〇ファンタジーの学園
　　今でも夢に見る
ビルデ「はああ」
ビルデ「誰も俺とパーティーを組んでくれない」
ビルデ「このままだと試験受けられない」
ビルデ「まあ、そうだよな 俺みたいな劣等生誰も誘ってくれないよな」
レイド「そこのお前」
ビルデ「うお」
ビルデ「あっ、レイド君」
ビルデ（優等生のレイド君が俺に話しかけてきた？）
　　当時は天と地ぐらいの実力差がある
　　レイドが話しかけてくれただけで嬉しかった
レイド「お前、パーティー組んでないんだろ？」
ビルデ「あ、うん」
レイド「俺のパーティーに入らないか？」
ビルデ「えっ!?嘘だろ!?」
レイド「ちょうど欠員が出たんだけどさ」
レイド「人探すのが面倒で、この際だから 暇そうなやつに声かけた」
ビルデ「そうか」
レイド「で、どうなんだ？パーティーに入んのか？」
ビルデ「もちろん、入るよ！」
ビルデ（千載一遇のチャンスだ）
レイド「そうか、じゃあ、明日出発な」
ビルデ「でも、俺劣等生だけど？」
レイド「はあ？ 優等生の俺が居るんだから関係ねえよ」
ビルデ「あ、うん」
レイド「お前は冒険者になれたようなもんだ」
ビルデ（さすが、将来を期待される優等生だな）
ビルデ（俺に足りないのは何なんだろう）

〇洞窟の深部
Ｃ級モンスター「グガアアア！」
ビルデ「でやあああ！」
ビルデ「よし！レイド君、トドメを！」
レイド「ああ！」
Ｃ級モンスター「ぎゃあああ」
レイド「倒せたな！」
ビルデ「うん！」
ビルデ「さすが、レイド君！」
レイド「お前もなかなかやるじゃないか」
ビルデ「あっ」
レイド「どうかしたか？」
ビルデ「武器が壊れちゃったんだ」
ビルデ「やっぱ安物はダメだね」
レイド「これ使え」
ビルデ「えっ!?いいの？」
レイド「予備だからいいぞ」
ビルデ「ありがとう！」
　　正直、あの頃は楽しかった

〇ファンタジーの学園
レイド「無事に冒険者になれたな」
ビルデ「そうだね！」
レイド「このまま冒険しようと思うんだが お前も来るか？」
ビルデ「えっ？いいの？」
レイド「新しいメンバー探すのも めんどくせえからな」
ビルデ「ついてくよ！」
　　おそらく若かったんだろう
　　レイドといれば怖いものなんてないと思えた

〇荒廃した市街地
　　相性が良かったのかは分からない
　　最初の頃は上手くいっていた

〇密林の中
　　でも、どこからおかしくなったのだろうか
　　成功が重なれば重なるほど歯車が狂い始めた

〇荒地
レイド「ビルデ！ ちゃんと戦え！」
パーティーメンバー「初期メンバーなのに、使えねえな」
ビルデ「ごめん」
　　優秀な仲間が増え始めると
　　俺の居場所は無くなっていった
ビルデ「はああ」
　　誰が悪い？
　　そんなの決まってる
　　強くなれなかった俺が悪いんだ

〇山並み
ビルデ「くそ！これから、どうしたらいいんだ」
　　それから、俺はパーティーを追い出され
　　途方に暮れていた
　　行く当てもなく、ただ彷徨っていた

〇坑道
　　レイドから貰った金もなくなり
　　盗掘しかすることがなくなった
　　攻略されたダンジョンに入り
　　いつものように盗掘をしようとしていた
ビルデ「あんた！大丈夫か!?」
冒険者「・・・・・・」
　　どうやら、運悪く罠にハマり
　　全滅したパーティーと遭遇した
　　助けようとした時には
　　すでに全員事切れていた
ビルデ「すまん」
　　悪いと思いつつも
　　金目のものを漁り、奥へと突き進んだ

〇洞窟の深部
　　そこで俺は人生を変えるものを手に入れる
ビルデ「宝だ！」
ビルデ「これはレアモノだぞ！」
　　それが”グレガラダス”との出会いだった

〇薄暗い谷底
　　それからの俺はまさに敵なしだった
　　仲間は増え、名声は上がり
　　流星の如く現れたヒーローのように扱われた
　　あの惨めな自分からの脱却
　　レイドの栄光からの凋落
　　そして、手に入れた地位と財産
　　全てを手に入れたはずだった
　　なぜか、不思議と心は満たされなかった

〇戦地の陣営
ビルデ「・・・・・・」
カタリナ「どうかした？」
ビルデ「いや、何でもない」
カタリナ「しばらく、ここで休みましょう」
ビルデ「ああ」

〇原っぱ
エイリ「２人には悪いんだけど 体調悪いから一回ブレムに戻っていい？」
レイド「大丈夫なのか!?」
レセ「そうだ、医者に診てもらうか？」
エイリ「宿でしばらく休めばどうにかなると思う」
レイド「そうか、本人が言うならそうしよう」
レセ「何かあれば言えよ」
エイリ「ありがとう」

〇可愛らしいホテルの一室
レセ「本当に大丈夫なのか？」
レセ「いつもみたいに元気ないぞ」
エイリ「うん」
エイリ「グレーシアに行くのが怖いの」
レセ「向こうの異世界人に会うんだろ？」
エイリ「もし、自分の思い描いていた想像と 違っていたら急に怖くなった」
レセ「エイリ、、、」
エイリ「ねえ、ちょっとだけ胸貸して」
レセ「ああ」
エイリ「ありがとう」

〇岩山の崖
冒険者B「何だ!?何か来る！」
冒険者A「何だ!?」

〇空
S級モンスター「・・・・・・」

〇岩山の崖
冒険者B「なんかくる！」
冒険者B「うわあああ!!」
冒険者B「これは、Ｓ級モンスターだ」

〇結婚式場前の広場
冒険者Ｃ「だ、誰か！」
町人A「どうかしたのか!?姉ちゃん」
冒険者Ｃ「こっちに向かって Ｓ級モンスターが向かってる！」
冒険者Ｃ「私以外の仲間は皆んなやられたわ」
町人A「なんだと!?」

〇結婚式場前の広場
町人A「町長どうしましょう！」
町人A「この町にいくら結界があるかといって Ｓ級モンスター相手じゃ太刀打ちできない！」
町長「町民と旅人の方たちに 避難の準備を呼びかけるんだ」
町長「準備が出来次第、護衛をつけて避難を！」
町長「あと軍の砦に援軍要請を頼んだ！」
町人B「わかりました！」
町人A「くそ！人手が圧倒的に足りない！」
町長「確か、まだ近くにビルデ殿が 休んでいたはずだ」
町長「この際だから、あの方にも頼もう」
町人A「今すぐ頼んできます！」
町長「街の兵士だけでは足りない！ 避難の際に護衛がいなくなる！」
レイド「すみません！」
町長「あなたは!?」
レイド「私は冒険者のレイド・ルーツバと申します」
町長「レイド・ルーツバ、、、 どこかで聞いたような名前」
レイド「それよりも、そのＳ級モンスターの足止めを 私にさせてください」
町長「何だって!?」

〇戦地の陣営
ビルデ「Ｓ級モンスターが接近しているだと!?」
町人A「ビルデ様！どうかお願いします！」
町人A「軍の援軍が来るまでに時間がかかります！」
町人A「このままでは町が消滅してしまいます」
ビルデ（ちっ、こんなときに限って グレガラダスが使い物にならん）
ビルデ（それに、Ｓ級モンスターなんて 軍隊との共闘で一回倒しただけだぞ！）
ビルデ（今のメンバーだけでは せいぜいA級２体が限界だ）
ビルデ「すまないが、今の俺には そんな余力は残っていない」
町人A「そんなあぁ」

〇可愛らしいホテルの一室
レイド「この町にＳ級モンスターが 接近しているらしい」
レセ「そんな！ Ｓ級なんて、滅多に出ないやつじゃないですか！」
エイリ「確か一体で町を壊滅できるレベルだよね」
レイド「その通りだ」
レイド「救いなのは動きがそこまで速くないことだ」
レイド「私が食い止めるから君たちは逃げるんだ」
レセ「死ぬ気ですか!?」
エイリ「そうだよ」
レイド「大丈夫、時間稼ぎだ」
レイド「援軍が来るまで持ち堪えて見せる」
レセ（グレン、、、）
エイリ「そんなのやだ」
エイリ「せっかく、一緒に ここまで来た仲間じゃない！」
レイド「だったら、ここで契約終了だ」
レイド「グレーシアまで案内できなくてすまない」
エイリ「ちょっと勝手に！僕は許さないよ！」
レセ「エイリ」
レイド「じゃあ、レセ君 エイリを頼んだよ」
エイリ「ちょっと！」
レセ「俺はどうしたらいい」

〇原っぱ
お供A「ビルデさん、すみません！」
お供B「自分たち、 ここでおさらばさせてもらいます！」
お供A「今なら、まだブレムの避難に入れてもらえそうなので！」
お供B「お世話になりました！」
ビルデ「ちくしょう！あいつら！」
カタリナ「アタシたちはどうする？」
ビルデ「とりあえずグレーシアに向けて逃げるか」
リユ「馬車の御者役も逃げちゃいましたね」
カタリナ「仕方ないからアタシがやってあげる！」
リユ「カタリナさん！そんなことできるんですか!?」
カタリナ「まあね」
ビルデ（なんだ、この状況、嫌な予感する）

〇城壁
魔女「今さら逃げ出そうとしても遅い」
魔女「これで、歌姫のエイリも終わりだ」
魔女「これで大陸は大混乱だ！」