蛇地獄

YO-SUKE

第10話 『三角関係』(脚本)

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〇ペットショップの店内
増田忠司「仕事はもう慣れた?」
遥香「ええ」
増田忠司「良かった。 今日、僕らだけでも店回せそうだね」
遥香「七瀬さんお休みなんですか?」
増田忠司「今朝急に欠勤したいって連絡来てさ」
遥香「・・・・・・」
増田忠司「まあ七瀬ちゃんは働きすぎだから、たまには休んだほうがいいんだけど」
遥香「・・・かわいいですよね。七瀬さん」
増田忠司「え?」
遥香「店長が特別に優しいの、なんかわかるなぁ」
増田忠司「別にそんなことは──」
遥香「七瀬さん、店長の気持ち気付いてるんじゃないかな?」
増田忠司「え?」
遥香「狙ってみたらどうですか?」
増田忠司「いや、あのね──」
遥香「私、応援します」
増田忠司「ぼ、僕は結婚してるからね」
遥香「でも今は彼氏さんと喧嘩してるみたいですよ」
増田忠司「そうなの?」
遥香「そろそろ別れるんじゃないですかね」
増田忠司「へー。そうなんだ・・・」
遥香「・・・・・・」

〇大きいデパート

〇試着室
坂下道雄「なあ、スーツくらい自分で選べるし、買えるから」
片岡七瀬「いいじゃん。選ばせてよ」
坂下道雄「でもわざわざ仕事休んでまで──」
片岡七瀬「道雄が仕事する気になったんだから。 安いもんだよ」
片岡七瀬「山岡さんに感謝だね」
坂下道雄「・・・・・・」
  坂下は友人の山岡が先日電話で言っていた言葉を思い出した。

〇黒
  お前の言った通りだった。
  あの女はまともじゃない

〇試着室
坂下道雄「七瀬・・・お前、山岡と──」
片岡七瀬「ん?」
坂下道雄「い、いや! なんでもない」
片岡七瀬「あ、ネクタイはこれがいいかも」
  そう言いながら七瀬は手に取ったネクタイを坂下の首に巻き付ける。
坂下道雄「ちょっ! ちょっときついって!」
片岡七瀬「フフ。似合ってるよ」

〇ネオン街

〇焼肉屋
坂下道雄「焼肉って、ここまでしなくても」
片岡七瀬「いいの。私が食べたかったんだから」
坂下道雄「そっか・・・ならいいけど」
片岡七瀬「それにゲストも呼んでるから」
坂下道雄「ゲスト?」
片岡七瀬「遥香ちゃーん! こっちこっち」
遥香「あ、お待たせしました」
坂下道雄「え? なんで」
片岡七瀬「私が呼んだの」
片岡七瀬「ていうか、元々遥香ちゃんとの約束のほうが先だから」
坂下道雄「・・・・・・」
片岡七瀬「さあさあ、遥香ちゃん座って」

〇焼肉屋
  夢中になって焼肉を食べる七瀬の傍ら、坂下と遥香は時折気まずそうに目を見合わせた。
片岡七瀬「ここのタン塩おいしいねー」
  そう言って七瀬はタン塩に切り目を入れて、坂下と遥香に見せつける。
片岡七瀬「じゃん。 こうするとモリーの舌みたいだね、ハハハ」
「・・・・・・」
片岡七瀬「そうだ、遥香ちゃん。 今日お店、変わりなかった?」
遥香「いつも通りでした。 けど・・・ちょっと心配なことがあって」
片岡七瀬「?」
遥香「店長、七瀬さんのこと好きみたいなんですよね」
遥香「しかも結構本気で」
片岡七瀬「まさか」
遥香「今日も七瀬さんの話ばかりでした」
片岡七瀬「奥さんいるのにねー」
遥香「ですよね」
片岡七瀬「・・・まあでも、私は店長無理だなぁ」
遥香「どうしてですか?」
片岡七瀬「道雄が好きだから」
「・・・・・・」
片岡七瀬「こう見えて道雄って優しいところもあるし、やるときはやる男なんだよ」
坂下道雄「こ、こう見えては余計だろ」
片岡七瀬「へへへ」
遥香「・・・・・・」

〇商店街
片岡七瀬「遥香ちゃんっ! 今夜はありがとね」
遥香「・・・いえ」
片岡七瀬「道雄~、お家帰ろう~」
  そう言って七瀬が坂下に寄りかかる。
坂下道雄「お、お前! 今日ベタベタしすぎっ」
片岡七瀬「そうかなー」
坂下道雄「いちいち俺に巻き付くな!」
遥香「・・・・・・」
片岡七瀬「じゃあねー、遥香ちゃん」
遥香「坂下さん」
  遥香が坂下を睨(にら)んで言った。
  真剣な顔をした彼女の様子に、坂下も思わず背筋を伸ばす。
坂下道雄「ど、どうしたの?」
遥香「今日はお二人のデートにお邪魔してすみませんでした」
坂下道雄「いや──」

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