三四月(脚本)
〇噴水広場
カンゾウ「ない、パスで」
ってしちゃった。
一つ、ものを選んで、
ものボケじゃないけど
それ使って、
『こと』にして言ってみる。
細々したフィギュア、
白いのが棚置きされて
カンゾウ(あ、これいいかな)
と思って取ると、
ララバイマンじゃん。
ララバイマン「ララバイバ~イ」
耳だと思ったのが触覚で、
ウサギ耳、ウサギ探して・・・
あれば「内なる」って言って
鳩尾辺りに寄せて言おうと思って、
一回その場から離れて戻ってきて、
「どう?」って問われて、
パスしちゃった。あー。
その後、かまえる君が意気揚々と、
かまえる君「じゃあ僕がやりますよーっ」
て、スベってたけど、
やるだけいいよな。
もう自分はウサギでイメージして
それ以外思いつかなくって、
結構長い時間使っちゃった挙句、
もう、ないってことなのかな、
内にウサギが。
だから、ララバイバ~イでいいのか。
アンでポンする必要もなく。
綺麗な星になってればいい。
不吉じゃない、
名も37でなくていい。
キラキラ星でいい。
5、6人くらいでその、
物使って答えるのして
かまえる君が答えたときは
随分広々した円形広場で、
舗装された、目立つものもない。
ああ、そこに描くのは、
君の好きだった苺にしようか。
15、一五星。いいかな?
〇噴水広場
カンゾウ(・・・本当に好きだったよ)
カンゾウ(嘘じゃない)
カンゾウ(でも残念、無念だけど)
カンゾウ(素敵なだけじゃないけど)
カンゾウ(思い出をありがとう)
カンゾウ(さよなら)
〇けばけばしい部屋
未夏「何で好きになったの?」
いい子だから
未夏「いい子じゃないよ・・・」
〇噴水広場
ララバイバ~イ
(´・ω・`)ノシ
空に きらめきと苺と
ウサギとトラちゃんに囲まれた
顔文字 手を振って
俺はもう君とは会えないけど
本当に未夏さんの幸いを願ってるよ
グッドバイ サンキュー
ララバイマン「ありがとうね」
〇仮想空間
未夏「話しておきたいことがあります」
女性アナウンサーの様相で
アケビ色のスカートをはいて、
窓から身をのぞかせて
〇けばけばしい部屋
──夢の話をして、
『即死室』っていう縁起でもない
ところに未夏さんが囚われて
自分は、黒猫に先導されて
その場所へと向かっていく──
心配になって、
現実に会いにいったことあったけど
心配してくれてありがとう。
現実と夢の区別気を付けて!
とか、
裸で四つん這いになってる未夏さんを
後ろから見る夢を見て・・・
未夏「えっちっ」
って言われたり、やりとりしたっけ。
〇モヤモヤ
結局、
闇の底の深いところから救えなかった。
〇けばけばしい部屋
未夏「・・・それがね」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
未夏「あなたが集めて集めてくれた」
未夏「星のあまりの多さときらめきで」
未夏「快挙なんだよ」
〇拷問部屋
未夏「閉じ込められて」
〇宇宙空間
未夏「不吉な死兆星で始まった」
未夏「あなたとの関わりは」
未夏「終わりには、見て」
〇けばけばしい部屋
未夏「いっぱい出た」
未夏「ジュース一口分くらい」
〇けばけばしい部屋
──横寝で向き合って、
ジーッと目を見て見つめ合って、
未夏さんがそらして、
カンゾウ「逃げないでっ」
未夏「見つめ合うの苦手」
なんて、したっけね。
〇けばけばしい部屋
未夏「思い出してくれて、ありがとう」
未夏「未夏のこと見てくれて、ありがとう」
未夏「心配してくれて、ありがとう」
〇けばけばしい部屋
でも、
我慢できなくなったら言ってねw
〇けばけばしい部屋
──告白して返事なくて、
ああ、駄目かと思って間空いて
その後、お店行ったら、
未夏「もう来ないかと思った」
って安心して、
考えてくれた・・・
〇けばけばしい部屋
カンゾウ「生活で身も心も」
カンゾウ「カサカサだよ」
カンゾウ「あー潤うわー」
って、未夏さんの手をとって
自分の手のひらと甲にあてがったら
未夏「こんなんでよければ」
って、湿った手を未夏さんからも
ペタペタ当てて、潤わせてくれたり。
〇けばけばしい部屋
未夏「楽しかったのは嘘じゃないよ」
カンゾウ「わかってるよ」
未夏「未夏のことはもう忘れて 新しい世界に」
未夏「いってらっしゃい」
未夏「何でためらったの?最後ハグ」
カンゾウ「いや、いいのかなと思って」
ハグぎゅーっ
こんなにしっくりくる、
満たされる、フィットする
おあつらえ向きのって感じた
ムチッとしたあったかい・・・
〇けばけばしい部屋
カンゾウ「脚冷えた?大丈夫?」
未夏「大丈夫だよ」
カンゾウ「うん、来てよかったよ」
カンゾウ「未夏さんに会えてよかった」
未夏「私も」
カンゾウ「うん」
カンゾウ「じゃあね」
カンゾウ「忘れないけど、諦めるよ」
〇仮想空間
輪を切った
(真っ二つに) わーかれた
黒猫「言いたいことは?」
カンゾウ「全部言ったよっ」
カンゾウ「感謝します」
カンゾウ「おやすみ」
窓閉じて。すやぁ
心置きなく終われました
〇地下室
覚醒させようとしている?
・・・けて
・・・化けて
え?
行っちゃいけないって
わかってるのに、
それでも体がそちらに
向いて行ってしまう。
(迷宮内)
もう髑髏の怪物と化してしまってる
そこに彼女の顔があって
(怪物の脇に)
ピク、と鋭い手先の
カニのハサミ型の
(突き刺す)爪がこちらを狙ってる。
もう怪物は瀕死で、
近づかせて
反撃しようとしてるのもわかってる。
それでも・・・
──そこで声が聞こえて、
彼女の僅かな意識が、
怪物「妄執を断って」
怪物「断たせるために、自分を切って」
未夏さん バイバイ
苦しく楽しい思い出をありがとう
さようなら