精霊の湖

桜木ゆず

第10話 "意志"の力(脚本)

精霊の湖

桜木ゆず

今すぐ読む

精霊の湖
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇古い競技場
ホープ「義足・・・?」
ルーフェン「あぁ、吹き飛んだのは義足だ」
ルーフェン「だから死なないさ」
ホープ「・・・」
ホープ「良かっ・・・」
ホープ「・・・」
ルーフェン「・・・」
ルーフェン「心配をかけたな・・・」
ルーフェン「・・・はぁ、だがこのままじゃ 立って歩くのは骨だな」
ホープ「肩を貸します、掴んで下さい!」
ルーフェン「・・・いや、 お前には重くて無理だと思うが・・・」
バラバイ「大丈夫ですか!? 医者を連れてきました!!」
医者「君!足が大変なことに!」
ルーフェン「・・・いや、吹き飛んだのは義足なんだ」
「義足!?」
ルーフェン「だから足は問題ありません」
バラバイ「あぁっ! 良かったっ!」
バラバイ「まさか魔法が暴発するとは・・・ 大変なことを──」
バラバイ「本当に申し訳ない」
ルーフェン「いえ、大丈夫だ」
医者「その足では不便でしょう 診察した後、松葉杖を用意しますね」
ルーフェン「感謝します」

〇可愛らしいホテルの一室
ホープ「お水、もらってきました」
ルーフェン「一階の食堂まで取りに行かせて悪いな ありがとう」
ホープ「いいえ」
ルーフェン「はぁ・・・全く、 義足を着けていても 階段の上り降りが面倒なのに」
ルーフェン「義足がないと、 ほんの少し動くのも一苦労だ」
ホープ(あぁ・・・ だから最初にこの宿に泊まった時──)
ホープ(部屋が3階だと聞いて、 憂うつそうだったのか・・・)
ホープ「きっと不便でしょうね・・・」
ホープ「あ、お水いれますね」
ホープ(どうしてこの人は 足を失ったのだろうか・・・)
ホープ(理由を聞くことは 許されることなのかな・・・)
ホープ「・・・」
ルーフェン「ん?どうかしたのか?」
ホープ「・・・いえ お水、どうぞ」
ホープ「服、元のやつに着替えたんですね」
ルーフェン「あぁ、 魔法でボロボロになってしまったからな」
ホープ「せっかく新しい物を買ったのに・・・」
ルーフェン「まぁ、仕方ないさ それよりも大した怪我がなくて良かったよ」
ホープ「ええ、本当に」
ホープ「それにしてもバラバイさん達、 遅いですね」
ホープ「あれからもう、 数時間になるのに・・・」
ルーフェン「そうだな・・・ 修理出来る人が見つかるといいんだが・・・」

〇可愛らしいホテルの一室
  数刻前・・・
バラバイ「本当に申し訳ない」
バラバイ「つい熱くなってしまって、 知らず知らずの内に 魔法を使ってしまったようだ」
バラバイ「それもこれも今まできちんと魔法の練習を してこなかったからなのですが・・・」
バラバイ「いや、理由はなんであれ 申し訳ない・・・」
ルーフェン「いや、もういいですから」
サイガ「・・・俺からもすみません」
ルーフェン「はぁ、どうして君まで謝る・・・」
ルーフェン「それより・・・ あなたは前回の優勝者だったんでしょう?」
ルーフェン「俺のせいで棄権扱いになってしまって、 こちらこそ申し訳ない」
バラバイ「いやいやそんなこと、 あなたの命を危険にさらしたことを 思うと、些細なことです」
バラバイ「本当に、なんとお詫びしたら・・・」
ルーフェン「・・・はぁ」
ルーフェン「た・す・け・て・く・れ、ホープ・・・」
ホープ「・・・!!」
ホープ(・・・ルーフェンさん、困ってる こういう状況、苦手そうだもんな)
ホープ「・・・あっ!」
ホープ「だったら、壊れた義足を 修理してもらったらどうでしょう?」
バラバイ「!! もちろんだ!」
バラバイ「さすがに私には直せないですからな 直せそうな人を探して頼んでみます!」
サイガ「俺も探してきます!」
ルーフェン「では、頼みました」
「はい!」

〇可愛らしいホテルの一室
ホープ「あれからかなり経ちますけど・・・ バラバイさんたち、まだかなぁ」
ホープ「あっ、夕日が綺麗ですね・・・」
ルーフェン「夕方か・・・ そうだ、今日は赤月の日だったな」
ルーフェン「そういえばホープは 赤月を見たことがないと言ってたな」
ホープ「ええ・・・ 奴隷の時は季節をゆっくり感じたり──」
ホープ「ぼんやりと窓の外を見る余裕なんて なかったので、見たことがないんです」
ルーフェン「そうか・・・」
ルーフェン「今日は雪が降ったり止んだりを 繰り返してるから・・・」
ルーフェン「このまま晴れが続いて、 月が出るといいな」
ホープ「わっ!!」
ホープ「あぁ、きっと、バラバイさん達ですね」
ルーフェン「この足だ・・・ すまないが代わりに出てくれるか?」
ホープ「はい」
ホープ「今出まーす!」
ホープ「バラバイさん、遅かっ──」
身なりの良い男性「どうも、失礼」
身なりの良い男性「おや、君は・・・」
ホープ「えっ? だ、誰?」

〇可愛らしいホテルの一室
身なりの良い男性「おや、お嬢さん」
身なりの良い男性「きみ、名前は?」
ホープ「えっ・・・」
「ホープ」
ホープ「ルーフェンさん・・・」
ルーフェン「ホープ、あそこに居ろ」
ルーフェン「あんた誰だ?」
身なりの良い男性「おや、突然で驚かせてしまったかな? これは失敬」
ゼファ「わたくしは ゼファ、と申します」

〇可愛らしいホテルの一室
ルーフェン「俺たちに何か用か?」
ゼファ「おやおや、 そんなに警戒しないでください」
ゼファ「わたくしはあなたに頼み事があるのです」
ルーフェン「俺に?」
ゼファ「はい。あなたに・・・ 我々の護衛をお願いしたいのです」
ルーフェン「護衛・・・だと?」
ゼファ「ええ、わたくしは旅の商人なのですが、 西へ行くためにノの森を通行したいのです」
ゼファ「いやぁ、戦祭りでのあなたを見て ピンときましたよ、 あなたこそ我々の護衛に相応しいと」
ルーフェン「なぜ俺に頼む? 護衛なら優勝者にでも頼めばいいだろう」
ゼファ「わたくしは商売柄、優れたモノの価値が 分かるのですよ、ええ」
ゼファ「・・・(ニコッ)」
ホープ「・・・!!」
ホープ(今、私に微笑みかけた?)
ゼファ「途中退場となってしまいましたが、 あなたの闘い方は、一味違って見えました」
ルーフェン「護衛をする気はない 帰ってくれ」
ゼファ「ま、待って下さい! もちろん報酬は弾みます その子も一緒で構いません、ええ」
ゼファ「お嬢さんもぜひ」
ホープ「・・・!!」
ルーフェン「くだらん、帰ってくれ」
「ちょーっと待ったぁ!!!」
サイガ「その話、乗ったぁ!!」

〇可愛らしいホテルの一室
サイガ「じいさん!話は聞いてたぜ!」
サイガ「じゃあ俺達がその護衛を引き受けるよ!」
「こら!サイガ!」
バラバイ「話が終わるまで出ていくなと言ったろ!」
サイガ「うわ!師匠! ごめんなさい!」
ゼファ「おや、あなた達は・・・」
ゼファ「あぁ、たしか前回の優勝者の方・・・ でしたかね?」
ホープ(あれ?反応が薄いな)
ホープ(前回の優勝者って聞けば 喜びそうなものだけど・・・)
サイガ「そうそう! だから護衛は安心して任せてくれよな!」
サイガ「俺も見習い騎士だから 闘いには自信があるんだ!」
サイガ「きっと力になれるぜ!」
ゼファ「ほう、見習い騎士ですか それは頼もしい」
ゼファ「きっと我慢強くて、 体力もありますでしょう、ええ」
ゼファ「ではあなた方にもルーフェンさんと 同じお願いをしましょう」
ゼファ「ちなみに報酬は銀貨3枚ですよ いかがですか?」
バラバイ「良いでしょう、引き受けましょうや」
バラバイ「困っている人を放っておいたら トレイユの騎士として恥ずべきことだ」
ゼファ「おおっ! ありがとうございます」
バラバイ「ただし!条件があります!」
ゼファ「はい、なんでしょうか?」
バラバイ「それは・・・」
バラバイ「ルーフェンさんも一緒に行くことですな!」

〇可愛らしいホテルの一室
「・・・!」
ルーフェン「どうしてそうなる・・・」
ルーフェン「俺の話を聞いていなかったんですか?」
バラバイ「ルーフェンさんは ノの森の迷信が怖いのでしょう?」
バラバイ「それなら私も一緒に行って、 なんなら退治をしますよ」
バラバイ「わっはっはっは」
ルーフェン「別に俺は──」
バラバイ「ルーフェンさん、大丈夫ですよ! 実は旅の途中、ノの森を通って来たのです」
バラバイ「怪物なんていやしません、保証します」
ホープ「ルーフェンさん、 ノの森の迷信とか怪物ってなんですか?」
ルーフェン「・・・今は何も聞くな」
ホープ(怪物とかそういうの苦手なのかな?)
ホープ(ルーフェンさんの意外な弱点だ・・・!!)
バラバイ「さぁ、どうですかな?」
ホープ(ここまで言われたら、 ルーフェンさんのプライド的に・・・)
ルーフェン「はぁ、分かったよ」
ルーフェン「護衛をすればいいのでしょう?」
バラバイ「おおっ!では一緒に護衛をしましょうや」

成分キーワード

ページTOPへ