I REMEMBER YOU(脚本)
〇ジャズバー
ミツセ「すぅ・・・」
ミツセ「うおおおおぉおおお!!」
ミツセ「轟けぇえええ!! アタシの旋律よぉおおお!!」
ナノハ「なにやってんのミツセ・・・」
ミツセ「き、貴様はマゴイチ(孫一)!!」
ナノハ「誰が鉄砲衆だいっ!!」
ナノハ「1番目の孫だけども!!」
ミツセ「貴方の心臓を?」
ナノハ「狙い撃ち♡」
ナノハ「のせんなぃッ!!」
アマモリ「お二人の狙撃なら信長もイチコロですね」
ミツセ「なんだ!! このオッサン!?」
ナノハ「失礼にも程があるよ!!」
ナノハ「ぶっ飛ばされても仕方ないよ・・・」
ミツセ「パパ活か!?」
ナノハ「ぶっ飛ばしてやるぜ、ド畜生!!!!!!」
アマモリ「まぁ、そう思われても仕方ありませんよ」
ナノハ「同意するんじゃねぇええ!!」
アマモリ「くたびれたオッサンの隣に こんな可愛い子が立ってるんだもの」
ナノハ「可愛い女の子──」
ナノハ「よし、許そう」
ナノハ「地の果てまで許すぞ、私は」
ミツセ「で、パパ活じゃないとしたら なんなんだ?」
ナノハ「霊感商法だ♪」
ミツセ「よし、一昨日出て行け」
ナノハ「うわーん!!!! 私の為にひと肌!!」
ナノハ「いや!さん肌!! 脱いでくれ!!」
ミツセ「全部、脱がそうとするんじゃねぇ──」
ミツセ「期待してんじゃねぇ──」
ナノハ「こちらはアマモリさん」
ナノハ「エッチなオジサンだ」
ミツセ「連れて帰れ!! 二度と敷居をまたぐなよ!!」
ミツセ「塩を持ってこい」
ナノハ「ラジャーしたぜ」
ミツセ「うわー成仏するぅうう」
ミツセ「せめてあの推しだけでも 呪い殺すべきだったぁああ!!」
ナノハ「すまないオジサン ミツセは成仏しちまったぜ」
ナノハ「この話はなかったことに」
ミツセ「私に塩をかけるんじゃない!!」
ミツセ「成仏しかけただろッツ!!」
ナノハ「さすが、ミツセ姉さん!! まだ悪霊として健在だ!!」
ナノハ「憐れなオジサンとは違って丈夫だね」
アマモリ「憐れな・・・」
ナノハ「悪霊の中の悪霊 ミツセの姉さん!!」
ナノハ「その力があれば、人が救えるんだ」
ナノハ「助けておくれよ」
ミツセ「幸せになる壺は?」
ナノハ「売らない!!」
ミツセ「曰くつきの像は?」
ナノハ「売らない!!」
ミツセ「お金儲けは?」
ナノハ「したい♪」
ミツセ「この話はなかったことに・・・」
ナノハ「うわあああぁぁぁん!!」
ナノハ「これもウチのオンボロ寺が が悪いんだぁあああ!!」
ナノハ「なんで私が修繕費用を稼がなくちゃ いけないんだよおー!!」
ミツセ「うるさ・・・」
アマモリ「この子も苦労してるようなんで 力になりましょうよ」
ミツセ「お前のせいだぞ、悪霊!!」
アマモリ「あなたも悪霊ですよね・・・」
〇ジャズバー
ミツセ「なるほど、解決したら その暗号通貨が報酬と?」
ナノハ「そう、将来は1000倍も狙えるんだとよ!!」
アマモリ「まぁ、一万円くらいで買ったもんですし」
アマモリ「秘密鍵を教えるだけで簡単に渡せますし」
ナノハ「一万円でも私は嬉しい♪」
ナノハ「ふくく♪」
ナノハ「欲しい物はなんだ?」
ナノハ「お供えの饅頭か?」
ナノハ「墓石に浴びせかける天然水か?」
ミツセ「今、墓石の下に アタシはいないんだけど・・・」
アマモリ「幽霊になると、お互い苦労しますね」
ミツセ「お前が持ち込んだ苦労だからな!!」
ナノハ「苦労も失敗も 分かち合うと約束した仲だろ!!」
ミツセ「幸せを分かちあえ!!」
アマモリ「そういう訳で 娘の気持ちを変えたいんです」
ミツセ「勝手に話を進めるんじゃねぇ!!」
〇ジャズバー
ナノハ「このオジサンを助けてくれ」
ナノハ「頼む、私の為に!!」
ミツセ「全く気がのらないんだけど・・・」
ナノハ(ほら、同情を引くエピソードだ)
ナノハ(早く語るんだ)
アマモリ「ええっと、そうですね・・・」
アマモリ「娘には「友達にお父さんだと知られるのが恥ずかしい」と言われたり──」
アマモリ「「迷惑だから家に帰って来ないで」 と言われたり──」
アマモリ「とにかく反抗的な娘でした」
ナノハ「そんな恵まれないオジサンに合いの手を!!」
ミツセ「・・・反抗的になった心当たりは?」
アマモリ「いえ、全く──」
アマモリ「彼氏を連れてきても許す 心が広い父親だったと思います」
アマモリ「30分ごとに覗きには行きましたけど これくらいはOKですよね」
「Okじゃねぇえええ!!」
ナノハ「コイツは、娘の為に今すぐ成仏させよう!!」
ミツセ「お前が連れてきた依頼者だぞ」
ナノハ「いや、こいつに成仏する資格はない!! 悪霊に堕ちろ!!」
ミツセ「現時点で悪霊だ・・・」
アマモリ「そこをなんとか!!」
アマモリ「立派な父親だった・・・ 娘には、そう思っていて欲しいんです」
ミツセ「なんでだ?」
アマモリ「そう心に残るなら 死んでも支えになれると思うから──」
ナノハ「分かった!!」
ナノハ「オジサンの為じゃない!!」
ナノハ「その娘さんの為に、ドーンと助けてやるぜ」
ナノハ「ミツセ姉さんが!!」
ミツセ「結局、アタシがやるのか・・・」
ミツセ「はぁ・・・」
ミツセ「もし、死因を書き換えるカクテルを 作っても問題がある」
ナノハ「娘のミナトちゃんは未成年 お酒はダメだもんな!!」
ミツセ「ノンアルを作るって・・・」
ミツセ「でも、どうやってそれを飲ませる?」
ナノハ「うおりゃぁああって!!」
ミツセ「飲まないって──」
ミツセ「知らない相手に貰った飲み物を飲むか?」
ナノハ「飲まない!!」
ミツセ「だろ?」
ナノハ「よし、それは私が考えよう」
ミツセ「お前が考えるのか・・・」
ナノハ「任せてくれ」
ミツセ「不安しかないんだけど」
ミツセ「まぁ良いや、任せるぞ 本当に──」
ミツセ「じゃあ、見せてもらうよ」
ミツセ「アンタの記憶を──」
アマモリ「俺のこと・・・」
アマモリ「俺の人生か・・・」
〇オフィスのフロア
上司「おいアマモリ!! ちんたら仕事してんじゃねぇぞ!!」
〇オフィスのフロア
同僚「まだ仕事終わらないのか?」
同僚「今日も泊まりか? ははっ──」
同僚「じゃあ先お先に──」
〇オフィスのフロア
警備員「また残ってるんですか?」
警備員「よく頑張りますね」
警備員「どうしてそこまで仕事に人生をかけるのか 分かりませんけれど──」
〇雑踏
アマモリ「なんでだ・・・」
アマモリ「どうして俺はそんなにも働いていた?」
アマモリ「家にも帰らず──」
アマモリ「帰ってもレンジで温めたゴハンを食べて 寝るだけだったな・・・」
アマモリ「家族と何を話しただろう──」
アマモリ「愚痴か罵られてた記憶しかない──」
アマモリ「いつからそうなったんだろう・・・」
アマモリ「カナエはいつの間に 高校生になったんだろうな──」
アマモリ「家族ってなんだっけ──」
アマモリ「俺には家族が居たのか?」
〇ジャズバー
アマモリ「はぁ・・・」
アマモリ「なんもない人生でしたよ」
アマモリ「仕事をして」
アマモリ「仕事をして」
アマモリ「ただ仕事をしてた」
アマモリ「で、病気になって」
アマモリ「死んだ・・・」
ミツセ「病院は行かなかったのか?」
アマモリ「健康診断で 毎回悪い結果を貰ってましたよ」
アマモリ「でも忙しかったですし」
アマモリ「それにまさか急に死ぬなんて、ね」
ミツセ「奥さんと娘は悲しんだのか?」
アマモリ「妻は喜んでましたよ 生命保険が貰えるって」
アマモリ「アイツにとって俺の体は 保険金の引換券だった」
ミツセ「恨んでるか?」
アマモリ「それなりに・・・」
ミツセ「だったら復讐をしたらどうだ?」
アマモリ「それでミナトが不幸になったら 困るでしょう──」
ミツセ「そうだな・・・」
アマモリ「それに・・・ ミナトはなにも言わなかったんです」
アマモリ「お金のことは何一つ──」
アマモリ「それどころか、涙を浮かべていました」
アマモリ「こんなダメな父親が死んだくらいで──」
アマモリ「涙が零れないように 歯を食いしばって耐えていた」
アマモリ「だから──」
アマモリ「ミナトには想って欲しい」
アマモリ「ダメな父親だったけど──」
アマモリ「それでも、どこか少しくらいは 良い父親でいたい」
アマモリ「・・・」
アマモリ「子供に過剰な期待を抱く・・・」
アマモリ「ダメな親の典型ですね」
ミツセ「アンタは、ダメな父親じゃないと思うな」
ミツセ「私の周りには 両親と不仲のヤツも居たけど──」
ミツセ「ソイツの親たちは もっと救いようが無かった」
ミツセ「アンタは時間が無かっただけだ」
アマモリ「時間を作らなかっただけですよ」
アマモリ「今、思えばね──」
アマモリ「もっと・・・」
アマモリ「時間を作れば良かった・・・」
ミツセ「分かった──」
ミツセ「カクテルは作る──」
ミツセ「だが死因は変えない」
アマモリ「そんな──」
ナノハ「どうしてだよ、ミツセ姉さん!!」
ミツセ「アマモリは、働いた」
ミツセ「とにかく働いた」
ミツセ「家族のことは忘れてしまったが それは立派なことだと思う」
ミツセ「だからこそ 残せる物もあったんだろう」
ミツセ「だからアンタが変えるべきのは 死因そのものじゃない」
ミツセ「死に際の言葉だ」
アマモリ「死に際の言葉?」
ミツセ「アンタは何を娘に伝えたい?」
ミツセ「死に際の言葉だ──」
ミツセ「それを変える」
アマモリ「・・・ずっと、一緒にいれなくてゴメン」
アマモリ「もし、死んでもずっと見守ってる」
アマモリ「ですかね──」
ミツセ「キモ・・・」
アマモリ「酷くないですか・・・」
ナノハ「それが世間一般の娘の総意だ」
ミツセ「そしてアンタのは、父親の総意かもな」
ミツセ「お前の死を装飾しよう」
ミツセ「メモリーズ・ジャケット」
〇店の入口
〇シックなカフェ
常盤「いらっしゃいませ」
ミナト「こんにちわ・・・」
ナノハ「じいちゃん、遊びに来たぜ」
常盤「やぁ、ナノハ」
常盤「そちらはミナトさんですね?」
ミナト「あのう・・・」
ミナト「ここカフェですよね」
常盤「えぇ、ジャズも楽しめるカフェです」
ミナト「防音室があるってナノハから 聞いたんですけど」
常盤「あぁ、地下のことですね」
常盤「どうぞ、こちらへ──」
〇ジャズバー
アマモリ「まさか友達になって連れて来るとは・・・」
ミツセ「コミュ力お化けだからな、アイツは」
ミナト「・・・地下もお店なんですね」
ナノハ「こっちは夜だけなんだ」
ミナト「本当にドラムが置いてある♪」
常盤「音楽をたしなまれるので?」
ミナト「えぇ、ドラムを♪」
アマモリ「ドラムをやってたんだ──」
ナノハ「使って良い、この場所?」
常盤「構いませんよ、営業時間までなら」
ミナト「ホントですか!?助かります」
常盤「どうぞ、ご自由にお使いください」
常盤「飲み物をご用意しましょう」
ミナト「紳士的な人だね」
ナノハ「そうだろ? 変わってるとよく言われるぞ」
ミナト「褒めてるんだけど・・・」
ミナト「ウチの父さんや おじいちゃんとは大違いだなぁ」
ナノハ「あれはレアモノだぞ」
ミナト「アンタも大概だけどね」
常盤「どうぞ」
ミナト「うわ、本格的!?」
ナノハ「それ、じいちゃんが作ったものじゃな──」
ナノハ「よ、よし飲め、グイッとな」
ミナト「美味しい♪」
ミナト「・・・」
ミナト「・・・美味しい、ね」
ナノハ「どうした、ミナト?」
ミナト「うん、なんか ふっとお父さんのことを思い出した」
ミナト「もういないけどね──」
ミナト「変だな・・・」
ミナト「ずっと仕事ばっかで 家には、ほとんど居なかったのに・・・」
ミナト「なんで、急に思い出したんだろ──」
ナノハ「何を思い出したんだ?」
ミナト「死ぬとき、私の心配してたんだってさ──」
ミナト「そんな場合じゃないのにね」
ミナト「それに、心配するんだったら もっと前から、心配して欲しかったな」
アマモリ「ゴメン・・・」
アマモリ「ゴメン、ミナト・・・」
ミナト「でも良い父さんだったと思う──」
ミナト「それだけ働いてくれてたんだもん」
アマモリ「ありがとう・・・」
アマモリ「ありがとうございます」
ミツセ「アンタは頑張って生きた」
ミツセ「それを、あの娘が覚えてくれている」
ミツセ「それが結果だ」
ミツセ「私は、少し人生を飾っただけ」
ミツセ「これがお前に贈るジャケットだ」
ナノハ「なにか演奏するか?」
ミナト「勿論♪」
ミナト「ナノハはサックス吹けるんだよね」
ミナト「合わせてみる?」
ナノハ「良いけど、ジャズは?」
ミナト「よく知らない」
常盤「ならば少し私が ジャズの手解きをしましょう」
ミナト「曲はなにを?」
常盤「そうですな──」
常盤「I REMEMBER YOU (あなたのことを思い起こして)」
〇ジャズバー
〇ジャズバー
ミツセちゃんとナノハちゃんの掛け合いがテンポが良くずっと聞いてられます😄今回もミツセちゃんのクチは悪さを総消しにする優しさグッドです!
お父さんも頑張って頑張って頑張ってたんですよね…私も父が健在ならもっと感謝しておくべきだったなと考えさせられました🥲
立ち絵のご利用ありがとうございます!m(_ _)m
三キャラも使っていただいて凄いうれしいです!😊
お父さん、娘さんは好きでいてくれたのが唯一の救いですね。うるっときました😢
ミツセちゃんは相変わらず毒舌系だけどそこがいいんですよね~、言葉はちょっと荒いけどちゃんと優しさがあるというか。