蛇地獄

YO-SUKE

第3話 『黒い蛇』(脚本)

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〇綺麗な一人部屋
  七瀬はニコニコした顔でメイクをしながら、ゲージにいる黒い蛇に声をかけた。
片岡七瀬「モリー、私が仕事に行ってる間もいい子にするんだよ」
黒い蛇「♪」
  坂下はソファに寝ころんだまま、黙って七瀬の様子を見ていた。
坂下道雄「・・・・・・」

〇ペットショップの店内
片岡七瀬「二日間も、ご迷惑をおかけしました」
増田忠司「体調はもう大丈夫なのかい?」
片岡七瀬「それが、モリーが帰って来た途端になんだか元気が出たんです」
遥香「あ、なんかそれわかります」
片岡七瀬「あれ? この子は・・・」
増田忠司「新人バイトの遥香(はるか)ちゃん」
増田忠司「ちょうど七瀬ちゃんが休みのタイミングで入ることになってね」
片岡七瀬「そうなんだ。 わからないことあったら、なんでも聞いてね」
遥香「はい! ありがとうございます」

〇店の休憩室
  バイトの休憩時間中、七瀬はスマホでモリーの写真を眺めていた。
遥香「あ、もしかしてそれがモリーちゃんですか?」
片岡七瀬「そうそう。見て」
遥香「めっちゃかわいいです」
片岡七瀬「だよねー。遥香ちゃん、合格」
遥香「ありがとうございます」
片岡七瀬「遥香ちゃんも爬虫類好き?」
遥香「はい、そうじゃなかったら普通のカフェとかでバイトしてますよ」
片岡七瀬「はは。そりゃそうだよね」
遥香「あ、そういえば七瀬さんって彼氏さんいるんですよね?」
片岡七瀬「店長から聞いた?」
遥香「はい、たまたま店でお会いした後に教えてもらったんです」
片岡七瀬「どう思った?」
遥香「イケメンだし、優しそうだなって」
片岡七瀬「そっか、ありがとう」
遥香「お仕事、何してる方なんですか?」
片岡七瀬「実はね・・・無職なんだよね」
遥香「そうなんですか!?」
片岡七瀬「ヒモってやつ? 」
片岡七瀬「これが飼ってみると案外癒されたりするんだよね」

〇大衆居酒屋
坂下道雄「なあ、山岡(やまおか)。どう思う?」
山岡「どう思うって言われても」
坂下道雄「俺は死んだモリーを確認して、ビニール袋に入れたんだ」
坂下道雄「それで確かにゴミ置き場に捨てた」
山岡「それなのに別の蛇がゲージに入っていて、七瀬ちゃんがそれを可愛がってる・・・」
坂下道雄「気持ち悪ぃだろ?」
山岡「でも七瀬ちゃん美人だしな~」
坂下道雄「そりゃまあ・・・」
山岡「お前無職だろ?」
山岡「七瀬ちゃんと別れちゃったらどうやって生活すんだよ」
坂下道雄「それを言われると」
山岡「その夜、どんだけ飲んでた?」
坂下道雄「ビール2杯と・・・焼酎ボトルで2本?」
山岡「怪しすぎる・・・てか、お前は前の蛇をそこまで熱心に見てたのか?」
坂下道雄「いや、それはその──」
山岡「決まりだな。全部お前の勘違い」
坂下道雄「うーん・・・言われてみると、なんだかそんな気がしてきた」
山岡「お前、思い込み激しいんだよ」
坂下道雄「でもさ・・・最近、居心地悪いんだよ。 部屋にいんの」
山岡「なら今度、合コン行こうぜ」
坂下道雄「七瀬のこと美人だって言ってたくせに」
山岡「美人な彼女がいたって合コンくらいたまにはいいだろ」
坂下道雄「どういう理屈だよ。ったく」

〇繁華な通り
  バイトを終えた遥香が店から出ると、ちょうど七瀬が自転車で帰るところに鉢合わせた。
遥香「あっ、お疲れ様でした」
片岡七瀬「お疲れ様。 遥香ちゃん、このあと暇?」
遥香「特に予定はないですけど」
片岡七瀬「なら歓迎会も兼ねてご飯でも行く?」
遥香「いいんですか?」
  居酒屋に向かって夜の街を歩く七瀬と遥香。
  二人が歩いていると、路地の隅に座り込んでいる見知った顔を見つけた。
片岡七瀬「道雄!? どうしたの」
坂下道雄「ハハハ。近くで飲んでたから、来ちゃった」
片岡七瀬「ていうか、みっともないからこんなとこで座んないでよ」
坂下道雄「いやぁ、酔っ払っちゃって、うまく立てないんだよ」

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