青鷺の午睡

ましまる

#6 2023.6.30 ②(脚本)

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〇オフィスの廊下
  2023.6.30(Fri.) 21:57

〇小さい会議室
依田 大樹(構成作家)「何なんだよ・・・ あのネチっこい説教は」
RICO「アタシたちは慣れたけどね」
栗沢 大和(ディレクター)「・・・慣れたくはなかったですけど」
依田 大樹(構成作家)「今日のネチネチ説教の1回だけで 俺は金輪際、御免被りたいと思ったけどな」
依田 大樹(構成作家)「そうそう、「松葉崩し」事件のときは もっとハードなお説教だったんだろ?」
  ※ #2 参照
RICO「ええ、今日のネチっこさに 怒気がプラスされたハイブリッド説教ね」
依田 大樹(構成作家)「過去のお説教の長さも 「松葉崩し」が最長記録か?」
RICO「いえ・・・」
RICO「「ビスマルク薬局」さんが最長かな・・・」
依田 大樹(構成作家)「あー、スポンサー降板にまで至ったしな」
栗沢 大和(ディレクター)「そうですよ、RICOさんが 「ビスマルク薬局」様のことを」
栗沢 大和(ディレクター)「CM明けに「ビ薬」なんて略したうえ・・・」
RICO「「女子をすぐ淫乱にする薬を売ってそう」 なんて言っちゃったからね・・・」
依田 大樹(構成作家)「真っ当な調剤薬局チェーンに対し そりゃ風評被害ってモンだろ」
依田 大樹(構成作家)「精力剤を扱う薬局ならいざ知らず」
RICO「あの発言、反省してるから・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「いやいや、あの騒動の後も 発言は何ら変わっていないじゃないですか」
RICO「いいえ、反省しているからこそ」
RICO「あの発言の後、ただちに、 ちゃんと媚薬の成分を調べ尽くしたのよ」
RICO「媚薬に関する誤情報を 二度とお伝えすることのないようにね」
「へっ!?」
RICO「媚薬に主に使われるのは、 バイアグラ等の血管拡張剤、」
RICO「或いは、エストロゲン等のホルモン製剤、」
RICO「いずれも、薬効としては 女子をすぐエロい状態にはできないのよ」
RICO「ただ、男性ホルモンのテストステロンで エロくなるという報告もあるみたいだけど」
RICO「男性ホルモンだから、何度も使っていたら ホルモンバランスも乱れてしまうので オススメできないのよね・・・」
依田 大樹(構成作家)「お前さぁ・・・」
RICO「媚薬について間違った情報を伝えたこと、」
RICO「これは反省してもしきれない 悔やんでも悔やみきれないことだから」
依田 大樹(構成作家)「反省のポイントが・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「明らかに間違ってますよね・・・」
RICO「だから、今度は適切な媚薬情報を リスナー達にお伝えしていくから」
依田 大樹(構成作家)「・・・すんな」

〇小さい会議室
栗沢 大和(ディレクター)「そうそう、お二人へお知らせしなければ ならないことが・・・」
RICO「えっ、何かあったの?」
栗沢 大和(ディレクター)「実は昨日、局・・・というか番組宛てに」
栗沢 大和(ディレクター)「『週刊新話』から電話取材がありました」
依田 大樹(構成作家)「おっ、ディレクター様の不倫バレか?」
栗沢 大和(ディレクター)「・・・ボクは独身ですから」
依田 大樹(構成作家)「じゃあ、何についての取材なんだ?」
栗沢 大和(ディレクター)「・・・2週間前の緑山市の”事故”について」
依田 大樹(構成作家)「それが、なんでウチの番組に?」
栗沢 大和(ディレクター)「雑誌社の独自取材で、 ”転落”した少女がこの番組のリスナーだと」
依田 大樹(構成作家)「・・・ってコトは、本当に・・・」
RICO「・・・・・・・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「・・・ええ、恐らく」
RICO「それで、週刊誌側は 何を知りたがっていたの?」
栗沢 大和(ディレクター)「・・・その少女が送ったお便り内容です」
依田 大樹(構成作家)「それで、教えてやったのか?」
栗沢 大和(ディレクター)「教えられる訳ないじゃないですか!?」
栗沢 大和(ディレクター)「『わかりかねます』 一点張りですよ!」
依田 大樹(構成作家)「だよな」
RICO「その取材、アタシのところにも来たわよ」
栗沢 大和(ディレクター)「えっ!?」
RICO「今日の”入り”のとき、地下駐車場でね・・」
依田 大樹(構成作家)「地下駐車場まで記者に出入りされてるって 何か鬱陶しいな」
RICO「気にしなくても大丈夫だって センセが取材されることはないから」
依田 大樹(構成作家)「わかってるけどさ・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「ちなみに、RICOさんへも 同じ質問内容でしたか?」
RICO「アタシのところには、」
RICO「女の子の "転落死" について どのような気持ちを抱いているのか?」
RICO「そんな感じで尋ねてきたわね」
栗沢 大和(ディレクター)「この質問内容の違いって 一体どういうことなんでしょう?」
RICO「さぁ、わからないわね・・・」
依田 大樹(構成作家)「そもそも、その週刊誌記者は どんな記事を仕立てようとしているんだ?」
栗沢 大和(ディレクター)「気になりますよね・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「いじめ問題なら 学校や家庭が取材対象先ですし・・・」
依田 大樹(構成作家)「電話取材のときに 相手から聞き出さなかったのか?」
栗沢 大和(ディレクター)「コッチが回答を控えているのに、 向こうの意図だけ一方的に聞けないですよ」
依田 大樹(構成作家)「そこは、キャバで鍛えたトーク術で・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「何にも鍛えてないですから」
依田 大樹(構成作家)「じゃあ、ダウンタイムに モモちゃんの胸を触っていただけかよ・・」
栗沢 大和(ディレクター)「ボクのことはいいですから・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「それより、この週刊誌の妙な動きって、」
栗沢 大和(ディレクター)「この事件に何かが隠されているのではと 思いたくなりますよね」
依田 大樹(構成作家)「"何か"って何だよ?」
依田 大樹(構成作家)「学校側がいじめを隠蔽したいとかか?」
栗沢 大和(ディレクター)「あー、その可能性ってありますよね」
依田 大樹(構成作家)「そんな学校側の "闇" を明かす目的で 週刊誌が動いたってことか?」
栗沢 大和(ディレクター)「それなら、週刊誌の記者が動くのは 納得ですね」
依田 大樹(構成作家)「まあ確かに・・・」
依田 大樹(構成作家)「学校側としたら、いじめの公表なんて デメリットしかないからな」
RICO「いえ、その隠蔽はデメリットだらけなのよ」
栗沢 大和(ディレクター)「えっ、どういうことですか!?」
RICO「というのも・・・」
RICO「「いじめ防止対策推進法」というのが あってね・・・」
依田 大樹(構成作家)「あー、10年くらい前のいじめ自殺事件が きっかけで出来た法律だよな」
RICO「センセ、よくご存じね」
依田 大樹(構成作家)「で、その法律と隠蔽とは どういった関係があるんだ?」
RICO「この法律では、児童・生徒や保護者から いじめの相談を受けた場合、」
RICO「速やかに事実確認をして 対策を講じることが義務付けられているの」
RICO「そして、いじめにより長期の不登校、 大怪我、そして自殺へと至った場合には」
RICO「「重大事態」として、教育委員会への 文書報告をしなければならないのよ」
栗沢 大和(ディレクター)「長期の不登校、自殺・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「まさに今回のケースですよね」
依田 大樹(構成作家)「それなら、報告が面倒だとか、 教育委員会から怒られるのが嫌とかで、 隠蔽しそうなモンだけどな・・・」
RICO「この法律で、押さえておかなければ ならないことがもう一つあってね」
RICO「法律には、関わった教師への罰則規定が 何一つ盛り込まれていないのよ・・・」
栗沢 大和(ディレクター)「じゃあ、仮に担任がかなり悪質な先生で、」
栗沢 大和(ディレクター)「深刻ないじめを放置し続けたとしても、」
栗沢 大和(ディレクター)「それで暴力事件や自殺に至ったとしても、」
RICO「法的には罰を与えられないってことね」
依田 大樹(構成作家)「マジかよ・・・」
RICO「さっきの「重大事態」が起こっても、 教育委員会に報告書を挙げさえすれば お咎めなし」
RICO「あとは、校内のいじめ対策の会議を増やし 担任にいじめ防止の研修を受講させれば 万事オッケーって感じね」
栗沢 大和(ディレクター)「うわ・・・」
RICO「逆に、報告をせずに隠蔽したのなら、」
RICO「「いじめ防止対策推進法」に規定する 義務を果たさなかったということで、」
RICO「組織ぐるみでの法令違反として 大問題へ発展、処分対象になってしまうわ」
RICO「利に聡い教師連中なら どう動くのかなんて明らかじゃない?」
RICO「特に今回のケースは、不登校・自殺という 「重大事態」のダブル発生だし」
依田 大樹(構成作家)「でもよ、その法律が出来たあとも いじめの隠蔽事件のニュースもあるよな」
RICO「そういった学校の幹部連中は、愚かしくも」
RICO「いじめ事件を隠し通せるという 根拠なき自信があったんじゃないの?」
RICO「犯罪行為をしても、自分だけは 逃げ通せると思う犯人もいるじゃない」
栗沢 大和(ディレクター)「あー、轢き逃げ事件でもありますよね」
栗沢 大和(ディレクター)「車で歩行者を撥ねてしまったとき 救護義務と報告義務を果たせばいいのに」
栗沢 大和(ディレクター)「逃げてしまった結果 より重い罪が課せられるケースとか」
依田 大樹(構成作家)「どっちのケースも、 隠蔽できると過信した馬鹿の所業だよな」

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コメント

  • 松葉寿司並みに酷い例があったんですね😆ビ薬、、、そりゃあ、怒られるわ、、、そしてRICOさんの勉強熱心ぶりというか真面目さは違う方向に向いてますね☺️その知識知らんかった、、、
    週刊誌はいったい何が目的なのか気になりますね🤔変な記事にならなければいいですが、、、
    それにしても、風俗の時間を気にしたり、キャバクラの話をしたりできる3人の中は素晴らしいですね☺️

  • 駐車場は記者だったんですね!記者の質問の違い気になります🤔どんな記事にされるのかドキドキします😰💦
    しかし、媚薬の成分きちんと調べるなんてRICO姐律儀!😂💕スポンサー様をビ薬笑っちゃいましたがRICO姐強い!笑✨センセは人妻熟女もイケるクチ…🤔✨めちゃくちゃ守備範囲広そうなイメージあります、センセ😂💖

  • りこ姐の知識、深くて笑いました😂👍
    なんか下ネタ事情にどんどん詳しくなってます😂35歳は風俗では熟女なんですね!

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