蛇地獄

YO-SUKE

第7話 『ハートのピアス』(脚本)

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〇綺麗な一人部屋
遥香「終電逃しちゃったみたいなんです」
坂下道雄「え?」
遥香「すみません・・・帰るって言っておきながら」
坂下道雄「い、いや! 部屋入りなよ」

〇中規模マンション

〇綺麗な一人部屋
  結局、遥香は部屋に泊まることになった。
  遥香にベッドを譲(ゆず)り、坂下はソファに横になっていた。
遥香「・・・坂下さん。起きてますか?」
坂下道雄「うん」
遥香「あの、実はこれ、聞こうか悩んだんですけど」
坂下道雄「どうしたの?」
遥香「モリーちゃんのことです」
坂下道雄「・・・うん」
遥香「私、前にバイト先でモリーちゃんの写真見せてもらったことがあるんです」
坂下道雄「・・・・・・」
遥香「でも、ここで見たモリーちゃんとは、全く別の蛇でした」
坂下道雄「遥香ちゃん、それは──」
遥香「確かに、同じカリフォルニアキングスネークです」
遥香「でも大きさも色も、写真のモリーちゃんとは全然違いますよね?」
坂下道雄「・・・・・・」
遥香「私の勘違いなのかな?」
坂下道雄「遥香ちゃん、ちょっと電気付けてもいいかな?」

〇綺麗な一人部屋
  坂下はこの頃七瀬の様子がおかしいという話を遥香に打ち明けた。
遥香「じゃあ前にいたモリーちゃんが失踪してから、七瀬さんは別の蛇をモリーちゃんと呼んでるんですか?」
坂下道雄「うん。信じ切っているから、言い出せなくて」
遥香「そう・・・ですよね」
坂下道雄「遥香ちゃんの前でこんなこと言うのはあれだけど・・・どう考えても異常だよ」
遥香「でも、私もペットロスの経験はあります。 受け入れられない気持ちわかります」
坂下道雄「食卓に冷凍ネズミが出ても?」
遥香「?」
坂下道雄「こないだ、七瀬が遥香ちゃんに作ろうとしたハンバーグ、あいつは無自覚にモリーの餌を使おうとしたんだ」
遥香「・・・・・・」
坂下道雄「正直、俺は七瀬が怖い」
  そう言って坂下が俯(うつむ)くと、遥香がそっと坂下の手を取った。
坂下道雄「! ・・・遥香ちゃん?」
遥香「私で良かったらいつでも相談してください」
坂下道雄「・・・・・・」
遥香「・・・・・・」
  坂下は黙って遥香を押し倒すと、彼女の上に覆いかぶさった。
遥香「坂下さん・・・」

〇黒
  部屋の隅では、黒い蛇がガサガサと音をたてて激しく動きまわっていた──

〇店の入口

〇シックなカフェ
坂下道雄「ここのオムレツ美味しいでしょ?」
遥香「はい! ちょっとびっくりしました」
坂下道雄「あっ、遥香ちゃん。 バイトの時間は大丈夫?」
遥香「まだ余裕あります」
遥香「坂下さん、昨日のことですけど──」
坂下道雄「・・・今は、その──考えなくていいんじゃないかな?」
遥香「・・・・・・」
坂下道雄「二人だけの秘密ってことで」
遥香「そう・・・ですね」
坂下道雄「それに今夜も来てくれるんでしょ?」
遥香「はい!」
遥香「あ、良かったらピアスを探しておいてもらえますか? 」
遥香「私、部屋に落としちゃったみたいで」
坂下道雄「ピアス?」
遥香「やっぱり七瀬さんが見つけたら嫌だろうし・・・」
坂下道雄「遥香ちゃんが来ることはわかってるんだから大丈夫だよ」
遥香「でも──」
坂下道雄「ハート型のピアスだよね」
坂下道雄「遥香ちゃん、すごく似合っててかわいかったなぁ」
遥香「や、やめてください!」

〇中規模マンション
  坂下がマンションに戻ると、七瀬と上野毛が楽し気に立ち話をしていた。
坂下道雄「!」
片岡七瀬「道雄~!」
坂下道雄「ど、どうしたんだよ。 帰ってくるの、明日じゃなかったか?」
片岡七瀬「うーん、お父さんもお母さんも大丈夫そうだったし、モリーが心配だったから」
  上野毛は黙ったまま坂下と七瀬をじっと見つめている。
坂下道雄「この人は・・・」
片岡七瀬「帰ってきたときに挨拶したら、お互いペットの話で盛り上がっちゃって」
上野毛信子「昨晩はずいぶん騒がしかったねえ」
坂下道雄「!」
片岡七瀬「昨晩?」
坂下道雄「あ、ああ。遥香ちゃん来てくれたろ?  一緒にゲームやったんだ」
片岡七瀬「何それ、ずるい」
坂下道雄「だって、お前は忙しくて付き合ってくれないだろ?」
片岡七瀬「遥香ちゃんとなら別~」
坂下道雄「あのなぁ」

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