バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

桜海(おうみ)とあ

第1話「私が悪役令嬢⁈ イケメン執事に迫られる?」(脚本)

バッドエンドレディ~悪役令嬢がデスループから抜け出す方法~

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〇黒背景
「来ないで!!」
「貴様 ──だな?」
「悪いが、その首、頂戴する──」
  どうして、こんなことになったの?
  こんなバッドエンディングなんて、ありえない
  ここは、
  乙女ゲームの世界じゃないの!?
  ──
  ──
  ── GAME START ──

〇東京全景
  episode 01

〇駅のホーム

〇電車の中
山田莉里子(今日は、終電間に合ったー!)
  今日も社畜として生きていた──
  安い給料で日々を食い繋ぎ
  唯一の楽しみは
  無課金でも遊べる乙女ゲーム
  時なし、恋なし、貯金もなし

〇黒
  いつまで、こんな毎日が続くのだろう・・・

〇電車の中
山田莉里子(ああ、そうだ)
  スマホを開いて
  乙女ゲーム「星屑のパラディオン」のアプリ画面をタップした。
山田莉里子(ゲームにインして、今日の分の無料ポイントゲットしなくちゃ)
  突然、隣の車両から乗客が流れ込んでくる

〇電車の中
山田莉里子「な、何が起きてるの?」
男「はあ、はあ、はあ・・・」
山田莉里子「・・・いっ!!!」
山田莉里子「い、いや! 近づかないで! やめ!!」
  切られた腹へ触れると、真っ赤な血がべたりと手についた
山田莉里子「・・・嘘。 私・・・死ぬの?」
山田莉里子(ついさっきまで、永遠にくだらない毎日が続くって思ってたのに・・・)
山田莉里子(死ぬ前に、もう一度・・・プレイしたかった・・・)

〇黒
  ── Loading
  ・・・
  ・・・
  【星屑のパラディオン】
  ▶︎ NEWGAME
    OPTIONS
  【星屑のパラディオン】
    HARD MODE
     EASY MODE
   ▶︎ SECRET MODE
  ── GAME START ──

〇華やかな裏庭
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃああ!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ゆ、夢? はあ、びっくりした)
リアリナ・シャルルド・グレイ(それにしても、リアルな夢だったわ。働きすぎで、精神がいよいよ壊れたのね)
テオフィル・ベフトン「リアリナ様? どうかなされましたか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「何、このイメケン!! って・・・ここどこ?」
テオフィル・ベフトン「ははっ。まだ夢を見ていらっしゃるんですか」
テオフィル・ベフトン「私はテオ。 あなたの従者ではありませんか」

〇黒背景
リアリナ・シャルルド・グレイ(どういうこと?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(リアリナって、プレイ中だった乙女ゲームの悪役令嬢の名前だったはず)

〇華やかな裏庭
テオフィル・ベフトン「あ、口元にクッキーのカケラが」
  と、テオの指先が、リアリナの唇に触れた
  口の端についていたクッキーのカケラをとり
  ペロリと口の中へと──
リアリナ・シャルルド・グレイ「な、なななな!」
テオフィル・ベフトン「まったく、お嬢様は世話が焼けますね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ちょっと! イケメンに免疫ない女子に何してくれんの!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「危うく・・・。 きゅん死ぬところだったじゃない!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「危ない、危ない・・・」

〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「この従者、テオって言ったわよね。 確か、攻略対象の1人だったわ」

〇立派な洋館

〇ヨーロッパの街並み

〇華やかな裏庭
  明らかに令和の日本ではない場所、

〇黒
  乙女ゲームの攻略対象の登場に
  鮮明な前世の記憶
  そして、
  悪役令嬢のリアリナは・・・
リアリナ・シャルルド・グレイ「私!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「これってつまり、乙女ゲームの悪役令嬢に転生したってこと?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「転生先が、悪役令嬢なんて、バッドエンドしか待ってないじゃない!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「あ、でも待って!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「上手くやれば国外追放されて、誰もいない田舎でのんびり生活できるかも!」

〇美しい草原
リアリナ・シャルルド・グレイ「スローライフ最高じゃない!」

〇華やかな裏庭
「リアリナー!」
テオフィル・ベフトン「スタン様」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ、ここにいたのか」
リアリナ・シャルルド・グレイ(まあ🎵 ツンデレ王子のスタンだわ!)
リアリナ・シャルルド・グレイ「あら、殿下、ご機嫌麗しゅう。 今日も後光が射してますわね」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「相変わらず嫌味か? もう少し可愛げある挨拶はできないのか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(そうそう、このツンなところがスタンよね)
リアリナ・シャルルド・グレイ(本物が聞けるなんて。 んー! たまらん!)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「な、なんだ。ニヤニヤと気持ち悪い」
リアリナ・シャルルド・グレイ(あ! つい顔が緩んじゃった)
テオフィル・ベフトン「ところでスタン様、本日はどのような御用でしょう?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「ああ、そうだった」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「明日の晩餐会の招待状を持ってきてやったのだ」
テオフィル・ベフトン「・・・王妃の生誕も兼ねての晩餐会ですね」
テオフィル・ベフトン「それは是非とも参加せねばなりません」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「我が婚約者であるリアリナには、必ず来て欲しい」

〇謁見の間
  そう──
  この晩餐会で、リアリナはスタンから婚約破棄を言い渡されるのよ
  それに怒ったりリアリナが、ヒロインにさらなる意地悪をした挙句──
  国外追放されるのよね

〇華やかな裏庭
リアリナ・シャルルド・グレイ(王族に嫁ぐなんてストレス半端ないもの)
リアリナ・シャルルド・グレイ(さっさと婚約破棄をお受けして、湖の近くにでも隠居しましょ)
スタンスラス・ブラン・エレオノール「どうした? リアリナ?」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「先ほどからブツブツと、何を言っている?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「いえ、なんでもありませんわ。 明日の晩餐会、必ず、お伺いいたします」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「そ、そうか。ではまた明日、城で」

〇黒
リアリナ・シャルルド・グレイ「うっふっふ。 夢のスローライフがすぐそこね🎵」

〇立派な洋館

〇貴族の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「どこかの街で雑貨店を開くのもいいわね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「湖の近くで絵を描いて過ごすなんていうのも素敵」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ああ、早く明日にならないかしら🎵」
テオフィル・ベフトン「なんだか今日のお嬢様は嬉しそうですね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ! 明日の晩餐会が楽しみでならないの!」
テオフィル・ベフトン「今までそのような催し物など毛嫌いなさっていたのに、どんな心境の変化です?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「それは・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(ヒロインと攻略キャラがいちゃつくのを見るのが辛かったからだと思うわ)
リアリナ・シャルルド・グレイ(悪役令嬢だって、所詮、人の子だもの)
リアリナ・シャルルド・グレイ(自分の男が他の女にデレてたら、嫉妬ぐらいするわ)
テオフィル・ベフトン「スタン様、明日の晩餐会で何か重要なことを発表なさるおつもりでしょうか」
リアリナ・シャルルド・グレイ「さ、さあ?」
テオフィル・ベフトン「もし婚姻の申し込みなら、」
テオフィル・ベフトン「私はリアリナ様の護衛からは離れることになってしまいますね」
リアリナ・シャルルド・グレイ「大丈夫よ。そうはならないから」

〇謁見の間
  ──だって明日
  スタンに婚約破棄を言い渡されるんですもの🎵
  ── fin ──

〇貴族の部屋
リアリナ・シャルルド・グレイ「🎵 🎵 🎵」
テオフィル・ベフトン「つまりそれは・・・」
テオフィル・ベフトン「ずっとお側に居てもいい、ということでしょうか」
リアリナ・シャルルド・グレイ(そうね。1人で山奥に行っても苦労しそうだし、男手があったほうが助かるわよね)
リアリナ・シャルルド・グレイ「ええ! これからもずっと一緒よ!」
テオフィル・ベフトン「・・・リアリナ様」
  テオは片膝をつきリアリナの手をとる
リアリナ・シャルルド・グレイ「っへ!?」
テオフィル・ベフトン「この手に触れることを、お許しください」
  リアリナの手の甲へと、テオの唇が押しつけられた
テオフィル・ベフトン「私、テオフィル・ベフトンは、リアリナ様に一生の忠誠を誓います」
リアリナ・シャルルド・グレイ「ひゃああああ!! やめてえええええ!!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゅん死ぬ!!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様? お顔が・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「み! 見ないで・・・・・・」
テオフィル・ベフトン「すみません。 耳まで真っ赤になられるとは」
リアリナ・シャルルド・グレイ「もうっ! 笑わないで!」
テオフィル・ベフトン「申し訳ございません。ただ、そんな反応をなさるお嬢様が愛らしくて、つい・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ(もう口を閉じてえええ!! 心臓が弾け飛ぶからああああ!!!)
テオフィル・ベフトン「さあ、もう横になってください」
テオフィル・ベフトン「明日は王宮へ参りますから、長旅となりますよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「わ! わかってるわよ!」
  テオに言われるがまま、ベッドに入る
  枕に顔を埋めていると
  ベッドサイドに腰掛けるテオの手が、おでこに触れる
テオフィル・ベフトン「今夜もお嬢様が眠るまで、テオがそばに居て差し上げますね」
  と、リアリナの髪を優しく梳いた
リアリナ・シャルルド・グレイ「う、うん・・・」
リアリナ・シャルルド・グレイ「な、なんの音かしら」
テオフィル・ベフトン「・・・」
テオフィル・ベフトン「大変申し訳ございません。 少々外します」
リアリナ・シャルルド・グレイ「え、ええ、気をつけて」
テオフィル・ベフトン「すぐに戻って参ります」
リアリナ・シャルルド・グレイ「はあ・・・心臓もたないよ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「イケメンが横にいる状態で眠るなんて、さすが悪役令嬢ね。キモが座ってるわ」
リアリナ・シャルルド・グレイ「な、何者?」
ツヴァイ「貴様・・・リアリナだな?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(一体何? どういう展開なの!?)
アインス「悪いが、その首、頂戴する」
リアリナ・シャルルド・グレイ「きゃあああ!」

〇黒
「・・・これでよし、行くぞ!」

〇黒背景

〇幻想空間

〇華やかな裏庭
リアリナ・シャルルド・グレイ「ひゃあああ!!!」
リアリナ・シャルルド・グレイ「く、首! 私の首!!」
テオフィル・ベフトン「リアリナ様? どうかなされましたか?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「い、生きてる?」
テオフィル・ベフトン「ははっ。 まだ夢を見ていらっしゃるんですか」
テオフィル・ベフトン「私はテオ。 あなたの従者ではありませんか」
テオフィル・ベフトン「あ、口元にクッキーの欠片が──」
リアリナ・シャルルド・グレイ「食べちゃダメ!!」
  言うのが遅かったか
  すでにクッキーの欠片は、テオの口の中だった
テオフィル・ベフトン「・・・大変失礼いたしました」
リアリナ・シャルルド・グレイ「!?!?!?」
リアリナ・シャルルド・グレイ「この会話、さっきもしたわ」
テオフィル・ベフトン「さきほど? と申されますと?」
リアリナ・シャルルド・グレイ(このあと、スタンが来るのよ)
「リアリナー!」
テオフィル・ベフトン「スタン様!」
スタンスラス・ブラン・エレオノール「リアリナ、ここにいたのか」
リアリナ・シャルルド・グレイ(やっぱりぃいい!!!!)
リアリナ・シャルルド・グレイ(夢じゃない。 これは死んでループしたってこと!?)
リアリナ・シャルルド・グレイ(どうしよう、)
リアリナ・シャルルド・グレイ(スローライフが目前なのに、死亡エンドを回避しないと先に進めないじゃない!)

〇黒

次のエピソード:第2話 「リアリナ様。抱きつかれたら、その…」

コメント

  • わぁー!!✨立ち絵とストーリーとボイスと凄く素敵ですー!!✨🥰💖悪役令嬢もの好きなので、ワクワクしながら続きも楽しみたいと思います✨🥰

    テオはリアリナのこと好きなんですかね?甘い感じですが、真意が気になるところです✨そして、今後の展開も楽しみにしてますー!!✨☺️

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