追う恋は追われる恋に勝る!

びわ子

第十四話「逃げた夏 恋忘れ貝 友ぞ知る」(脚本)

追う恋は追われる恋に勝る!

びわ子

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〇モヤモヤ
  ・・・ここは?

〇田舎駅の駐車場
古林 一咲(こばやし いっさ)「・・・バス乗り場?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「えっ!あれは!?」

〇黒背景
古林 一咲(こばやし いっさ)「心(こころ)!?」
古林 一咲(こばやし いっさ)「お、おい・・・」
古林 一咲(こばやし いっさ)「まさか?あのバスに!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「だめだ!乗ってはいけない!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「止まれ!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「そのバスには乗るなぁぁぁ──────!!」
古林 一咲(こばやし いっさ)「あ・・・、あぁぁ!!」

〇学生の一人部屋
「くそ・・・」

〇白い校舎

〇教室
海野 桃(うみの もも)先生「はい、みんなテスト用紙を裏向けて」
海野 桃(うみの もも)先生「後ろの席の人は回収して 先生に渡してください!」
高校生「桃先生、集めたよー!」
高校生「どうぞー!」
海野 桃(うみの もも)先生「これで全部! お手伝いありがとうー!」
海野 桃(うみの もも)先生「今日はテスト最終日、お疲れ様でした! ゆっくり休んでねー!」
松尾 翔(まつお しょう )「あれ?何か落ちてる・・・」
松尾 翔(まつお しょう )「これ・・・、さっきのテスト!?」
松尾 翔(まつお しょう )「届けなきゃ・・・!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おーい翔!今日帰り遊んで帰ろうぜ!」
松尾 翔(まつお しょう )「うん・・・、少し遅れていくね」
三鷹 哲也(みたか てつや)「オッケー翔! PINEで場所、送っとくから!」
三鷹 哲也(みたか てつや)(えらい慌てて、・・・トイレかな?)
蒼山 絵美(あおやま えみ)「テスト終わったー! 久しぶりにどっか遊びに行きたいねー」
三鷹 哲也(みたか てつや)「おっ!絵美ちゃんナイスアイデア!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「じゃあ皆んなで、 ウチのカラオケ屋に行こうや!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「この間の宣伝が良かったらしく」
三鷹 哲也(みたか てつや)「全品半額の許可もらってんの」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「えー、いいじゃん!行く、行く!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「めぐみんもいくよな?」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「うん、いくよぉー」
三鷹 哲也(みたか てつや)「恋ちゃんも行くでしょ?」
与謝野 恋(よさの れん)「うーん、どうしようかな・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)(恋・・・)
蒼山 絵美(あおやま えみ)(まだ、元気でないよね・・・)

〇一軒家
  ── 三日前 ──
  一咲君が初恋の人を確認する為
  山口香子に会いに行った日の深夜
  恋から家にバイクで来る連絡が入った
  数十分後──
  到着した恋をみて驚いた
  下の肌が透き通るほど
  シャツが肌に張りついていたからだ
  雨降る中、
  カッパも着ずに急いできたのだろう
蒼山 絵美(あおやま えみ)「恋!!ビシュビショじゃないの! 一体どうしたの?」
与謝野 恋(よさの れん)「絵美・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「どうしたの・・・?」
与謝野 恋(よさの れん)「KYが分かった・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲の初恋の人は心(こころ)だった・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「う、うそでしょ・・・、なんで・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「絵美ぃ──! う、う・・・!!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「うん、うん・・・」
「うわぁぁぁ──────ん!!!!」
  私に抱きついた恋は、
  ゆっくりと話し始めた・・・
  山口香子はKYでなかったこと──
  恋の双子の姉、与謝野 心(こころ)が
  初恋の人だったこと──
  一咲君が見るに耐えない程に
  傷ついていたこと──
  そして──、
  一咲君に対しての想いを──
  ────
  ──

〇教室
与謝野 恋(よさの れん)「・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「ありがとう三鷹君、いくよ! 皆んなに聞いてほしい事があるから」
三鷹 哲也(みたか てつや)「え、あ、うん・・・オッケー!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)(恋・・・)

〇繁華街の大通り

〇カラオケボックス
三鷹 哲也(みたか てつや)「今回のテスト、 特に数学が難しすぎへんかった?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「赤点とってへんやろか?」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「先生によってテストの難易度、 全然違うもんねぇー」
三鷹 哲也(みたか てつや)「まぁ、一つくらいなら 夏休み補習は無いと思うけど」
三鷹 哲也(みたか てつや)「テスト休んだ一咲は、 夏休み補習組かもしれんな」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「一咲君、三日も休んでるし心配だなぁ──」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「戻ってきたら歓迎会開いてあげなきゃ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「アハハ・・・! あいつも寂しがってるやろしな・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そうや! 夏休み前に祭りあるやん!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「みんなでさ! ”金輝海上花火大会”行こうや!!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「行く行く!絶対行く!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「いいねぇ、みんなで行ってみたい──」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ど、どないしたんや翔!」
松尾 翔(まつお しょう )「み、みんな・・・、た・・・、 ゴホッ!ゴホッ!!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「落ち着いて!はい・・・水飲んで!」
松尾 翔(まつお しょう )「ふ──」
三鷹 哲也(みたか てつや)「どないしたんや翔?」
松尾 翔(まつお しょう )「い、い、一咲君が・・・、」
松尾 翔(まつお しょう )「学校辞めるみたい・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「え?えぇぇぇ────────!!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「はっ!?翔、それなんの冗談?」
松尾 翔(まつお しょう )「じ、冗談なんかじゃない!」
松尾 翔(まつお しょう )「海野先生に忘れ物を届けに行った時」
松尾 翔(まつお しょう )「偶然聞いたんだ・・・」

〇学校の廊下
松尾 翔(まつお しょう )(あれ・・・、 海野先生と山田先生が 深刻な顔して話をしているな・・・)
松尾 翔(まつお しょう )(少し待ってから話しかけよう・・・)

〇階段の踊り場
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生・・・、 一咲君の様子どうなんですか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あれから三日経ってるんですが」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「気持ちは変わらないみたいです・・・」
海野 桃(うみの もも)先生「暫く休んでもらっても 大丈夫なように手続きしますので」
海野 桃(うみの もも)先生「山田先生からも今一度、 退学しない様に伝えてください」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ええ、もちろんです!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「そこ!誰かいるのか!?」
海野 桃(うみの もも)先生「これは・・・! 私のクラスのテスト用紙!?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「あの後ろ姿は松尾か・・・!?」

〇カラオケボックス
松尾 翔(まつお しょう )「先生の口振りでは・・・」
松尾 翔(まつお しょう )「一咲君が退学を口にしているみたいだった」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「え、え、なんで・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「・・・」
与謝野 恋(よさの れん)(一咲が、一咲が・・・、学校を辞める?)
与謝野 恋(よさの れん)(それってやっぱり 心(こころ)の事で・・・!?)
与謝野 恋(よさの れん)「────」
与謝野 恋(よさの れん)「みんな・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲の事で聞いてほしいことがあるの・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「れ、恋・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「────」
与謝野 恋(よさの れん)「私・・・、三日前の夕方・・・」
与謝野 恋(よさの れん)「一咲と、ある場所に行ったの・・・」

〇墓石
  ・・・恋は私に話したように
  みんなに三日前の出来事を伝えた
  ただ一つ
  一咲君の想いだけは伏せて────
  ────
  ──

〇カラオケボックス
三鷹 哲也(みたか てつや)「そ、そんな・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「KYは恋ちゃんの双子の姉で・・・」
松尾 翔(まつお しょう )「すでに亡くなってるなんて・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「恋を責めないでやって!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「まさか、心(こころ)だなんて・・・」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「中学から付き合いのある私でも 思わなかったから!!」
与謝野 恋(よさの れん)「絵美・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「怒るわけないやろ・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「恋ちゃん・・・、 一人でずっと悩んでたんだね・・・」
松尾 翔(まつお しょう )「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だから一咲の奴、返事も返さず」
三鷹 哲也(みたか てつや)「自暴自棄になって 学校辞めるっていうてんのか・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「どうしよう・・・」
松尾 翔(まつお しょう )「・・・山田先生なら チカラになってくれるかも」
三鷹 哲也(みたか てつや)「今から学校戻って 詳しい話聞いてくるわ!」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「私も・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「いや、ここは俺一人で行くわ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「みんなで行って前みたいに 大騒ぎになったらあかんしな」
松尾 翔(まつお しょう )「先生達は、まだ職員室にいると思う・・・」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「哲ちゃん・・・、 テスト期間は校内に居残り禁止だから」
時坂 めぐみ(ときさか めぐみ)「何か理由がないと 山田先生を呼んでもらえないかも・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「わかった、上手いことするわ」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「PINE(連絡アプリ)にグループ作成するから状況を伝えてね」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんかあったら皆んなに連絡する」
与謝野 恋(よさの れん)「三鷹君・・・、お願い・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「皆んな!なに暗い顔してんのや!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「トラブルバスター哲ちゃんに任しとけって!」
蒼山 絵美(あおやま えみ)「哲ちゃん・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ほな、行ってくるわ!」

〇白い校舎

〇中庭
三鷹 哲也(みたか てつや)「くそっ!玄関が閉まってる!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ん・・・?誰か廊下歩いてきた!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「すいませーん! 山田先生いらっしゃいますか!」
高校の先生「うわっ!!びっくりした!」
高校の先生「テスト期間中は、 速やかに帰宅しなきゃダメだろ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「実は・・・、山田先生に学校に不要なものを 持ってきて没収され」
三鷹 哲也(みたか てつや)「反省したら放課後取りに来いって 言われたので」
三鷹 哲也(みたか てつや)「それで返してもらおうと・・・」
高校の先生「なるほど・・・、わかったよ」
高校の先生「山田先生なら グラウンドでトンボがけしている」
高校の先生「返してもらったら直ぐに帰宅するんだぞ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ありがとうございます!」

〇グラウンドのトラック
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「暑い・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「冷たいもん食べながらじゃないと やってられないぜ・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「山田先生!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ああっ!俺のアイス・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「なんだ三鷹か・・・、驚かすなよ」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「アイス食いながら 仕事してたの内緒だぞ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ん──、どうした!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「────」
三鷹 哲也(みたか てつや)「先生・・・、一咲が学校辞めるって どういう事なんですか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「お前、何故それを!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「本当なんですね?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(松尾から聞いたのか・・・)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「何処まで・・・、知ってる?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「三日前からの事を全部、 恋ちゃんから聞きました」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「そうか・・・、 恋から聞いたか・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「はい!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それで、ここには何をしにきたんだ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「先生、一咲の家を教えてください!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「あいつ電話かけても出ないんで、 直接話に行くしかないんです!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「────」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それは・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「教えられない」
三鷹 哲也(みたか てつや)「何でですか!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「個人情報保護の為だ」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「いくら親友でも教えることはできない」
三鷹 哲也(みたか てつや)「先生!一咲がピンチなんです! 助けてくださいよ!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「それはわかってる! 俺も毎日、連絡をしてるから心配するな!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「だけど・・・!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「三鷹・・・、 もしお前が先生の立場なら簡単に言うか?」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「そんな個人情報をペラペラ話す 先生を信じられるのか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「────」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「ふぅ────」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(そうだよな・・・)
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(友達が悩んでるのに ジッとなんかしてられないよな・・・)
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんや急に地面に座り出して・・・」
「ガリガリ・・・、ガリガリガリ!!」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「三鷹・・・、 このアイスの棒、捨てといてくれ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「はぁ?なんで俺が・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「捨ててくれたら礼はする・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「後、今から俺は独り言を話す──」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「────」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「一咲は毎日、 金輝市のある場所へ通っている」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生「そこで待てば出会えるな・・・」
山田 山東火(やまだ さんとうか)先生(頼んだぞ・・・、三鷹!)
三鷹 哲也(みたか てつや)「この棒を捨てる・・・? あっ!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「バイカモ・・・!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「これ金輝商店街のお花屋さんの名前!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「山田先生・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ありがとうございました!」

〇学校脇の道
  三鷹 哲也『一咲は三日前から
  花屋に通っているらしい』
  三鷹 哲也『今からそこに行ってくる』
  松尾 翔『了解です』
  蒼山 絵美『頑張ってね、哲ちゃん!いつでも行動できる様に皆んな待機してるよ』
  時坂 めぐみ『花屋さんって何だろう、バイト始めたのかな?』
  与謝野 恋『ありがとう、三鷹君。何か知りたい情報があったら言ってね』
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・よしっ!いくか!」

〇商店街
三鷹 哲也(みたか てつや)「あそこやな」

〇お花屋さん
三鷹 哲也(みたか てつや)「こんにちは──、店員さ──ん!」
花屋の店員「いらっしゃいませ──」
三鷹 哲也(みたか てつや)「忙しい所、すいません」
三鷹 哲也(みたか てつや)「定番から変わった花の種類も 沢山ある素敵なお店ですね!」
花屋の店員「ありがとうございます! 今日は何かお探しですか?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「こちらの白いお花、 このままでいいので貰えますか?」
花屋の店員「はい、ありがとうございます!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そうそう、思い出した!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「お花好きの友達が スマホ落として探してるんです」
花屋の店員「それは大変ですね!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「こいつなんですけど」
花屋の店員「あれ!? 最近、毎日来てくれるお客さんです!」
花屋の店員「へぇー、学生さんだったんだ・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ええっ!偶然ですね! 昨日落としたみたいなんですが・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ちなみに何時頃に買いに来てました?」
花屋の店員「そうね・・・、 大体今頃の時間帯にきますよ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そ、そうですか!ありがとうございます!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「この後、友達が来ても スマホ無くしたの恥ずかしいみたいなんで」
三鷹 哲也(みたか てつや)「黙っててあげてください!」
花屋の店員「わかりました! お友達想いなんですね」
三鷹 哲也(みたか てつや)「どうも、助かります!」
花屋の店員「いえいえ、 此方こそありがとうございました!」
花屋の店員「スマホ見つかるといいですね!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「はい!」

〇商店街
三鷹 哲也(みたか てつや)「あぁー、標準語は難しいわ──」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ここで待ってたら一咲に会えるやろ・・・」
  三鷹 哲也『一咲に逃げられないように落ち着いた場所で話しかけるわ』
  与謝野 恋『かなり落ち込んでるから人が少ない場所がいいと思う』
  時坂 めぐみ『そうだねぇ、恋ちゃんの意見に賛成』
  蒼山 絵美『同じく賛成』
  松尾 翔『賛成』
  三鷹 哲也『了解』
三鷹 哲也(みたか てつや)「この格好やったらバレるかもな、 そこの服屋でなんか買うか・・・」

〇商店街
三鷹 哲也(みたか てつや)「なかなかいい服やんけ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「この帽子を被ったらバレへんやろ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・ん!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「きた!一咲だ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「アイツ、私服やんけ」
三鷹 哲也(みたか てつや)「まぁええ、何処に行くか見届けたる・・・」

〇お花屋さん
古林一咲(こばやしいっさ)「すいません、こちらのお花をください」
花屋の店員「はい、いつもありがとうございます!」
花屋の店員(うかない顔・・・、 スマホまだ見つかってないのかな・・・)
花屋の店員「ありがとうございました」
古林一咲(こばやしいっさ)「どうも・・・」

〇路面電車
三鷹 哲也(みたか てつや)「花を買って電車? どこに行く気や?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「やべっ!乗らんと!」

〇田舎町の駅舎
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
レンタサイクル店員「お!兄ちゃんまた来たのか」
古林一咲(こばやしいっさ)「すいません、三時間ほどお願いします」
レンタサイクル店員「あいよ!帰りはいつものとこに 戻してくれたらいいから」
古林一咲(こばやしいっさ)「ありがとうございます・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「レンタサイクル?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「すんませーん!」
レンタサイクル店員「いらっしゃい!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ここで待ち合わせしてた 友達いたんですけど・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「こいつなんですが・・・」
レンタサイクル店員「面白い写真だね!」
レンタサイクル店員「この子なら、ついさっき 自転車借りて行っちゃったよ」
レンタサイクル店員「置いてけぼりくらったのかい?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そう見たいですね、 俺も自転車借りて追いかけます!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「時間は、わかんないので半日で」
レンタサイクル店員「彼は土手沿いの方を走るって言ってたなぁ」
レンタサイクル店員「まぁ、基本一本道だし 走ってたら追いつけるさ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ありがとうございます!」
レンタサイクル店員「おっ!記入早いね! 帰りはそこに返してくれたらいいから」
三鷹 哲也(みたか てつや)「了解!」

〇開けた高速道路
「ハァ、ハァ・・・!!」

〇川沿いの道
三鷹 哲也(みたか てつや)「もう・・・ かれこれ30分は走ってるぞ・・・」
  一咲を追って土手まできたけど
  このまま進んでいいのかな?
  与謝野 恋『そのまま土手沿いを走れば、霊園があるの、一咲はそこに必ずいるわ!』
  了解!
三鷹 哲也(みたか てつや)(霊園って、まさかあいつ・・・)

〇草原の道
三鷹 哲也(みたか てつや)「ハァ、ハァ・・・!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲が乗っていた自転車──」

〇墓石
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
「ここに毎日きとったんか」
古林一咲(こばやしいっさ)「て、哲也・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「お、お前なんでここに・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「逃げるな一咲!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「逃げんでもええ・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「それは・・・!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「────」
三鷹 哲也(みたか てつや)「全部聞いた・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ここじゃなんだし・・・ ベンチにでも座ろうや・・・」

〇池のほとり
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「初恋の人が、いないと知った日から」
三鷹 哲也(みたか てつや)「毎日、あの長い道のりを走ってたんか・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
古林一咲(こばやしいっさ)「哲也・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「このままじゃいけないのは、 わかってる・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「心 (こころ)は、 もうこの世にいないことも・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「でもどうしても・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「納得いく終わり方が出来ないんだよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「────」
古林一咲(こばやしいっさ)「恋から心(こころ)の事を 聞かされた日から」
古林一咲(こばやしいっさ)「事故の悪夢ばかり見る」
古林一咲(こばやしいっさ)「俺は・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「前に進みたいのに・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「────」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一咲・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「ど、どアホ!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「前にも言ったやろ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「一人で考えるな!俺に相談しろって!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「なんでいつも、一人で背負い込むねん!」

〇沖合
三鷹 哲也(みたか てつや)「前に進みたいやと・・・?」
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
三鷹 哲也(みたか てつや)「たった今、お前は俺からも逃げようと してたやないかい!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「亡くなった人から逃げるならいざ知らず!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「友達からも逃げてどないすんねん!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺が心(こころ)ちゃんやったら 今のお前を見て」
三鷹 哲也(みたか てつや)「付き合わなくて良かったと思うわ!」
古林一咲(こばやしいっさ)「何だと・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「しょっぱいことばかり言ってんな!」
古林一咲(こばやしいっさ)「何だよ、しょっぱいって」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ググれ!ボケ──!!」
古林一咲(こばやしいっさ)「くっ──!!」
古林一咲(こばやしいっさ)「俺が情けないのは、わかってる!」
古林一咲(こばやしいっさ)「どうもこうも、わかんないだよ!!」
古林一咲(こばやしいっさ)「亡くなった人との恋は どうやって踏ん切りつけるのかが!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「誰も知らないんだ・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「いくら、お前でも・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「知ってるわ、ボケ」
古林一咲(こばやしいっさ)「えっ!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「そんなん簡単やんけ!」
古林一咲(こばやしいっさ)「こんな時に冗談はよせよ!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「知っとるいうとるやろが!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「他人に関心を持たず」
三鷹 哲也(みたか てつや)「自分のことしか考えてへんから 見えてへんのや!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「人に頼らんと生きるってのは」
三鷹 哲也(みたか てつや)「結局、自分を苦しめてるだけやぞ!」
古林一咲(こばやしいっさ)「・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「今からでも遅くない・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「友達や・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「俺を頼れ・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「────」
古林一咲(こばやしいっさ)「──」
古林一咲(こばやしいっさ)「哲也・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「教えてくれ・・・」
古林一咲(こばやしいっさ)「どうしたらいいか・・・」
三鷹 哲也(みたか てつや)「それはな・・・、 お前しか出来んことや!」
古林一咲(こばやしいっさ)「俺しか出来ない・・・!?」
三鷹 哲也(みたか てつや)「ええか!一咲!!」
三鷹 哲也(みたか てつや)「マジメに話すからマジメに聞けよ!!」

次のエピソード:第十五話「背に朝日 頭垂れ待つ 向日葵か」

コメント

  • 一咲よ、良い友達と先生たちを持ったな😭
    初恋の人を失ったら、毎日悪夢を見てしまいますよね😢
    それにしても、哲也の友達想いっぷりは凄いですね!青春してんなぁ☺️
    次回の展開が気になります!

  • 仲間がなんとかしてくれる!と信じてましたが、みんなあったかいですね✨一咲も今手の中にあるものに早く気づいて欲しいです。
    写真から普段の仲の良さが伝わってきて良かったですw

  • 古林、学校やめるってよ
    失礼しました。言いたいだけです。そんな場合じゃないですね🙇

    いや〜無理に忘れなくてもいいと思うんですけどね。時間が癒やしてくれるはず。しかしその為には協力も必要か。ええ友だちばっかやん、一咲👍

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