蛇地獄

YO-SUKE

第11話 『嫉妬と執念』(脚本)

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〇店の休憩室
  増田はロッカーを漁ると、ハンカチを取り出してそれを鼻に当てた。
増田忠司「ハァ・・・ハァ・・・七瀬ちゃん、柔軟剤変えたかなぁ」
「いやぁ、まるで獣みたいですね」
増田忠司「!?」
  増田が振り返ると、携帯を構えた遥香が背後に立っていた。
遥香「あ、これ動画です」
遥香「店長が七瀬さんのロッカーを漁っているところ撮っちゃいました」
増田忠司「ち、違う。これは誤解だ」
遥香「七瀬さんがこのこと知ったらなんて思うかな」
増田忠司「頼む! 動画を消してくれ!」
遥香「それに店長の奥さんは泣いちゃうかもしれませんね」
遥香「夫がこんなことしたなんて知ったら」
増田忠司「妻には黙っててくれ!」
遥香「・・・いいですよ」
増田忠司「!」
遥香「ただし、私のお願いを一つ聞いてくれれば」

〇火葬場

〇葬儀場
友人A「それにしても驚いたよな」
坂下道雄「・・・ああ」
友人A「自殺をするようなタイプじゃないだろ、山岡は」
坂下道雄「自殺・・・か」
友人A「お前、頻繁に連絡取り合ってたほうだろ?  何か知らないのか?」
坂下道雄「山岡は・・・何かに怯えてた。 何かが来るって騒いでて」
友人A「幻覚ってやつか?」
坂下道雄「・・・・・・」
  坂下の脳裏に山岡の叫び声がフラッシュバックする。

〇おしゃれな廊下
  あいつが来た!!

〇葬儀場
坂下道雄「あいつ・・・か」
友人A「なんの話だ?」
坂下道雄「い、いや。なんでもない」

〇ペットショップの店内
増田忠司「七瀬ちゃん。ちょっといいかな?」
片岡七瀬「はい。でも店長、なんか顔色悪くないです?」
増田忠司「そ、そうかな」

〇店の休憩室
片岡七瀬「・・・ちょっと意味がわからないです」
増田忠司「だから、彼氏さんと別れたほうがいいと言ったんだよ」
片岡七瀬「なんで店長にそんなこと言われなくちゃならないんですか?」
増田忠司「ヒモの男なんて、さっさと切ったほうがいい」
片岡七瀬「そんなの、前からわかってたことです」
増田忠司「それは、まあ・・・」
片岡七瀬「失礼ですけど、店長が私の彼氏の何を知ってるんですか?」
増田忠司「・・・・・・」
片岡七瀬「私、仕事戻ります──」
増田忠司「七瀬ちゃんの彼氏は浮気しているよ」
片岡七瀬「?」
増田忠司「心当たりがあるんじゃないのか?」
片岡七瀬「・・・適当なこと言わないでください」
  ガチャッ
片岡七瀬「! 遥香ちゃん・・・」
遥香「あれ? どうしたんですか?」
片岡七瀬「・・・なんでもない」
増田忠司「・・・これでいいんだな?」
遥香「ええ。上出来です」
  そう言って遥香は不気味に微笑んだ。

〇綺麗な一人部屋
  薄暗い部屋の中に散らばる本や洋服。
  七瀬が恐ろしい形相で部屋をかき乱し、坂下の私物を調べていた。
片岡七瀬「浮気なんて・・・するわけないじゃない」

〇中規模マンション
  坂下が帰宅すると、マンションの下で上野毛が七瀬の部屋を見上げていた。
  上野毛の周りには、本や洋服などがあちこちに散らばっている。
坂下道雄「! これは、俺の──」
上野毛信子「あんたの彼女、とうとうどうかしちまったのかね?」
  そう言って上野毛が七瀬の部屋を指さす。
  そこには、ちょうど部屋の窓から坂下の私物を投げ捨てようとする七瀬の姿があった。
坂下道雄「!」

〇綺麗な一人部屋
  坂下が慌てて部屋に入ると、物が散乱した部屋の中央で、髪を乱した七瀬が膝を抱えていた。
坂下道雄「何があったんだ!?」
片岡七瀬「・・・・・・」
坂下道雄「おい! 七瀬、これはいったい──」
片岡七瀬「何もなかった」
坂下道雄「?」
片岡七瀬「浮気の証拠があると思ったの」
坂下道雄「! う、浮気って俺がそんな──」
片岡七瀬「でも何もなかったの」
坂下道雄「浮気なんてするわけないだろ?  そんなことのためにここまでしたのか」
片岡七瀬「だって道雄が浮気してたら──」
坂下道雄「勘弁してくれよ。言っただろ?」
坂下道雄「今日だって、山岡が死んだから葬式に行ってたんだよ」
片岡七瀬「・・・・・・」

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