第8話 ヴィヴィアンの蠱毒【後編】(脚本)
〇地下室(血の跡あり)
ローガン橋内
遺物奥
キース・フォスター「悪趣味な部屋だね」
霧生華清(きりゅうかせい)「嫌な匂いがします」
キース・フォスター「キリュー、奥に扉がある」
霧生華清(きりゅうかせい)「閉まっているみたいです」
霧生華清(きりゅうかせい)「先ほど操作盤で見た言葉が鍵なのでしょうか」
『汝の血肉を捧げよ』
キース・フォスター「汝の血肉、ね」
キース・フォスター「確かに何かが腐ったような匂いがするね」
霧生華清(きりゅうかせい)「言葉のとおりなんでしょうか」
霧生華清(きりゅうかせい)「血を捧げよ、と」
キース・フォスター「あり得ないね」
キース・フォスター「こいつは『入り口』なんだ」
キース・フォスター「そんな仕掛けじゃあ命がいくつあっても 足りやしない」
キース・フォスター「何か──」
霧生華清(きりゅうかせい)「レーザー?」
霧生華清(きりゅうかせい)「一体──」
霧生華清(きりゅうかせい)「何か・・・来るッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「丸ノコ・・・!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん! 伏せて!」
キース・フォスター「うおっ!」
キース・フォスター「丸ノコだとッ!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「先ほどのレーザーを辿っているようです」
キース・フォスター「危うくスライスされるところだった」
キース・フォスター「助かったよ、キ──」
霧生華清(きりゅうかせい)「跳んでッ!」
キース・フォスター「な──!」
霧生華清(きりゅうかせい)「右からッ!」
キース・フォスター「クソッ!」
キース・フォスター「飽きるまで続けろってのかッ!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「避けられない罠ではありません」
キース・フォスター「無茶言うなッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「大丈夫」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分の言うとおりに動けば必ずかわせます」
霧生華清(きりゅうかせい)「背中を預けてくれますか?」
キース・フォスター「元よりそのつもりさ」
霧生華清(きりゅうかせい)「謎解きはお願いします」
キース・フォスター「あいよ」
霧生華清(きりゅうかせい)「左から来ますッ!」
キース・フォスター(汝の血肉、密室、丸ノコ)
キース・フォスター(俺たちを殺しにかかった組み合わせ)
キース・フォスター(いや、だが・・・そうか!)
霧生華清(きりゅうかせい)「閃きましたか?」
キース・フォスター「ああ」
キース・フォスター「キリュー、跳べるか?」
霧生華清(きりゅうかせい)「どこまで?」
キース・フォスター「天井(あそこ)まで」
霧生華清(きりゅうかせい)「無論」
霧生華清(きりゅうかせい)「掴まっていてください」
キース・フォスター「ぐえぇッ!」
キース・フォスター「また人を荷物みたいに・・・!」
キース・フォスター「味わってくれよなッ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「果汁がまるで血肉のように・・・!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「駆動音は・・・聞こえません」
キース・フォスター「俺たちの血肉でなくても構わない」
キース・フォスター「言葉のとおりだったな」
霧生華清(きりゅうかせい)「水分に反応する仕掛け、ですか」
霧生華清(きりゅうかせい)「ブラッドさんは命の恩人ですね」
キース・フォスター「勿体ないことをしちまったがね」
キース・フォスター「戻ったら買い直すとしよう」
霧生華清(きりゅうかせい)「ぜひ!」
〇城壁
一方その頃
ブラッド・ラッセル「アンちゃんたち、喜んでくれたかねェ?」
ブラッド・ラッセル「至高の一品だから間違いねェはずだが」
ブラッド・ラッセル「いやァ、善行ってのは気分がイイねェ」
ブラッド・ラッセル「だよなァ──旦那?」
〇実験ルーム
食物生成機構【ヴィヴィアン】
霧生華清(きりゅうかせい)「栄養学に基づいた人工食を生成できる ようです」
キース・フォスター「衣食住、か」
キース・フォスター「豊かな暮らしのためなら妥当な代物だね」
キース・フォスター「こいつも星の命を使うのか?」
霧生華清(きりゅうかせい)「はい」
霧生華清(きりゅうかせい)「全人類の食糧問題を解決しようとすれば」
霧生華清(きりゅうかせい)「100年も保ちません」
キース・フォスター「最終手段としちゃ申し分ないが」
キース・フォスター「要らないな」
キース・フォスター「むやみに作ったって逆効果だ」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん」
霧生華清(きりゅうかせい)「使用履歴の日付が・・・」
1975年8月16日
キース・フォスター「こいつは・・・!」
霧生華清(きりゅうかせい)「祖父が失踪した翌日です」
霧生華清(きりゅうかせい)「祖父がここに・・・」
キース・フォスター「ここで食料を調達したのか」
登録名『クンセイニシン』
キース・フォスター「ニシン?」
キース・フォスター「そいつはどんな──」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん? どうなさい──」
〇黒
キースさん!
〇実験ルーム
霧生華清(きりゅうかせい)「先ほどの罠でどこか怪我を・・・!?」
ケイレブ・スペンサー中将「職業病は命取りだな」
霧生華清(きりゅうかせい)「貴方がたは・・・!」
キース・フォスター(職業病、ね)
〇市場
はじめから仕組まれていたのか
目利きができないと侮られた俺が
意地になって質のイイ商品を手に入れる
ところまで織り込み済み
俺としたことが浮かれちまった
商品に薬を仕込むなんて、あいつ
商人じゃない
〇豪華な部屋
あの時から見張られていたのか
キリューと出会うよりも前から
キリューと出会うことを見越して?
遺物のため?
それなら何故先にキリューを確保しない?
何がどうなっているんだ
畜生
〇実験ルーム
ケイレブ・スペンサー中将「殺せ」
「はっ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん! 掴まって!」
ケイレブ・スペンサー中将「遺物には当てるなよ?」
「はっ!」
霧生華清(きりゅうかせい)「パラディス条約を反故にするつもり ですか!?」
霧生華清(きりゅうかせい)「自分が始末されたとなれば──!」
ケイレブ・スペンサー中将「命ある限り、貴様らは反逆する」
ケイレブ・スペンサー中将「ならば、殺すしかあるまい」
霧生華清(きりゅうかせい)「国家間の問題です!」
霧生華清(きりゅうかせい)「せっかく悲劇を乗り越えたのに・・・!」
霧生華清(きりゅうかせい)「また、あんなことになれば・・・!」
ケイレブ・スペンサー中将「もう二度と、あんなことにはならぬ」
ケイレブ・スペンサー中将「そのための遺物だ」
ケイレブ・スペンサー中将「遺物を掌握しパラディス国は世界を統治する」
ケイレブ・スペンサー中将「『パラディスの悲劇』を乗り越えるのだ」
ケイレブ・スペンサー中将「東洋の島国など些末な問題に過ぎぬ」
霧生華清(きりゅうかせい)「何故、そんなことを・・・」
霧生華清(きりゅうかせい)「何故ッ!?」
キース・フォスター「キリュー・・・逃げろ」
霧生華清(きりゅうかせい)「キースさん」
キース・フォスター「奴は・・・本気だ」
霧生華清(きりゅうかせい)「逃げません」
キース・フォスター「このままじゃあ・・・共倒れだ」
霧生華清(きりゅうかせい)「本望です」
キース・フォスター「勘弁・・・してくれ」
キース・フォスター「俺は・・・もう・・・二度と・・・」
〇黒
あんな・・・あん、な・・・
〇山道
大人しい少年「助けて──兄ちゃんッ!!」
〇黒
──リル・・・
〇田舎の病院の病室
キース・フォスター「ダリルッ!!」
キース・フォスター(夢・・・!?)
キース・フォスター(ここは?)
キース・フォスター(見覚えのない造りだ)
キース・フォスター「天国ってのはこうも薄汚いのか」
天国ではありませんから
霧生華清(きりゅうかせい)「おはようございます」
霧生華清(きりゅうかせい)「お加減は如何ですか?」
キース・フォスター「キリュー」
キース・フォスター「右腕は・・・どうした?」
キース・フォスター「キリュー」
キース・フォスター「答えろ、キリュー!」
キリューの右腕が…!?
あの危機的状況からどうやって脱出したのか!?
キースならこうする筈と、あの偽商人に知恵を貸しているのはアドルフなのか?
気になる事ばかりの引きにまんまと引っかかってます😂