とある大名家の子息の恋愛物語

ゆき杏宰相

それぞれの想い(脚本)

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〇屋敷の寝室
  夜になった。権三郎は寝る時間だ。そして、権三郎の周りに人がいなくなる時間でもある。彼は、抜け出して、侍女に会うつもりだ
兼田三郎「若様、お休みなさいませ」
池田権三郎政隆「三郎もな またな」
「失礼致します」
  兼田三郎は去った。権三郎は1人になった。しかしもう少しは居るつもりだ。周りに気づかれないためにも。

〇屋敷の寝室
  権三郎は、電気を消して、完全に寝る準備を整えた。そして、頃合いを見て、部屋を抜け出した。
  権三郎の周りに護衛もいるが、そこまで厳重ではないから、簡単に抜け出せた。そして、権三郎は密かに、寮へ向かった。

〇日本家屋の階段
  権三郎が寝所を抜け出している同じ頃、千代も寝所を出て、廁に向かっていた。千代は、権三郎のことを思い出していた。
  若様はとてもかっこよかったな。あの顔は惚れてしまう。あんなに顔が整ったお方は見たことがないわ。
  はあー顔を見てはいけないのもわかるわ。あんなにカッコ良いお方がいたら、魅惑してしまいたくなるのはわかるわ。
  それに、顔が整っておいでなだけでなく、身分もよく、財産も持っておいでなのだもの。あれは惚れてしまうわ。
  あらいけない、邪念は消さなければ。私は解雇されたくないもの。真面目に働かなければね。
  厠は、寮の中にあった。しかし、千代は戻る前に、少し外の風を吸いたいと考え、寮の外に出た。寝巻きであっても、屋敷内は安全だ
  そのため、千代のような女性も少し風を吸うことが可能だったのだ。

〇アパートの中庭
  権三郎は寮の近くまでやってきていた。しかし、寮の中には入れないでいた。何故なら、一度入ってしまったら隠れられないからだ。
  そこへ、千代がやってきた。
千代「きゃあっ」
池田権三郎政隆「静かに」
  千代は急いで、土下座した。
千代「すみません、若様ですよね、何でこのような場所に?」
池田権三郎政隆「それは貴女が気になったからです。私は貴女を、中庭で今日見て以来忘れられませんでした。その為です。あと、表を上げてください」
千代「それはできません」
池田権三郎政隆「表を上げてください。これは命令です。逆らうことは認められません。あなたは私のことをどう思っているのですか」
千代「きょうあったとき、私も若様のことが気になりました。しかし、そのような感情を抱くことは許されていません」
池田権三郎政隆「相似相愛ということですか。名前は何ていうんですか?」
千代「千代と申します」
池田権三郎政隆「千代、いい名前ですね。覚えておきます。私は貴女に恋をしてしまったようです」
千代「若様には婚約者がおいででしょう。我慢してください」
池田権三郎政隆「嫌です。貴女にせめて夜でいいから会わせてください。お願いです」
千代「若様は気づいておいででしょう?私が命令に断れないということを」
池田権三郎政隆「これはお願いであって命令ではありません。愛しています、千代。貴方も私を愛してください」
千代「それは無理です。婚約者を建ててください。婿養子に行かれるのでしょう?」
池田権三郎政隆「千代、貴女は私のことをどういうふうに考えているのですか」
千代「高貴なるお方です。とても顔が整っていて、カッコよく、お金も持ち、身分もある最高のお方です。内心ではお慕いしたいです」
千代「しかしそれは許されていません」
池田権三郎政隆「夜だけは、本心でいましょう。私は貴女のことを知りたい。毎夜会いましょう」
千代「それはお仕事もあるので無理です」
池田権三郎政隆「しかし、貴女と公式に会うことは難しいでしょう。妨害してくる者が居ますので」
千代「若様、お許しください」
  そう言うと千代は、寮の中に逃げ込んだ。権三郎は追い掛けようと思ったが、諦めて、自室に戻った。

次のエピソード:権三郎の考え

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