三六月(脚本)
〇田舎の病院の休憩室
──とある施設を訪れると、
入ってすぐのところにある休憩室に
白画用紙にクレヨンで描いたのか、
連続物の絵がまとめて張られていて
見ると、その絵を描いた男性と
青い肌の丸眼鏡の女性、
実際その男性を世話している
女性からなっていて、
青い女性は
閻魔帽のようなものを被り、
巨大な爪切りのヤスリの部分と
本体で挟んで攻撃してくる。
ことあるごとにその青女性が現れて、
男性に危害を加える。
その男性を守る女性とは、
思い合っている関係として描かれている
〇テクスチャ2
──その男性は毎日、
街角の床屋さんを
同じ位置から描いていて
外のちょっと土地の下がったところに
小さい椅子を置いて座り、
ガラス張りの店内を対角に覗いて
それを見ると、表情がぼやけて
抽象画になっていて、
いつもいつも同じ方を
何で描いてるんだろう
本人からすると毎日対象は同じでも
違って見えるのかしらん。
入り組んで段々になった路地
(グレー石造り)
細道の一角で座り込んで、
床屋さんは迷惑じゃないのかしらん。
和解してる?
男性は精神病を患ってるのかな。
床屋さんの絵は、茶色いベタッとした、
画素数の少ない馬みたいな絵。
(ゴーギャンをぼやかして
カクカクさせて質だけ捉えたような)
〇会見場
女優の南澤えりが、
南澤えり「あの事件に関係のない」
南澤えり「私が言うのも何ですけど」
と、会見場で切り出して・・・
【街角Z】の事件について
『Z』は定点、曲がり角のことで
そこで事件が起こっている
〇広い廊下
カンゾウ「おはよーっ」
信濃みづき「おはよう」
みづきがいたから、
元々軽く走ってたのを加速して
(両手を斜め後ろに下げて)
元気よく通り過ぎると、
信濃みづき「一人?」
カンゾウ「あ、うん ほら、今あれだから」
って、稽古中くらいのこと
言いたかったけど咄嗟に出てこず、
カンゾウ「友達いないからっ」
って付け加えて、
笑ってくれるかな、と思ったんだけど
みづきは冷めてるというより
すごく落ち着いてる感じだな。
(みづきも一人でスペースにいて)
カンゾウ(そのままついてきてくれるのかな)
朝、まだ人気の無い学校の構内、
自分は朝練してたのかな。
で、コンビニ行く途中で
みづきに会ったのか。
カンゾウ(元気かな)
みづきは、襟足が癖なく下りた
すんなり髪質のショートカットで
その朝早い、静けさそのままに
スッとしてる佇まい。
カンゾウ(暗いのとは違うかな)
ほんの薄い水色、
病院服くらい色味薄い格好。
(首元が横に広く開いたシャツ)
みづき。
「友達いないからっ」
で、「そうだよね」
とは言わなかったけど。
カンゾウ「ついてきてくれるの?」
信濃みづき「もう私以外に 打ち解けられる人いないから」
なんてさ。
みづきが幸せだったら
健やかだったらそれでいい。
〇秘密基地の中枢
ロボット「・・・お返しの品です」
ロボット「受け取ってくれるよね?」
ロボット「お返しできるものは少ないですけど・・・」
と、出してくる品がいかにも爆弾で、
すんなり受け取るわけないんだけど
その敵は少女ロボット型になって
細い腕を体振って使いながら、
憐れみを感じる振り。
と、その敵の後ろに
並びのゲーム筐体が現れてて、
それを見てみれば
何かわかるのかしらん。
〇砂漠の基地
その前は敵の勢力の方が多く
こっちが窮地だったけれど、
自分の放った技で、
いったん相手の脇を通り過ぎて
すぐさまUターン急旋回で踵返して
黄色いボディのバイクでアタックすると
その一撃で敵勢を
一挙に打破できたようで、
形勢逆転するにいたったんだけど。
〇秘密基地の中枢
その白地のスタンドダブル筐体、
プレイしたらどうなるか。
少女ロボット型は華奢なフォルムで、
細い腕に、白地のボディは
うっすらほの青い印象。
〇幻想
本気で世界を変えたいと思っていて──
孤独のまま消えてなくなって
忘れられても
〇秘密基地の中枢
7777777
当選番号。
『一等』表示されて、それで・・・
鼻が疼く、鼻の穴が、
ゲーム筐体の屋根の部分、
半透明の濁った側面に
小さい鈍い金色の円形が浮かび
見るとそこが筒状の穿った穴になって
そこに通じて辿り着く
〇果物
赤いイチゴ。
カンゾウ「好きだったもんね」
未夏「今でも好きだよっ」
カンゾウ「肉じゃなくて?」
未夏「イチゴっ。にくくないよ」
カンゾウ「いい子だね」
未夏「いい子じゃないよっ」
カンゾウ「いいイチゴだったよ」
未夏「あんなに傷つけたのに?」
カンゾウ「いいんだよ」
未夏「赤くなってるよ」
カンゾウ「黒よりいいよ」
カンゾウ「育ててくれたんでしょ」
未夏「そうだよ」
未夏「ストゥーベリー ストローベリー」
大変良く出来ました。
ベリーグッドレディ。
最後はいい笑顔でお別れしましょう。
でも技や低い剣技(レベル)
での笑いじゃしょうがないから。
もう少しだけ待ってね。
〇黒
何度もの連続ジャンプを要求される
ステージで、死亡率95%?
確かにプレイすると、
巨大な敵の上を連続でジャンプして
止まることもできず、途中ジャンプが
距離足りず落ちそうになるも、
敵の動きがちょうど近づく風になって
下に入り込んで助かったり、
結果クリアして、辿り着いたのが、
〇沖合
金網の足場の要塞の様な場所で
(錆色のスチームパンキーな感じ)
周りは大海原。
すげーな、
地球の反対側に来ちまったのか。
と、下の階層に続々、
労働者なのか作業員か男どもが現れて
こっちは隠れようもなくすぐ見つかり
どう説明すればいいか、
自分がいること、
そもそも友好的かわからんし
戦える状況でもなし、どうなるか。
〇病院の廊下
女子史上最高に永訣の朝みたい?
妹との道行
とにかくわれとかれ?
彼女は生きた心地がしなかった。
病院に、
診療台に寝かされ搬送されて
自分が何をしてるかも
わからずにいたけれど
〇黒背景
気づいたら、大きな暈の下に入って
(鐘型というか台形箱形の)
茶色いフィルターツリーの
空洞の中から見上げると
〇宇宙空間
星座、星空
それを一つ一つ、
点描するように描いていたのかしらん
コンピューターの
経路みたいな模様線が
額から頭の方に
浮かび上がって見えて──
〇雑踏
魔族「うん、心」
魔族「心をそのうち ちゃんとつかめないかなって」
女神「その方から」
女神「理由を述べられたのは初めてだ」
と、女神?
神様クラスの女性は返すけれど。
良わざが良チャンスをつくる
でも、生まれ変わりを自分の希望通りに
選ぶなんてできないんだろう。
ましてやその理由が
私欲となるとなおのこと。
あどけなさの残る長い白髪の
女性魔族が生まれ変わりに興味を持って
〇高層階の部屋(段ボール無し)
かぐや姫は月に帰りたい
縛りつける
現世の糸から解き放たれたい
パルテノン神殿を
平たく広いフロアルームにして
柱の間をガラス張りの窓にして
そこから見える
大きな月の上弦