ミナツキ

但馬感象

三五月(脚本)

ミナツキ

但馬感象

今すぐ読む

ミナツキ
この作品をTapNovel形式で読もう!
この作品をTapNovel形式で読もう!

今すぐ読む

〇女の子の部屋(グッズ無し)
彼女「これ、書ける?」
  【レイシレイヒツ】
  漢字で?んー
  『レイ』は、まぁこれで・・・
  【霊子霊柩】
  と、書いてみると
彼女「あーっ、こっちでちゃんと 書いてくれてよかったのにーっ」
  その子が紙に描いた顔の
  落書きとかある上の余白に書いてって、
  え、いいよ、いいよ
  『シ』は・・・枝?
彼女「あーっ、惜しいっ」
  違うかー
彼女「ここは?」
  『レイ』?は、こことここ同じ?
  『レイ』ってこっちと音同じだから
  同じ漢字にしたんだけど
  って言っても、ピンとこられなくて、
  あー割と自信あったのに
  全然合ってないな。
  『ヒツ』も違うんかな。
  しかし、その彼女は屈託なく
  接してくれて、いい子だなー。
  ベッドの上、その子の室なのか、
  白の刺繍シーツ。
  と、封筒があって、
  あ、これは個人情報書いてあるね。
  目にしちゃったけど、
  ちゃんとは見てないよ。
  その子も「あっ」て声にして
  反応したからすぐ渡して、
  『十西真奈美』みたいな
  バランスの名前、住所も書いてあって。
  ショートカットで
  身長は160ないくらいかな。
  服も白、全体的に白いか。封筒も白。
  風俗の子?
  団地の一室みたいなところ?
彼女「入らないよっ」
  って言った?
  『柩』って書いたの、
  棺桶的なイメージ。
  未夏さん?
彼女「そーだよっ」
  『レイ』は『玲』?
  何となく3文字目のところ浮かび
  (うっすら見えて)
  「死んでないよ」
  ってことなら何よりだけど。
  顔の落書きは、顔文字じゃなくて
  髪型も輪郭も描いて、笑顔かな。
  ボブよりは短めで(彼女もそうかな)
  『ヒツ』って、おひつ以外は、
  『必』とか『筆』とか・・・
  即死室みたいな響きだけど
  それが変わって、
  そこ行かないで
  済むってことならいいな。
  『櫃』
彼女「そーっ」
  お米おにぎりいっぱい食べて健やかに
  【霊子玲櫃】
  縁起良さげ?
  これをもって結びとします。
彼女「考えすぎだよっ」
  うん、顔文字切られたり、
  そういうことがなければいいね
  (黒子七星、黒猫案内、
  黒かったいろいろが白に変わって)

〇綺麗な教会
  こんにちは
  お日柄も良く
  お別れするには
  もってこいの日ですね
  おもいは、おさめられました。
彼女「はい」
彼女「こんにちはーっ」
  ○

〇宇宙空間
  Tシャツを作って
  (指先の触れ合おうかという)
  二人分の足跡をくり抜いた
  立ち位置を敷いておいて
  二人でするの?
  未知との交感?

〇殺風景な部屋
未夏「来てくれた」
  って、未夏さんが、
  ガランとした一室にいて
  殺すつもり?俺を
  (生きてたら安心できないとかで)
  まぁそれでもいいけど。
  【霊櫃栞奈】
  訓読みでいいの?
  音読みで栞って何て読むっけ?
  (カンナがいいかな?)
  霊櫃とか作りすぎじゃない?いいの?
未夏「いいの」
未夏「その通りなんだから」

〇裁きの門
  閻魔少女のような子が判定して
閻魔少女「偽りなし」
閻魔少女「心に二枚舌なし」
  そりゃそうだよ
  自分の未夏さんに対する気持ちは
  嘘偽りなく本気で好きだった
  伝わらなかったけど

〇牢屋の扉(鍵無し)
  法事トラックをたてて
  荷物全てまとめて
  街の外れの霊安室倉庫みたいな
  (裏山のふもとの
  ひっそりとした場所にある)
  寂れたブルーの建物に納める?
  そんな誰も訪れられない
  入り口もあるんだかわからないような
  (正面に見当たらない)
  閉じ込め方ってない
  縁の人がお参りしてお祈りできるように
  するならするべきでしょ
  それを俺がするんでしょ
  待っててね、ごめんだけど
  命ある限りやるからさ

〇幻想
堀内花子「ずっとこうしてほしかった」
堀内花子「ぎゅっと抱きしめて」
堀内花子「その感触を忘れないで」
堀内花子「みんなあなたの」
堀内花子「カンさんのファンなんです」
堀内花子「カンさんの書く物語を待ってます」
堀内花子「命の夢の記憶を解放して」
堀内花子「私たちを救って」
  カンゾウの名において
  必ず腕をふるって
  役目を果たすからね

〇諜報機関
  ログイン
  (画面、上下2段
  入力スペースがあって)
  @以降変わってるのか。
  でも入力したら
  自動的にそうなって
  不正ログインじゃないよ。
  そうするように頼まれてたんだから。
  あとはパスワード入れて・・・
  それを入力してるとき、
  女性が同席して見てるけど
  ちょっとギャルっぽい、
  特に不審がることもなく。
  そして、このあと、
  これをすれば、消えてなくなる。
  押して、それを俺がするんだ。
  未夏さん、さよなら。

〇雪山の山荘
  ──雪の積もる村町のとある宅の前、
  郵便ポストかまぼこ型の
  スチール受け箱が立ってて、
  そこにヒョッと現れる、
  顔のない幽霊。
  漫画チックというかシンプルな
  フォルムの、足のない、手を垂らした
幽霊「うちは悪霊じゃないよ」
  って言って。
  そっか、浮かばれるのか。
  村杏未夏。
  心中はできないし、
  望んでも、望まれてもないけど
  口を代わりに、
  きかないと、かさないと。
  村里杏。
  悉の心の音を止めて

〇本棚のある部屋
  ──自室の扉が自然に開いて。
カンゾウ「おはよう」
  誰もいないけど。
  (入ってきてるのわかる。幽霊がさ)
  そして彼は死体を抱いて
  抱き枕のようにギュウッとして
  黄色い浮き輪 
  これでもう沈むことはないから
  ぷかぷかと、水面を揺蕩って
  いつまでも浮いていられて
カンゾウ「よかった?」
幽霊「うける」
  (´・ω・`)
  ショボーンと沈んだ顔文字が
  (*´ω`*)
  笑ってくれたら、何よりうれしい。
カンゾウ「・・・ジンジャーないなぁ」
幽霊「何?」
カンゾウ「きみにエールを」
カンゾウ「うっかりハッと 浮かばれますように」
カンゾウ「顔なしの幽霊に」
カンゾウ「きみに似合うとびっきりの 笑顔が浮かび上がりますように」
カンゾウ「お願いします」
カンゾウ「どうか未夏さんの心が 少しでも晴れますように」
カンゾウ「晴れて浮かばれますように お祈りします」
  へへへへへへへへへへへへへへへへへへ
  へへへへへへへへへへへへへへへへへへへ
  はははははははははははははははははは
  ははははははははははははははははははは
幽霊「ふふっ」
幽霊「おかしいね」
カンゾウ「いい子だよ 知ってるよ」
カンゾウ「大好きだったよ」
幽霊「うん」
カンゾウ「うーさーぎーおーいしー」
カンゾウ「・・・忘れがたいけど」
カンゾウ「もう いける?」
幽霊「うん 軽くなった」
幽霊「もういくね」
カンゾウ「うん。さよなら」
カンゾウ「手を振るね」
  さよなら おやすみ

次のエピソード:三六月

成分キーワード

ページTOPへ