方じゃなくて ・・・奥の方からするよ?」
トナカイ「あんまりうろうろすると危ないですよ、 サンタちゃん!?」
サンタちゃん「うひゃあー!!」
トナカイ「サンタちゃん!?」
トナカイ「大丈夫ですか、今助けに──」
〇黒背景
トナカイ「って、うわぁ!?」
〇雪山
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サンタちゃん可愛いです✨
トナカイさんも好きです✨☺️
そして温泉入りたくなりました!✨
これはコーヒー牛乳です!の注意書きに笑いました✨
今回も面白かったです!✨😆