蛇地獄

YO-SUKE

第12話 『捕食者』(脚本)

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〇店の休憩室
  バイトの休憩中、遥香は電話をかけていた。
遥香「ええ。もちろん、大丈夫ですよ」
遥香「もし夜ご飯食べてないなら・・・はい、じゃあ簡単なものを用意しておきますね」
  電話を切ってほくそ笑む。
増田忠司「遥香ちゃん。 そろそろ休憩時間終わりだけど──」
遥香「私、早退します」
増田忠司「え?」
遥香「今から帰ってご飯用意しなくちゃいけないんで」
増田忠司「いや、でも遥香ちゃんのシフト、今日は22時までじゃ・・・」
遥香「もちろん、22時までいたことにしといてくれますよね?」
増田忠司「・・・はい」
遥香「ありがとうございます」

〇ハイツ
  アパートの前で気まずそうに立つ坂下の元に、スーパーの袋をか抱えた遥香がやってきた。
遥香「坂下さん。待ちました?」
坂下道雄「いや、さっき着いたとこだから」
遥香「じゃあ部屋入りましょうか」
坂下道雄「あの、本当にこれでいいのかな?」
遥香「何がですか?」
坂下道雄「こんな風に、すぐに遥香ちゃんのとこに転がり込むような形になっちゃって」
遥香「七瀬さんのことは、もう好きじゃないんですよね?」
坂下道雄「・・・うん」
遥香「それなら、何も問題はないと思います」
  遥香は嬉しそうに坂下の腕に自分の腕をからめる。
遥香「今日から私が彼女ですからね♪」
坂下道雄「・・・・・・」

〇中規模マンション
  七瀬のアパートの前には葬儀屋の車が停車している。
  葬儀屋の職員は、放心状態の七瀬にあらためて頭を下げた。
職員「この度は本当にご愁傷様でした」
片岡七瀬「・・・・・・」
職員「こうして手厚くお見送りされて、モリーちゃんも喜んでいると思います」
片岡七瀬「・・・・・・」
職員「それでは、出棺します」
  職員は車に乗り込むと、クラクションを鳴らして去って行った。
上野毛信子「随分豪華なお見送りじゃないか」
片岡七瀬「・・・・・・」
上野毛信子「まあそれだけ大事な子だったってことなのかね」
片岡七瀬「・・・私の、せいなんです」
上野毛信子「?」
片岡七瀬「私が窓を開けたままにしたから・・・」
片岡七瀬「蛇は寒さに弱いって、私・・・わかってたはずなのに」
上野毛信子「・・・・・・」

〇ペットショップの店内
増田忠司「遥香ちゃん、ちょっといいかな?」
遥香「なんですかー?」
増田忠司「七瀬ちゃんのことなんだけど、一昨日から連絡が取れないんだ」
遥香「そうなんですね」
増田忠司「何か知らないかな?」
遥香「私が七瀬さんの何を知ってるっていうんですか?」
増田忠司「それはまあ──」
遥香「気になるなら、店長が自分で様子を見に行けばいいじゃないですか」
遥香「七瀬さんのファンなんだし」
増田忠司「は、遥香ちゃん!」
  すみませーん
遥香「あ、いま伺います!」

〇綺麗な一人部屋
  カーテンが仕切られた暗い室内で、ボサボサの髪をした顔の七瀬が台所で水を飲む。
  腕まくりをした七瀬の右腕は、手首から肩にかけて皮膚が緑の鱗で覆われていた。
片岡七瀬「・・・道雄、モリーがいないの。 私・・・一人になっちゃったよ」

〇ファミリーレストランの店内
遥香「えーと、じゃあこのハンバーグに、トッピングのチーズをつけてください」
遥香「ライス大盛で、食後はイチゴパフェを」
店員「かしこまりました」
坂下道雄「そんなに頼むの?」
遥香「これくらい普通です♪」
坂下道雄「機嫌良さそうだね」
遥香「坂下さんもお仕事決まったんだし、時々はこうして外食しましょうね」
坂下道雄「う、うん」
遥香「どうかしました?」
坂下道雄「いや」

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