第9誓 悩まなきゃ!(脚本)
〇未来の店
ルイーナ「ラスキアを助けてッッッ!!!!!!!!」
〇谷
ゼノンアビス「・・・」
近衛騎士 エクス「ゼノ様・・・ 見張りの交代の時間です・・・」
ゼノンアビス「・・・ああ・・・ もう・・・そんな時間か・・・」
ゼノンアビス「・・・ルイーナは?」
近衛騎士 エクス「・・・疲れたのでしょう・・・ テントでぐっすり眠っていますよ」
ゼノンアビス「・・・そうか・・・」
近衛騎士 エクス「ルスキニアとウンブラを閉じ込めた宝玉があるせいか魔物も寄って来ません」
近衛騎士 エクス「ゼノ様もお休み下さい」
ゼノンアビス「・・・」
近衛騎士 エクス「・・・何か悩み事ですか?」
ゼノンアビス「・・・やはり・・・ オレでは勝てないか・・・と思ってただけだ・・・」
近衛騎士 エクス「勝てない?」
ゼノンアビス「・・・ルイーナと・・・ 共に過ごした時間・・・ 積み重ねて来た想い・・・」
ゼノンアビス「・・・ラスキアには・・・ 遠く及ばない・・・」
近衛騎士 エクス「・・・」
ゼノンアビス「ルイーナがウンブラに叫んだ時・・・」
ゼノンアビス「・・・勝てないな・・・と思ってしまったんだ・・・」
近衛騎士 エクス「・・・珍しいですね?」
ゼノンアビス「ん?」
近衛騎士 エクス「・・・弱気なゼノ様を見られるとは・・・」
近衛騎士 エクス「いつも頼り甲斐のあるゼノ様が自信なさげに悩まれている・・・ こんな姿が見られるなんて思ってもみませんでした!!」
ゼノンアビス「か、からかうのはやめてくれ・・・!! これでも本気で悩んでいるんだ・・・!!!!」
ゼノンアビス「・・・ルイーナは・・・ やはり・・・ラスキアが好きなんだろうか?」
近衛騎士 エクス「・・・そうだったとして・・・ ゼノ様は諦めるのですか?」
ゼノンアビス「い、いやっ! 諦めるつもりなど・・・!!」
ゼノンアビス「・・・なくは・・・なくない・・・」
近衛騎士 エクス「・・・ゼノ様は”王子”なのをお忘れですか?」
ゼノンアビス「・・・それは・・・反則だ・・・」
ゼノンアビス「オレが”王子”の権限を振りかざせば・・・ ルイーナはすぐに手に入れられる・・・」
ゼノンアビス「・・・だが・・・ それをしたら・・・ ルイーナの”心”は手に入らない・・・」
ゼノンアビス「お互いに”好き”でなければ・・・」
近衛騎士 エクス「・・・では、ラスキア殿にその座を譲るのですか?」
ゼノンアビス「い、いやっ! ラスキアとはきちんと戦って──」
近衛騎士 エクス「ルイーナさんを手に入れたい?」
ゼノンアビス「・・・」
ゼノンアビス「コ、コホン!! オレは、オレの生涯を誓う『太陽の涙』を選びたいだけだ!!」
ゼノンアビス「・・・ルイーナが・・・ そうであって・・・欲しい・・・と 思っただけだ・・・」
近衛騎士 エクス「ゼノ様をこんなに悩ませるとは・・・!! ルイーナさんも罪な方ですね!」
近衛騎士 エクス「で? ルイーナさんのどこに惚れたんです?」
ゼノンアビス「・・・オマエ・・・楽しんでるだろ?」
近衛騎士 エクス「そりゃ!もちろんですともっ!!」
〇テントの中
ルイーナ「・・・」
〇未来の店
ルイーナ「ラスキアを助けてッッッ!!!!!!!!」
〇テントの中
ルイーナ(あの時・・・必死に叫んでウンブラを宝玉に閉じ込める事に成功したけど・・・)
ルイーナ(ラスキア・・・助かるよね・・・?)
ルイーナ(目・・・覚まして・・・ いつもみたいに笑いかけてくれるよね・・・?)
ルイーナ(”いつもの毎日”に・・・戻れるよね?)
ルイーナ「・・・」
ルイーナ(ライオール王は・・・ 目を覚ましたラスキアを・・・ どうするつもりなんだろう?)
ルイーナ「・・・ラスキアは・・・王子様に・・・ なっちゃうのかな・・・?」
ルイーナ(ゼノと一緒に力を合わせて・・・ ソルの国を導く人になるのかな・・・?)
ルイーナ「・・・私の事・・・ 忘れちゃう・・・のかな?」
ルイーナ「・・・遠い存在に・・・ なるのかな・・・?」
ルイーナ「・・・」
ゼノンアビス「──・・・って!? ルイーナ!? 起きてたのかっ!?」
ゼノンアビス「す、すまないっ!! 寝てると思って・・・声をかけそびれた!! 急に入ってすまないっ!!!!」
ルイーナ「あ、いや・・・大丈夫・・・! ちょっと目が覚めただけだから!」
ゼノンアビス「そ、そうか!」
ルイーナ「ゼノは? 今から寝るの?」
ゼノンアビス「ああ。 ちょっと休ませてもらおうかと思ってな」
ルイーナ「あ、じゃあ・・・私も見張りして来ようかな! 私が居たら・・・ゆっくり出来ないでしょ?」
ゼノンアビス「そんな事はない!」
ゼノンアビス「ルイーナの側で眠れるのは・・・役得というか・・・ こんな機会は滅多にないから・・・嬉しい」
ルイーナ「ん?」
ゼノンアビス「見張りはエクスに任せておけば心配ない!」
ルイーナ「そう? でも、やっぱり・・・私・・・邪魔──」
ゼノンアビス「邪魔じゃない・・・ ルイーナが良ければ・・・ 側に居てくれないか?」
ルイーナ「・・・うん・・・いいけど・・・」
ゼノンアビス「・・・少し・・・話をしたいんだが・・・ 付き合ってくれるか?」
ルイーナ「うん?いいよ」
ゼノンアビス「・・・ルイーナは・・・」
ゼノンアビス「・・・ラスキアが好きなのか?」
ルイーナ「へ!?」
ゼノンアビス「・・・好き・・・なんだろう?」
ルイーナ「・・・」
ゼノンアビス「・・・好き・・・なんだな・・・?」
ルイーナ「・・・わからないの・・・」
ゼノンアビス「わからない?」
ルイーナ「・・・ラスキアの事は・・・大切・・・なんだけど・・・」
ルイーナ「この”好き”が・・・ 家族としての好きなのか・・・ ラスキア個人に向けての好きなのか・・・」
ルイーナ「・・・未だに・・・ 私自身・・・よくわからなくて・・・」
ルイーナ「・・・ただ・・・ ラスキアが無事に目覚めて・・・ 王子様になって・・・」
ルイーナ「私の側から・・・離れて行ってしまったら・・・ ちょっと・・・寂しいなって・・・」
ルイーナ「ご、ごめんね!? ゼノにこんな事話しても・・・ 困るだけだよね!?」
ゼノンアビス「ルイーナ・・・」
ルイーナ「ゼ、ゼノ・・・!?」
ゼノンアビス「・・・迷っているなら・・・ オレが先に立候補してもいいか?」
ルイーナ「え?」
ゼノンアビス「・・・ルイーナ・・・ オレの太陽の涙になってくれないか?」
ルイーナ「えっ・・・と?」
ルイーナ「ゼ、ゼノ・・・冗談──」
ゼノンアビス「冗談じゃない・・・」
ゼノンアビス「・・・冗談に・・・させないでくれ・・・」
ゼノンアビス「ラスキアが目覚めない隙を突くなんて・・・ 狡いかもしれないが・・・」
ゼノンアビス「オレは・・・ルイーナが・・・好きなんだ!!」
ゼノンアビス「ラスキアよりも・・・ 出逢ったのは最近だし・・・言葉もあまり交わせてないが・・・」
ゼノンアビス「ルイーナと顔を合わせる度に・・・ ルイーナを目で追っている自覚はあるくらいには・・・好きだ」
ゼノンアビス「いつもキミの側にいるラスキアに・・・ 嫉妬して焦って告白するくらい・・・ キミの事が・・・好きなんだ」
ルイーナ「ゼ、ゼノ・・・きっとそれは・・・気の迷い──」
ゼノンアビス「気の迷いでも遊びでもない・・・!! 本気だと言ったら・・・ どうする?」
ルイーナ「えっ・・・と・・・」
ゼノンアビス「目を逸らさないでくれ!! オレは本気だ!!」
ルイーナ「・・・私は・・・ゼノの事・・・」
ゼノンアビス「・・・ああ。 わかっている・・・」
ゼノンアビス「今はまだ”ただのお友達”で構わない・・・」
ゼノンアビス「ただ意識して欲しかったんだ・・・ ラスキア以外にも キミを想う男が側にいる事を・・・」
ゼノンアビス「・・・今はラスキアを助ける事で頭がいっぱいだろう?」
ルイーナ「・・・うん」
ゼノンアビス「・・・だから返事は、ラスキアが無事に目覚めた後でいい・・・」
ゼノンアビス「オレの太陽の涙になる事・・・考えてみてくれないか?」
ゼノがルイーナと喋る時の、拗ね照れ顔が可愛かった♥
恋敵に敵わないと思いながらも、思いを伝えたい気持ちが痛いほど心に沁みました。
ゼノの告白の行方はいかに…。
最新話まで一気読みさせて頂きました。
勝ち目があるか否かに関わらず告げたゼノ。ラスキアを応援していましたが、ゼノの純粋な想いを知ると、どうか二人共幸せになってほしい…!
お話だけでなく、言葉や文化、キャラデザイン等、細部まで深く練られた世界観にも、楽しませてもらってます^^
RPG展開の次の回とは思えぬドキドキ告白回、見ていて紅潮してしまいます…😳 ストレートに想いをぶつけるゼノ様、イイですね~🥰
そして、想像以上にシャイなゼノ様と、実はドSなエクスさんの会話シーンが🤣