夏目ゲームスの仕事人

夏目心 KOKORONATSUME

1 やる気有る先輩と新入り君(脚本)

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〇オフィスのフロア
部長「小島君、ちょっと良いかな?」
小島聡「お早う御座います部長!お呼びですか?」
部長「あぁ、昨日君が担当していた契約先からクレームが来ててな。呼び掛けても連絡が無いと苦情が来ててね」
小島聡「えぇ!?何で早く行ってくれなかったんですか!?」
部長「いや、私は昨日ハッキリ言ったぞ?そう言う事が有ったら先ずは手を止めてクレーム処理を優先するのが当たり前じゃ無いか?」
小島聡「お言葉ですが部長!私は昨日直ぐ片付けなきゃ行けない案件が有りまして!とても手を止められる状態じゃ有りませんでした!」
小島聡「部下をフォローするのも上司の役目でしょ!?」
部長「そ、それはそうだが・・・先ず君がだね・・・」
小島聡「こちとら安月給で毎日徹夜して仕事に貢献してるんですから、少しは部下を労うって事して下さいよ!そんなんだから」
小島聡「チームが成り立たないんですよ!」
部長「いや、それは君が勝手に与えられた以上の仕事をやってるから・・・」
一条拓也「お早う御座います・・・って、またこの光景か・・・」
  俺は一条拓也。夏目ゲームスでシナリオ作成をしてる会社員だ。朝方から先輩の小島さんが部長と言い合っている光景を目にして、
  一人で勝手に呆れていた。小島先輩はやる気に溢れるが、肝心の仕事の出来は良いとは言えず、本人もそれに無自覚だった。
部長「おぉ!一条君!来てたのか!」
一条拓也「お早う御座います。部長、小島先輩」
小島聡「お早う一条!今日も気合い入れて行けよ!新作ゲームの発売も、いよいよ明後日だからな!」
一条拓也「えぇ、まさか俺が立案したシナリオが此処まで上手く行くと思いませんでした」
  そうだ。明後日は俺が書いたシナリオのゲーム。閃光の少女がいよいよ発売される。ゲームの内容は
  謎解きアクションアドベンチャーで、10代後半の女の子が主役の冒険ゲームだ。発表された時は自分が此処までやれるとは
  全く想像して無かった。
小島聡「本当!お客様からの反響凄かったよな!それもこれも俺の教えが有ったからこそだよな!先輩として、俺ももっと楽しいゲームを」
小島聡「作って見せるぞ!!」
一条拓也「え?でも小島先輩がこの前書いた奴、皆から却下されてたじゃ無いですか?主人公ばかり優遇し過ぎだって・・・」
小島聡「あぁ!?有れは皆のセンスが無いから却下されただけだ!ヒーローが格好良く悪を倒すのは皆の憧れだろ!!?」
一条拓也「でもあの作品の主人公、明らかに小島先輩自身がモデルですよね?」
小島聡「それの何が行けないんだ!?」
部長「ま、まぁまぁ!二人共この辺にしてくれたまえ!ゲームがヒットしたら、その後が大変だ。今後も皆で頑張ろうでは無いか」
一条拓也「まぁ、はい」
小島聡「任せて下さい!」
部長「あぁ。それはそうと、今日から新人の人がこの部署に入る事に成った」
一条拓也「あれ?また急ですね」
部長「朝礼の時に皆に紹介しようと思うから。それまで待っててくれ。それと小島君。クレームが来た時の処理は本当に頼むよ?」
小島聡「はい!問題有りません!」
  色々と思う所は有るが、朝礼に成るまでに俺達は仕事の準備を進めるのだった。その後、朝礼の時間と成り、俺達は集められた。
部長「え〜、本日から、我々の部署で働く事と成った釘宮詩織君だ。皆、仲良くやってくれよ」
釘宮詩織「釘宮詩織です。宜しくお願いします!」
小島聡「おぉ!こりゃまた可愛い女の子が入って来たな!!部長、教育係は誰が?」
部長「そうだな・・・誰に任せるべきか・・・」
釘宮詩織「あの、一条拓也さんですよね?」
一条拓也「え?そうですが何か?」
釘宮詩織「やっぱり!!閃光の少女のシナリオを書いた人ですよね!?私体験版やりました!凄く面白かったです!!」
一条拓也「え?そ、そうか!?あの、やって見て難しく無かった?」
釘宮詩織「はい、難しかったです。ですが、装備の特徴とか使い方とかを考えたら凄くやり応えが有って!ボスもやり方が分かれば」
釘宮詩織「私でも倒せました!!」
一条拓也「お、おう!そうか!何と言うか、その・・・」
部長「釘宮君。そろそろ良いかな?」
釘宮詩織「あぁ!御免なさい!つい・・・」
部長「まぁ、そこの所は程々にしてくれたまえ。そうだな・・・一条君。君に釘宮君の教育係を任命したい」
一条拓也「え、俺がですか!?」
小島聡「ま、待って下さい部長!教育者として優秀なのは私の方でしょう!?何で一条なんかに!?」
部長「まぁ落ち着きたまえ。彼女のあの楽しそうな感じは小島君も見ただろう?私としては一条君に任せたい。どうかな?」
一条拓也「・・・まぁ、次の案とか、まだ纏まって無いし、俺で良ければ・・・」
部長「そうか!宜しく頼むよ!」
小島聡「え〜・・・納得出来ないなぁ・・・」
釘宮詩織「改めて、釘宮詩織です。一条さんの下で教えて貰える事、凄く楽しみです!」
一条拓也「まぁ、何だ・・・ちゃんと教えられるか分からないけど、何か有ったら言ってね」
釘宮詩織「はい!」
小島聡「詩織ちゃん。何か困った事が有れば俺にも言ってくれよ?一条だけじゃ頼り無いからな!」
釘宮詩織「分かりました。考えときます」
  今日から新入りが入り、俺はその子の教育係と成った。色々と有りそうには成るが、俺もやれる事をやるだけだった。

〇オフィスのフロア
小島聡「良ぉし!こっちの資料終わり!次はと・・・」
釘宮詩織「お疲れ様です」
一条拓也「先輩、俺等上がります」
小島聡「はぁ!?何勝手に帰ろうとしてるんだよ!?」
釘宮詩織「え?もう私達定時なんですが」
小島聡「成って無いな!!与えられた仕事だけやってはい終わりか!?違うだろ!!先輩が頑張って仕事してるなら自分達も」
小島聡「残って仕事するのが常識だろ!?一条!お前は何度言えば分かるんだ!?」
一条拓也「先輩・・・その考え古いってこっちからも言いましたよね?ハッキリ言って効率悪いですよ?」
一条拓也「第一長くやり過ぎてミスった事忘れたんですか?」
小島聡「はぁ!?俺はお前等より長く続けてるんだ!今更詰まらないミスなんてする訳無いだろ!?」
釘宮詩織「それ、世間ではフラグって言うんですが・・・」
一条拓也「小島先輩。釘宮さんは今日初日だからもう休ませて上げて下さい。俺は俺でこれからお見舞い行かないとなんで」
小島聡「はぁ!?仕事とお見舞いどっちが大事なんだよ!?これからの事も考えてだな!!」
一条拓也「そう思うなら先ず自分の健康状態見直した方が良いですよ?何がともあれ、釘宮さんは休ませて上げて下さい」
一条拓也「こっちにも事情が有ります」
小島聡「あ〜!!そこまでやる気が無いならもう良い!!だけど明日から確りやって貰うからな!!」
一条拓也「分かりました。では失礼致します。釘宮さん、行こう」
釘宮詩織「あ、はい!」
小島聡「・・・ったく、一条の奴どんな教育してるんだ?やっぱり俺がやった方が・・・」

〇大ホールの廊下
一条拓也「全く、あの人本当考えが古いと言うか何と言うか」
釘宮詩織「あの、一条さん」
一条拓也「ん?どうした?」
釘宮詩織「小島先輩ってどんな人なんです?仕事に対して真剣なのは分かるんですが」
一条拓也「あぁ、やっぱ気に成っちゃうよね。小島先輩、内に入ってから8年位は経ってるんだよね」
釘宮詩織「え?そんなに?」
一条拓也「まぁ、あの人見ての通りやる気は満々だけど、何処か詰が甘くて良く部長とかに怒られたりするんだけど、全く反省して無くて」
釘宮詩織「えぇ?それで良く8年もやれましたね・・・」
一条拓也「何より、あの人ずっと徹夜で自ら仕事してるから、そこの所考え直して欲しいとは思うよ。とは言っても、小島先輩と一緒だと」
一条拓也「大体ロクな事無いんだけどね。閃光の少女が注目されてるのも自分のお蔭だと思い込んでるし」
釘宮詩織「ん?実際どんな感じで作りました?」
一条拓也「あの人の意見ガン無視でやったよ。今でも本人に言った事無いから」
釘宮詩織「そうなんですね・・・今度閃光の少女の事、聞かせてくれませんか?」
一条拓也「あぁ、時間取れたらな。そろそろお見舞い行かなきゃ」
釘宮詩織「あの、さっきから気に成ってたんですが、誰のお見舞いに行くんです?」
一条拓也「誤解されない様に話すけど、俺、姉さんが居てさ。今は結婚して別居してるけど、数ヶ月前に妊娠して、近い内に産まれるかも」
一条拓也「知れないから、ついこの前入院したんだ」
釘宮詩織「お姉さんが居て妊娠!?それ一大事ですよね!早く行って上げて下さい!その後の話もまた!」
一条拓也「あぁ、約束する」
  釘宮さんに小島先輩や姉の事を色々話して、俺は一人でお見舞いに行くのだった。

次のエピソード:2 病院での出会い

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