紅キ宝石

えたーなる

エピソード10(脚本)

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〇広い厨房
アドルフ「はぁ‥」
  ナターシャのことを思い出して、気分が沈んでいくアドルフだが、いい匂いに誘われてか、例の凸凹コンビが姿を現した。
ボブ「スンスン‥ここからいい匂いがするボブ」
スレー「スンスン‥香ばしい匂いがぷんぷんするスレ」
アドルフ「っ!?ぼ、ボブさんにす、スレーさん!?」
ボブ「人間よく聞け。俺様の名前は【ボボブ】ではない【ボブ】だ。正確には【ボブ様】だ。名前を間違えるなどこれだから下等種族はボブ」
スレー「人間よく聞け。俺様の名前は【ススレー】ではない。【スレー】だ。正確には【スレー様】だ。小さな脳みそに叩き込めスレ」
アドルフ(いやな予感しかしないなあ‥)
アドルフ(この2匹とまだまともに会話したことないんだよなあ‥)
アドルフ(毎回消されちゃうし‥ 今回もあり得る流れなんだよなあ〜)
ボブ「ところで人間。ここで何を食べていたのだ?旨そうな匂いがこの部屋に充満しているが‥それを喰わせろボブ」
スレー「こんなに旨そうな匂いは生まれて初めて嗅いだぞ。人間‥隠してないでこの匂いのするやつを出せスレ」
アドルフ「あ、えーと‥ですね‥」
アドルフ「先程朝食に、ベーコンエッグとサラダを食べていたんです」
ボブ「ベー‥コン???」
スレー「エッグゥ〜‥???」
アドルフ「それで‥なんですが‥」
ボブ「ふむ」
スレー「ふむ」
アドルフ「全部食べてしまってありません!!」
ボブ「なーーーーーーーーーー!!」
スレー「にーーーーーーーーーー!!」
ボブ「口を開けろボブ!!」
スレー「旨いもの出せスレ!!」
アドルフ「ちょっ!!あ”え”え”う”あ”あ”い”!!(やめてください!!)」
  ‥そして‥案の定。
アドルフ(‥ですよねぇ〜)
アドルフ(そしてこのあとには‥)
ロンハン「いやはやなんとも見苦しい」
アドルフ「ロンハンさん!?」
ロンハン「【あれ】がお嬢様の使い魔だという事実を消し去りたくなります」
アドルフ「ははは‥」
ロンハン「ところで、アドルフさんお怪我はありませんか?2匹に食べられそうな絵面をお見受けしたものですから」
アドルフ(ぇ?あれ見てたのか!?ぇ?どこから? っていうか見てないで助けてよ‥!!)
アドルフ「はぁ‥。なんとか五体満足です。それにしても力が尋常ではなかったです‥」
アドルフ「もしかしたら僕‥本当に危ないところだったんじゃないでしょうか‥」
ロンハン「ええ。人間であるあなたからしてみたら、我々は常軌を逸した存在ですから」
ロンハン「そのような世界にアドルフさん‥。あなたは【今】いるのです。人間の世界とは異なることを改めて再認識していただきたい」
アドルフ「‥はい」
ロンハン「宜しい。 では、本題の用件についてお話しましょう」
アドルフ「用件‥ですか?」
ロンハン「はい。昨夜私がアドルフさんに、言った言葉を思い出していただければ、自ずとわかることです」
アドルフ「・・・」
アドルフ「‥お嬢様へのスイーツ作り‥ですね?」
ロンハン「結構です」
ロンハン「スイーツをお出しするのは1日に1度」
ロンハン「時間は、あなたに渡した魔法時計が緑色から紫色に変わった時に」
アドルフ「と、なると‥私の世界でいうと‥午後の12時‥ということになりますね」
ロンハン「その通りです。その時間にお嬢様の部屋へ向かい、あなたのスイーツを召し上がっていただくわけです」
アドルフ「わかりました‥」
アドルフ「ロンハンさんに材料は用意していただけましたので、スイーツは作ることができます。 あとは‥」
アドルフ「水‥そう!!水!!」
アドルフ「水はどこに行けば手に入りますか!? 水がないことには色々と不便で‥」
ロンハン「ふむ‥水、ですか」
アドルフ「っ!?水が大気から出てきた!?」
ロンハン「そうではありません。これは魔法です」
アドルフ「魔法‥」
ロンハン「ふむ。人間であるあなたは、魔法は馴染みがないのでしょう」
ロンハン「では、こうしましょう。私がお嬢様と交渉して、この部屋に限り、火と水の魔法があなたにも扱えるようにしてさしあげます」
アドルフ「ぇ!?本当ですか!?」
ロンハン「喜ぶのは少し早いです。 交渉が成功すれば、の話です」
アドルフ「そうでした。ロンハンさん‥宜しくお願いします」
ロンハン「では、私はこれで」
ロンハン「あなたはお嬢様へお出しするスイーツ作りに時間を使ってください」
アドルフ「はい、ありがとうございます」
アドルフ「・・・」
アドルフ(今のこんな僕に‥)
アドルフ(誰かを満足させられるスイーツなんて‥)
アドルフ(作れるわけ‥)

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