第三話 クラス会は、廃校で。(後編)(脚本)
〇ボロい校舎
カイイ「・・・」
カイイ「そういえば、髪の毛ちゃんの使い方知らないや」
カイイ「まあ、いい。 待ってろよ、堂島泉!」
〇音楽室
カイイ「どこだ?」
〇体育館の舞台
カイイ「ここじゃ広すぎるか」
〇学校のプール
カイイ「場所聞いときゃ良かった」
〇教室
カイイ「ここは違うか」
〇教室
「サプライーーズ!」
ヒロシ「ハッピークラス会デーだゾン!」
堂島泉「ようこそマイフレンド!」
堂島泉「リアクション悪いな」
ヒロシ「サプライズビギナーかもしれませんゾン」
堂島泉「初心者さんかー」
堂島泉「サプライズって言われたら、 とりあえず驚けばいいから」
堂島泉「いい感じに叫んでね」
ヒロシ「じゃあもう一回いくゾン」
〇教室
カイイ「・・・」
〇教室
「サプライーーズ!」
ヒロシ「ハッピークラス会デーだゾン!」
堂島泉「ようこそマイフレンド!」
堂島泉「驚かないね」
ヒロシ「おかしいゾンね・・・」
堂島泉「サプライズ要素が足りないのかな」
ヒロシ「両腕を抜いた方が良かったゾン?」
堂島泉「首が無いといいかもしれない!」
ヒロシ「じゃあオレの首を引っ張ってゾン!」
堂島泉「両耳つかんで、せーの!」
堂島泉「あ、なにか折れた」
カイイ「待て!」
堂島泉「ごめん。今、立て込んでるのよ」
カイイ「立て込んでるのをオレに見せちゃダメでしょ」
堂島泉「メイキング映像と思って忘れてくれる?」
カイイ「できるか!」
堂島泉「CGだと思っても映画の世界に没入できるでしょ」
堂島泉「それと同じよ」
ヒロシ「同じゾン」
カイイ「同じゾン、じゃない!」
堂島泉「落ち着いて イライラすると全米は泣けないぞ」
カイイ「全米が泣くわけないだろ!」
ヒロシ「全ゾンビは泣きますゾン!」
カイイ「全ゾンビは何人いるんだよ!」
ヒロシ「何人じゃなくて、何ゾンね」
カイイ「タンスは個じゃなくて竿みたいな クイズっぽい知識はいらないんだよ!」
カイイ「実際、タンスを竿って数えてる人はいない!」
カイイ「ていうか、何の話だ!」
堂島泉「ダンスは?」
カイイ「え?」
堂島泉「ダンスの数え方は?」
カイイ「知らないよそんなの・・・ 一舞い、二舞い?」
堂島泉「さーて、正解は?」
堂島泉「ざんねーん、不正解!」
カイイ「クイズはしてない!」
堂島泉「罰ゲーム! 一回言うことを聞いてください」
カイイ「イヤイヤイヤ」
堂島泉「これからサプライズをします」
堂島泉「「まさか!今からクラス会があるなんて!持つべきものは昔の友達!」って喜んでください」
カイイ「ちょっと整理しよう なぜサプライズをしている?」
ヒロシ「何を言ってるゾンか!」
ヒロシ「あなたが言ったゾン!」
カイイ「オレが?」
〇ボロい校舎
偽クラス会一日前
カイイ「お前らに頼みがある」
カイイ「ある人間に手紙を出した 明日、偽のクラス会をここで行う」
カイイ「そこにやってくる堂島泉を恐怖に陥れろ」
ヒロシ「堂島泉?」
カイイ「この女だ」
ヒロシ「恐怖に陥れろゾン?」
カイイ「そうだ」
ヒロシ「なあ、アケミ 陥れるってどういう意味?」
アケミ「よくわからないね お餅いれる、ならわかるけどね」
ヒロシ「オレは二個がいいゾン」
アケミ「私は一個かなぁ」
ヒロシ「お前、お餅は何個派?」
カイイ「恐怖にお餅は入れない!」
「wwwwww」
ヒロシ「当たり前ゾン 恐怖にお餅は入れないゾン」
アケミ「待って。 お餅を入れない地方出身なのかも?」
ヒロシ「そうか。自分の常識を他人に押し付けるのは炎上するパターンゾンね」
ヒロシ「出身はどこゾン?」
カイイ「何の話だ!」
カイイ「恐怖に陥れろと言ってるんだ!」
カイイ「恐怖!」
ヒロシ「それじゃお味噌汁になっちゃうゾンねえ」
アケミ「まるごと一丁いれるの?」
カイイ「豆腐じゃない! 恐怖!」
ヒロシ「京都出身ゾンか!」
カイイ「京麩じゃない!」
カイイ「きょ・う・ふ・に・お・と・し・い・れ・ろ!!」
ヒロシ「と・う・ふ・に・こ・も・ち・し・しゃ・も!」
アケミ「豆腐に子持ちししゃもじゃ、 漁師町の朝定食よね」
カイイ「うるさい!」
カイイ「わかった お前らと話すのは時間のムダだ」
カイイ「とりあえず驚かせろ」
ヒロシ「驚かす?」
カイイ「そうだ、驚かせろ」
ヒロシ「わかったゾン! 驚かすゾン!」
カイイ「そうだ、サプライズだ」
〇教室
ヒロシ「ほら」
堂島泉「ほら」
カイイ「はら、じゃないよ」
ヒロシ「ちゃんとサプライズしたゾン!」
カイイ「そもそもオレの前半のお願い事忘れてない?」
ヒロシ「前半?」
カイイ「『堂島泉』を恐怖に陥れろって言っただろ 『堂島泉』を」
ヒロシ「・・・あっ」
カイイ「あっ、じゃないよ!」
堂島泉「しょうがないよ。ゾンビさんは脳みそ欠けてるから、長期記憶が難しいんだよ」
カイイ「長期記憶・・・?」
堂島泉「記憶というのは大脳辺縁系の中にある海馬が人間の記憶を司っています」
カイイ「専門用語は分かんないよ!」
堂島泉「テストに出るって言ったでしょ!」
ヒロシ「すみません、堂島先生!」
堂島泉「じゃあ教科書開いてくださーい」
カイイ「授業を始めるな!」
ヒロシ「弁当うまーいゾン!」
カイイ「早弁するな!」
堂島泉「そこ!授業中は私語厳禁!」
カイイ「オ、オレ?」
堂島泉「廊下に立ってなさい!」
カイイ「やだよ!」
鮭太郎「お前、ワガママがすぎるぞ」
カイイ「お前は誰だ!」
堂島泉「人に聞くなら、まずあなたから名乗りなさい!」
カイイ「オレ・・・」
〇血しぶき
そして君は本当の怪異として誕生する
カイイ「オレは生まれてない?」
もう一回言うぞ。
そして君は本当の怪異として誕生する
カイイ「という事は? 生まれて・・・?」
生まれては、いる。
そこにいるからな。
ただ、少なくとも名前はないな
カイイ「名前・・・」
〇教室
カイイ「名前は・・・ない」
堂島泉「ない?」
カイイ「まだ生まれたてなんだ」
堂島泉「じゃあ、先生が名前つけてあげる」
カイイ「え?なんで?」
堂島泉「私、昔の記憶がないの」
堂島泉「どんな感じかわかる?」
カイイ「いや」
堂島泉「私の中で、私が死んだのと一緒」
堂島泉「だって、思い出せないんだもの」
カイイ「・・・」
堂島泉「でもレイカが私の名前を教えてくれたの 堂島泉なんだって」
堂島泉「名前があるだけで、私は生きてたんだって思ったの」
堂島泉「私が、もう一回生まれた気がした」
堂島泉「だから名前をあげる」
カイイ「いらねえよ」
堂島泉「ユウキ」
カイイ「・・・」
堂島泉「どう?」
カイイ「ユウキ・・・」
堂島泉「これでユウキくんも産まれたね!」
カイイ「産まれた?」
堂島泉「うん! どんな気持ち?」
カイイ「ちょっと、嬉しい、です・・・」
堂島泉「私は名付けのお母さんね」
カイイ「じゃあオレ、 もう堂島泉を恐怖に陥れなくていい?」
ヒロシ「そう、お餅を入れなくていい」
堂島泉「何の話?」
ヒロシ「ユウキはお餅入れる?」
カイイ「・・・オレ、お餅は二個」
堂島泉「何の話!私も混ぜて!」
ヒロシ「泉さんは、お餅入れるゾン?」
堂島泉「お餅? ダイエットしてるからなー」
「じゃあ、ダメー!」
堂島泉「ずるいっ!」
「wwwwwww」
〇学校のプール
〇教室
阿部レイカ「ただいま! アルコールだと化け物がお清めされちゃうから、ノンアルビール!」
堂島泉「さっすがレイカ! 買い出しの天才!」
阿部レイカ「あれ?一人増えた?」
堂島泉「じゃじゃーん、紹介します。こちらひとりぼっちだった生まれたての怪異、ユウキ君です」
ユウキ「おじゃましてます! ユウキといいます!」
阿部レイカ「え・・・?」
ユウキ「泉さんに名付けてもらえました!」
〇一戸建て
〇本棚のある部屋
〇住宅街の公園
〇教室
阿部レイカ「泉が名前つけたの?」
堂島泉「うん。かわいいでしょ」
阿部レイカ「・・・」
阿部レイカ「私、帰るね」
堂島泉「え? どうしたの? まだ乾杯してないよ」
阿部レイカ「してないね。でも、帰る」
堂島泉「なんで?」
阿部レイカ「・・・」
ヒロシ「どうしたゾンね」
堂島泉「空気読めない子じゃないのに ごめんね、みんな」
ユウキ「もしかしてオレのせいですか?」
堂島泉「違うよ、気にしないで」
堂島泉「しょうがない みんなで飲もう!」
堂島泉「あれ?」
堂島泉「レイカ、財布を忘れてる!」
堂島泉「つかまえなきゃ!」
ユウキ「これ、使います?」
堂島泉「なにこれ」
ユウキ「増える髪の毛ちゃんです。 みゅるみゅる伸びて捕まえます!」
堂島泉「すごい!」
ヒロシ「どう使えばいいゾン?」
ユウキ「わからないんです」
ユウキ「それが問題なんです」
堂島泉「とりあえず水かけてみる?」
ユウキ「なんで?」
堂島泉「ワカメは水に入れて増やすから、同じかなって」
ヒロシ「やってみるゾン!」
〇ボロい校舎
阿部レイカ「・・・」
阿部レイカ「思ったより早かったね、泉」
〇本棚のある部屋
堂島泉「ねえ・・・」
堂島泉「ウソでしょ・・・」
堂島泉「やめて!」
〇ボロい校舎
阿部レイカ「泉・・・」
阿部レイカ「どこまで思い出したの?」
〇教室
堂島泉「ちょ、ちょっと!」
ヒロシ「絡みついてくるゾン! オレじゃないゾン!」
堂島泉「あたしにも! ユウキくん、どういう事?」
ユウキ「オ、オレにも絡みつく! くるな!」
〇手
ユウキ「第三話はここまで!」
ユウキ「堂島泉と仲良くなったユウキはどうなる?」
ユウキ「突然帰ったレイカの真意は?」
ユウキ「折れたゾンビの首は一体どうなった?」
ユウキ「生まれたての怪異と マカロン好きの女」
ユウキ「第四話もお楽しみに!」
まさかのゾンビ漫才回😂www
なんだかんだで煙に巻かれてカイイくんすっかりほだされてますね。勝てないw
レイカの発言気になります。
ずーっとボケツッコミの応酬で1話が終わるのかと思いきや、レイカの意味深発言でしっかり次に繋がる展開作るの流石です。
それにしても、どこから発想したらあの会話から漁師飯が出てくるんでしょう🤭
天才か。