エピソード25『コージの挑戦』(脚本)
〇空
【2034年、モンガル『ホビロン』。『飼葉 タタミ』】
『フォーチュン』が四散した。
楽々「よし!!」
粉のような形状を取った『フォーチュン』に、わたしたちは自身の勝ちを信じた。
けれど砕け散ったソレは、
3種の神器が創り出した『灰色の世界』の終りに、
〇空
────言葉を吐いた。
私ワ死なない。大地と同化する。
私が、私こそが『チキュウ』となるのだ
先生は、もう動けない。息も弱く、衰弱しきっている。
それは、わたしたちも同じ。
全てにおいて、わたしたちは、チカラを使い果たしていた。
私ワ、お前らの主人となり、その全てヲ、ヒトチリ残さず、子子孫孫まで、搾取してヤロウ♪
のたまう『フォーチュン』も、敵キメラも倒す手段は残っていない。
『ホーム・ホルダー』の兵士が銃を放り、次々と両手を上げる。
・・・もう、どうにもならない。
そこに響いたのは、支配者『ブラック・ダド』による、宣誓だった。
ブラック・ダド「来い。『王留《オール》 』」
『ブラック・ダド』に宿り振り放たれた金色の刃は、先生のソレと比べ物にもならなかった。
その振り下ろした一撃で、『フォーチュン』は灰?と成った。
圧倒的な光の渦は『フォーチュンのキメラ』も、わたしたちのキメラも、全てを呑み込み無に変えた。
ば、万能細胞『マイティ』を? 万能再生機構『ノルン』を朽ちさせるのか?
オマエはバカか? この化学の申し子を殺す事が、お前たち地球の民にどれだけの損失を与え──
ブラック・ダド「黙れ『フォーチュン』」
『ブラック・ダド』が歩んだ一踏みは、『フォーチュン』の眼球を微塵に砕いた。
ブラック・ダド「そして、朽ちるのはオマエだけではない」
ブラック・ダド「『緋色くん』、キミもだ。そしてキミに触れた全ての生き物も、だ」
〇空
ブラック・ダド「キミたちは滅ばなければならない。我が家族の為に、全ての『ペスト』は死滅させる」
──その時、背後からわたしの前に飛び出した男の子が居た。
コージ「『ブラック・ダド』! 僕と勝負しろ! 僕が負けたら、おとなしく死んでやる! そして3種の神器もくれてやる!」
楽々「こ、『コージ』! あんた何言ってんのよ! あんたが勝てるわけ・・・」
最下級貧民『ジャンク』の『スズキコージ』が、最強の剣士であり、世界の支配者である『ブラック・ダド』に勝負を挑む?
と、とんでもない展開に、頭がついていかない。
コージ「その代わり、僕が勝ったら、僕たちから手を引け! 二度と僕たちに干渉するな! 『緋色さん』を殺すことも許さない!」
ブラック・ダド「・・・・・・『コージくん』、だったか?」
コージ「そうだ!」
けど、
やはり『ブラック・ダド』が『コージ』を前に怯む事は無い。
どんな事があっても無理だ。
ブラック・ダド「いったい『ナニ』で私と勝負をする気だい? どんな手段でも、私はキミに負ける気はしないが」
ただ、『コージ』を信じてしまったのが、わたしたち『ジャンク』だ。
楽々「やれやれ、だよ」
『楽々』も、もはや笑っている。
コージ「10分で勝負を付けてやる! 勝負方法は、 ────アナタが考えたというゲーム、『ネーム・ポーカー』!」
世界の支配者『ブラック・ダド』がその発案者だと、リーダーが教えてくれた。
攻略方は人脈の広さこそが全て、
わたしたちに有利な点は、・・・まるで無い。
コージ「・・・ただ、僕に時間は5分と要らないけどね!」
コージ「この勝負受けるかい? 世界の支配者『ブラック・ダド』 いや、最強の手札『ジョーカー』!」
『ブラック・ダド』はしばし『コージ』を眺め、そののち顎を縦に振った。
わたしたちも顔を見合わせ、皆で頷く。
『化け物クリエイターズ』の最期を決める勝負、それをわたしたちは、『コージ』が示す札に委ねたの。
𝓽𝓸 𝓫𝓮 𝓬𝓸𝓷𝓽𝓲𝓷𝓾𝓮𝓭