三七月(脚本)
〇本棚のある部屋
メイド「あれから4年が経ちました」
メイド「どうですか?」
カンゾウ「どれから? 未夏さんの卒業から?」
カンゾウ「どうもこうもない こっちが聞きたいよ」
メイド「未夏は元気です」
カンゾウ「そうなの?なら何より」
メイド「あの世で」
カンゾウ「うるせーな、邪悪か?」
メイド「もういいので あなたは一人で歩んで下さい」
カンゾウ「言われんでもそうするよ」
メイド「ありがとう」
メイド「お薬ききました」
カンゾウ「何よ?」
メイド「ちゅっ」
カンゾウ「治癒?」
メイド「治療完了」
カンゾウ「いいの?」
メイド「瘡蓋は剥がれて跡形もなくなりました」
カンゾウ「そう、ならよかった」
カンゾウ「もう他人事でいいのかな」
メイド「満面の笑顔を描いて下さい」
(フルスマイル描いて)
カンゾウ「スマイルムーンなんて、あったっけ」
メイド「満月満面の完熟イチゴの いい笑顔になりました」
メイド「あなたのおかげです」
カンゾウ「よせやい」
カンゾウ「よかったのかな、お構いはこれで」
メイド「お別れしましょう」
カンゾウ「さようなら、未夏さん」
未夏「バイバーイ」
カンゾウ(・・・あっけない?)
カンゾウ(十分だよ)
カンゾウ(心を尽くして、笑ってくれた)
〇学校のプール
女性「今は誰なんですか?」
カンゾウ「○○です」
女性「ええっ」
と驚かれて、
カンゾウ「大丈夫です。救うんで」
絵を描くのに、
というのもあって
これから、水中から救い出す。
水面に立てる。
科学実験で固めたような
その水の中に沈んでるのか。
自信をもって言い切って
必ず引き上げるよ
そして絵を描いて
君にプレゼントしたいんだ
自分史上最高に好きだった君に
他と比べるわけじゃないけど
思いを結晶にして渡したい
それが自分にできる最後の事だから
俺からの手向けに、どうかな?
〇キラキラ
(スマイルマークが涙をこぼす)
(鼻をぐるりと巻いた象が寄り添う)
かなしみを吸い上げて
いたみを巻き取って
くるしみを共にする
感じる象さん
いとまきぐーるぐるっ
象が鼻巻いて
楽、楽しそうに
たのしぞうにな
〇本棚のある部屋
カンゾウ「心を希たせ!」
ツワモノ「正解」
カンゾウ「ならいいけど」
カンゾウ「調子に乗ってるって」
〇カラフルな宇宙空間
白猫「宇宙飛行が終わって」
白猫「月に到着したらどうなるんだろう」
黒猫「虹の兎に翼が生えて」
黒猫「どこかへ飛んでいきました」
白猫「せっかく月に着いたのに?」
黒猫「いいんです」
黒猫「無重力だから 飛べるようになったのです」
白猫「元気で、達者でなー」
兎はポップタッチの
イラストレーターが描くような
ちんまりしたサイズで
濃いめのピンクから虹になって
黒猫「翼生やして、飛べた」
白猫「解放して」
トラ「よかった」