紅キ宝石

えたーなる

エピソード7(脚本)

紅キ宝石

えたーなる

今すぐ読む

紅キ宝石
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇武骨な扉

〇英国風の部屋
アドルフ「・・・」
アドルフ「はぁ‥」
  倒れ込むようにアドルフはベッドに体を預けた。
アドルフ「いつもならこの時間は、まだ店の仕込みをしているんだったっけ‥」
アドルフ「なんだかもの凄く疲れた‥。そりゃそうだよな‥僕の身にこんな信じ難いことが起きてるんだから‥」
アドルフ「心の整理が全然できていないし、それに‥」
アドルフ「ナターシャ‥。もう‥会えないのかな‥」
アドルフ「・・・」
アドルフ「・・・・・・すぅ・・・・・・すぅ・・・・・・」
  扉が開閉する音がアドルフの部屋に響いたが、昨日の疲れでぐっすりと眠りについていて全く気がつかない。
  おい、人間。
アドルフ「・・・」
  人間、起きろ。
アドルフ「・・・」
  起きろ!人間っ!!
アドルフ「はっ!?」
  アドルフは、突然の怒鳴り声に驚きベッドから飛び起きる。
  するとそこには‥
ボブ「やっと起きたボブか人間」
スレー「わざわざ起こしに来てやったんだスレ。 有り難く思えスレ人間」
アドルフ「お、おはようございます、ボブさん、スレーさん」
ボブ「【さん】じゃない。【様】だボブ」
スレー「それと、今度から俺様の名前を先に言えスレ」
ボブ「はあ!?」
スレー「ぁあ!?」
アドルフ(・・・このパターンは‥)
アドルフ(やっぱり‥)
アドルフ(いったい、なんだったんだ‥。理由がわからない‥。消される前に要件を聞けばよかった‥)
アドルフ「しかし‥随分眠っていたと思ったんだが、まだ夜が明けていないなんて‥」
「そうではありません」
アドルフ「!?」
ロンハン「よく眠れましたか?」
アドルフ「ロンハンさん!!」
アドルフ「はい。気づいたら眠っていました。ところでさっきの言葉なんですが..」
ロンハン「ここは【闇夜の世界】。人間の世界のように太陽が昇ることはありません。そもそも存在しないのですから」
アドルフ「太陽が存在しないのですか!?」
ロンハン「はい。こちらの世界では、それが当たり前となっています。太陽は在りませんが、空を見てください」
アドルフ「・・・月」
ロンハン「はい。闇夜の世界に一際輝く大きな月のみが我々を唯一照らす光となります」
アドルフ「これでは‥時間がわからない‥」
ロンハン「ご安心ください。そうだろうと思い用意しているものがあります。 こちらをどうぞ」
アドルフ「これは‥【緑色の砂時計】‥?」
ロンハン「正確には【魔法時計】と言います。 円を描くように12個の魔法時計が付いていますが」
ロンハン「1つずつ魔法の粉が溜まっていきます。12番目の魔法時計が緑色の粉で満たされると」
ロンハン「今度は紫色に変化して1番目から12番目まで魔法の粉が溜まっていくという仕組みとなっています」
ロンハン「1つの魔法時計が溜まる目安は、人間の世界でいう1時間という認識で構いません」
アドルフ「なるほど‥。これがあれば時間の把握ができるということですね。ここでの生活もしやすくなりそうです。これを僕に?」
ロンハン「全ては【お嬢様のため】。ということになります。あなたが体調を崩してスイーツを作れなくなってしまっては困りますので」
アドルフ「・・・ありがとうございます」
ロンハン「あ、それと」
ロンハン「あなたのお店に、スイーツ作りに必要な材料を用意しておきましたので、本日からお嬢様へお出しするスイーツ作りをお願いします」
アドルフ「わかりました。何から何までありがとうございます。早速取りかかりに向かいたいと思い‥」
アドルフ「そう言えば‥昨夜から何も食べてなかったな‥。はは」
ロンハン「ふむ。であれば、お店の材料を使って構いまいませんので、ご自身の食事も摂ってください」
アドルフ「いいんですか!?では、お言葉に甘えさせていただきます!!」
ロンハン「では、私はこれで失礼します」
アドルフ「さて、僕もお店に向かわなきゃだな」

次のエピソード:エピソード8

成分キーワード

ページTOPへ