攻防戦大会と社交界(脚本)
〇ファンタジーの教室
ヴィッツ先生「皆さん、おはようございます」
ヴィッツ先生「もう知っている人もいるかもしれないけれど、今日からうちのクラスに転入生が私たちの仲間として入ってきます」
ヴィッツ先生「では、どうぞ。入ってください」
ノンヴィティエス「はじめまして。本日からこのクラスに入ります、ハルルク・ノンヴィティエスと申します。是非よろしければ仲良くしてください」
女子生徒A「嘘でしょう、ハルルク・ノンヴィティエスって、あの・・・?」
男子生徒A「しかもノンヴィティエス様って、卒業後に王として即位されているはずじゃ・・・」
ヴィッツ先生「皆さん、静粛に!気持ちはわかりますが、慎んでください」
ヴィッツ先生「では、ノンヴィティエスさん。空いている席に座ってください」
ノンヴィティエス「わかりました・・・あ!」
ノンヴィティエス「2人とも、久しぶりだね!」
シャイローゼ「久しぶりね、ハルルク。今日から頑張りましょうね!」
アレグラット「よろしくお願いします、ノンヴィティエス様」
女子生徒「あら、あちらのお三方って既にお知り合いでしたの?」
男子生徒「王族同士ですしね。でもこれで更にシャイローゼ様と結婚できる確率が下がってしまった・・・」
ノンヴィティエス「ここ、座らせてもらっても良いかな?」
シャイローゼ「えぇ、どうぞ」
ノンヴィティエス「ありがとう」
ヴィッツ先生「では、1時間目は社交ダンスの授業です。遅れないように!」
〇王宮の広間
ゼシャル「紳士、淑女の皆様。2学期からは社交ダンスの授業を始めます」
ゼシャル「中等部の時に習った歩き方やエスコートなどの基礎部分はもちろん覚えているかと思います」
ゼシャル「高等部では本格的なダンスを練習しますので、遅れないように」
ゼシャル「まずガトリック先生と私が序盤の部分を踊ります。何度かやった後皆さんにもやっていただきますので、よく見ていてください」
アレグラット「シャイローゼ様、この曲の振り付けは覚えていますか?」
シャイローゼ「覚えてはいるのだけれど・・・踊れるかはわからないわ。私ダンスはどうしても苦手で・・・」
シャイローゼ「アルはどう?踊れる?」
アレグラット「五分五分でしょうか・・・踊るのは得意ですが、社交界のような正式なダンスは踊ったことがないので・・・」
アレグラット「──ですが、よろしければ・・・」
ノンヴィティエス「シャイローゼさん」
ノンヴィティエス「良ければ一緒に踊ってくれないかな?まだこのクラスに知り合いの女性がシャイローゼさん以外にいなくて・・・」
シャイローゼ「良いけれど、アレグラットが・・・」
アレグラット「僕のことはお気にならさず」
シャイローゼ「ごめんね、アル・・・」
アレグラット(王族同士での関り合いは大切だ。しかも相手は戦いの後で危険な状態にはあるが、この世界の大国の1つだ)
アレグラット(同盟を組んだのであれば尚更交友を深めるのが優先されるだろう)
女子生徒「あの、アレグラット様。もしよろしければ、この後共に踊っていただけませんか・・・?」
〇理科室
シャイローゼ「はぁ・・・」
蝶々夜胡桃「あれ、ため息なんて珍しいね。どしたの?」
シャイローゼ「あぁ、胡桃。今日の授業でダンスがあったのだけれど、全然上手く踊れなくて・・・」
蝶々夜胡桃「・・・聞きにくい話なんだけど、今までの社交界はどうしてたの?」
シャイローゼ「ダンスの練習時間を今まで以上に増やして、なんとかやってたわ。でも最近は勉強優先でダンスが疎かになってしまっていて・・・」
蝶々夜胡桃「確かに、ローゼってあんまり運動得意ではないもんね・・・」
蝶々夜胡桃「あ、あと知ってる?今学期末の学年社交界で最も上手に踊れていたペアは、3年生の卒業生パーティーに参加できるそうよ!」
シャイローゼ「え、そうなの?全然知らなかったわ・・・」
蝶々夜胡桃「お姉ちゃんが教えてくれたから、たまたまだよ」
蝶々夜胡桃「こんなこと言うのは失礼だけど、ローゼは王族じゃない?だからこういうパーティーに出るのってかなり重要だと思うの」
シャイローゼ「うっ・・・正にその通りね・・・」
蝶々夜胡桃「だから、一緒に特訓しましょ!折角だしアレグラットとハルルクも誘って!」
シャイローゼ「そうね、ていうか3人ともダンスが得意だから練習が必要なのって私だけじゃない・・・?」
蝶々夜胡桃「だからこそよ!私たちがちゃんと教えてあげるから!」
シャイローゼ「うわぁ、本当にありがとう~胡桃~」
ソーリェ「こらそこー、ちゃんと実験してー」
「あっ、すみません・・・!」
〇大広間
週末
シャイローゼ「2人とも、今日は来てくれてどうもありがとう!」
蝶々夜胡桃「ううん、こちらこそお招きいただいてありがとう」
ノンヴィティエス「今日はよろしくね。それにしてもここのダンスホールは広いな・・・」
シャイローゼ「そうね、私たちはここにお客様達をお招きしてパーティーを開くことが多かったから」
アレグラット「長い移動でお疲れでしょうし、紅茶を淹れてきましょうか?」
蝶々夜胡桃「ううん、それより早く練習始めましょ?急がないと日が暮れちゃうわ」
ノンヴィティエス「そうだね。じゃあ僕はペアのローゼさんと踊るよ」
蝶々夜胡桃「じゃあ私とアレグラットで踊ろっ!」
アレグラット「よろしくお願いします」
アレグラット「それと僕、先日カルエラ先生に音楽を流せる魔法を教わったんです。今日はそれに合わせてみましょう」
シャイローゼ「凄い・・・聞いたことのない魔法だわ。わざわざ用意してくれてありがとう!」
ノンヴィティエス「じゃあ早速やってみよう、お願い、アレグラット」
アレグラット「音魔法”旋律”」
ノンヴィティエス「よろしくね、ローゼさん」
〇大広間
シャイローゼ「ハァッ・・・ハァッ・・・」
シャイローゼ「すっっっごく疲れたわ・・・」
蝶々夜胡桃「だ、大丈夫?ローゼ」
アレグラット「丁度日も落ちてきました。今日はここでお開きにしましょう」
シャイローゼ「そうね・・・なんとかステップは踏めるようになったけど体力が全然だわ・・・」
ノンヴィティエス「じゃあこれからは当日まで走り込みとかもしてみようか。僕たちは毎日ここに来ることは難しいから・・・」
アレグラット「えぇ、僕に任せてください」
ノンヴィティエス「そうだね、頼んだよ」
蝶々夜胡桃「じゃあハルルク、私たちはもう帰りましょう。ローゼを休ませてあげないと」
シャイローゼ「ありがとう・・・また機会があったらお願いしたいわ・・・」
蝶々夜胡桃「そうだね、それまでは各自で練習だね」
ノンヴィティエス「じゃあ今日はありがとう!楽しい時間だったよ」
アレグラット「ありがとうございました。道中はお気をつけてください」
胡桃・ハルルク「さようなら!」
シャイローゼ「ふぅ・・・段々息も落ち着いてきたわ」
アレグラット「今日はもう湯に浸かって休んでください。部屋に簡単な食事を持っていかせます」
シャイローゼ「ありがとう、そうするわ」
アレグラット「それと・・・」
アレグラット「明日から暫くいつもより1時間程早めに起きて下さいね。朝練として、少し運動の時間を設けます」
シャイローゼ「う、そうよね・・・頑張るわ・・・」
〇ファンタジーの教室
1ヶ月後
ヴィッツ先生「HRを始めます」
ヴィッツ先生「まず、重要なお知らせです」
ヴィッツ先生「再来月、学年のクラス対抗でクラス対抗の攻防戦大会を開催します」
男子生徒「先生、それでは学期末の社交界と時期が被るのでは?」
ヴィッツ先生「そうね、まぁ社交界は大会の打ち上げみたいなものと考えてくれれば良いわ」
ヴィッツ先生「まぁそんなわけで、このクラスで2つのチームを作ります」
ヴィッツ先生「要である城を守りつつ大将を守るAチーム、前線で敵を殲滅しつつ、敵の大将を倒すBチーム」
ヴィッツ先生「それぞれのリーダーを決めたいのだけれど、推薦したい人はいる?いなければ立候補したい人も出てちょうだい」
女子生徒「はい、私はアレグラット様を推薦します!」
男子生徒「はい!僕はノンヴィティエス様を推薦します!」
ヴィッツ先生「じゃあチームリーダーはこの2人で良いかしら?良ければ拍手をお願いします」
ヴィッツ先生「では2人をチームリーダーに決定しますので、後で2人は私のところに来てください。チーム決めをします」
「はい」
ヴィッツ先生「じゃあHRは以上です。1時間目の準備をしてくださいね」
〇ファンタジーの教室
シャイローゼ「で、結局チーム分けはどうなったの?」
ノンヴィティエス「それは」
アレグラット「秘密です」
シャイローゼ「ええっ、ちょっと楽しみにしていたのに・・・」
ノンヴィティエス「まぁ、次の魔法の授業で分かると思うよ」
〇基地の広場
カルエラ「ではみなさん、待ちに待った攻防戦大会の授業でーす!」
カルエラ「まず知らない人はあまりいないと思うけど、簡単にルールを説明します」
カルエラ「1、先に相手の大将を先に倒した方が勝ち」
カルエラ「2、相手に一定以上の攻撃を当てると胸元の花の色が変わるので、色が変わったものは退場」
カルエラ「3、過度な攻撃で相手を再起不能な状態にさせないこと」
カルエラ「4、武器は魔法や剣などなんでもあり」
カルエラ「5、守りと攻めの人数比は自由」
カルエラ「以上で終わりだ。何か質問がある奴は居るか?」
カルエラ「・・・いなそうなので、とりあいず今日は話し合いの時間にする。必要であれば魔法や剣を自由に使ってくれ」
カルエラ「俺はほとんど口出しはしないから、何か聞きたいことがあったら聞く程度で頼むよ、じゃあ話し合い始め!」
ノンヴィティエス「まずはチームを発表するね。僕は大将兼守りのAチーム」
アレグラット「僕は副リーダー兼攻めのBチームです」
ノンヴィティエス「Aチームのメンバーが・・・」
数分後
アレグラット「以上がAチームとBチームのメンバーです。何か意義申し立てがある人は?」
???「はい」
琉翔「あまりにもAチームの人数が少なく、Bチームの人数が多い。これではいざ攻められたときに圧倒的不利ではないか?」
ノンヴィティエス「うん、だから僕たちの城には結界を張るんだ。城を1つ覆えるくらいのね」
アレグラット「なのでAチームには強化系の魔法が使える人を2人入れました。作戦としては」
アレグラット「まず僕が結界を張り、それからAチームの2人が結界に強化を施します」
ノンヴィティエス「そして残った数人が結界内から近づいてきた敵を魔法で倒す。最悪相手が侵入した場合は結界に小さく穴を空けて全員脱出」
ノンヴィティエス「これでどうかな?」
琉翔「いや、大丈夫だ。ありがとう」
ノンヴィティエス「他に何かある人は?」
ノンヴィティエス「・・・いなそうだから、AチームとBチームで分かれて話し合おう」