三三月(脚本)
〇サイバー空間
あってやるといい
(まって、なって?)
20年もの間待っていた
記念の曲・・・
「・・・・・・」
吹き出し形の
1つしかない選択肢を選んで──
亡きものにしたつもりだろうけど
そうはいかない
一矢も二矢も報いて候
策謀でショベルカーに轢かせた?
悪徳イケメンリーダーさん
よみ、奏でられるんだよ
どんなに踏みにじられようが
なじられようが
亡きものなんてならない
歌は歌われる
まがりなりにもさ
そこかしこに吹き出しは浮かぶ
さながらそれが一つの魂のように
たとえ本人がなくなされても
発せられた声は不滅だ
「寝耳に水を注ぎましょう」
「いちご大福」
敵「何を言っている?」
「いちごいちえの、おん、思い出を」
「悲しみに臥すだけで 終わらせてたまるか」
「ストロベリーは草の母」
「綿帽子は春の訪れ」
「たあぷぽぽ たあぷぽぽ」
「ふどう ふどう」
「さぁ到来だ」
〇川沿いの公園
未夏「ふしぎファンタジーの新作だけど」
未夏「思ってたように楽しめない」
って、俺のせいで?ごめんね。
(未夏さん。
純粋にはそれは無理だろうけどさ)
そのまま別れ際、
透明パック渡されて
何これ、綿棒?
が、いっぱい入ってる。
開けて中探ってその中に
何か別のもの入ってたりしないかな
と、してると、綿棒が、チュロス?
捩れた棒菓子になって
何これ手作り?
お別れでこんなの渡されて、
彼氏にでも作って、
余り物とかなのかしらん
どうしようもないな。
(外で、割と開けた周囲、
話してるときはブロック形の壁の脇で)
チュロスは地味というか
蒸しパンみたい
(ふにゃっとしてる)
色味もイ草っぽい色──
捩れた甘ーいチュロスをお食べ・・・
(綿棒で耳掃除して、
声聞いたら、甘いお菓子になる?)
しんせい(は?)ばしょがない
でも楽しそうだ
〇清潔な浴室
堀内さんと二人でお風呂に入って、
体洗ってて、
自分がボディソープ洗い流そうとして
ちょっと前屈み気味の姿勢から
体を起こすとき、
もう目の前が堀内さんで、
浴室の隅に体寄せて
ちょうどこっちの顔の位置が
堀内さんの股間の位置で、
そんなまじまじ見ていいわけないから
焦点合わせず(うっすら見えたけど)
体起こして、シャワーとって
流そうってときに、
堀内さん待ってる雰囲気に気づいて、
何でこんなシチュエーションに
なってるかしんないけど、
そりゃ早く済ませて出たいよな。
カンゾウ「あ、すみません 待ってくれてるんですよね」
先にシャワー浴びてもらおうと
話をすると、
堀内花子「あ、いいですよー」
って言いながら立ち位置替えて
浴室の中央側に来て、
堀内花子「私、荒らされちゃったんですよー」
カンゾウ「え、自分ちのパソコンをですか?」
カンゾウ「そんなことあるんですね、実際・・・」
カンゾウ(データ抜かれたりしたのかな)
あんまり聞いていいのか、
プライベートのことだからな。
それを話すとき、チラチラ正面
向かい合ってるから胸も視界に入るし
(割とふくよかな)
背けるわけにもいかんし・・・
あと顔が別人というか、
髪をまとめ気味にしてるからか
ちょっとカバ顔?
整ってるんだけど。
その堀内さんの背後向こう、
更衣室との出入り口開いてて、
板間に別の女性が入ってきて
身を低めて、微笑み顔で。
カンゾウ(次入るのかな)
隅に身を寄せてるとき、
やっぱり警戒してちょっと引いた空気で
そりゃ無防備でタオルも巻いてないし、
そうなるよな。
どうしたらいいんだろうって、
手出していいわけもないよなぁ。
(浴室は一人用じゃない広さで、
浴槽も3、4人は一緒に入れる位。
壁、床面は水色のタイル張り)
その打ち明け話が何となく
未夏さんを想起して、
後から入ってこようかって
女性の格好、
デニムの裾折り返したショートパンツに
デニールの濃いタイツ合わせて、
上は黒とグレーの幅広の
横縞柄の薄手のセーターで、
肌の露出がなくって、
それも合わせて思うかな。
女性(ぼくを、ぼくをだ)
女性(洗い流せるならそうすればいい)
女性(いいよ、いいよ)
〇黒
プレイヤーがジャンプして、
階段上の姫の元へ
着こうかというところ。
背景は真っ黒で、
プレイヤーの目に映る姫?
姫の目に映るプレイヤー?
の目の中の目の中の──
と、無限に入っていく
目の中の・・・
ウェディングでも
エンディングでも
(未夏にとって)
バッドでないなら
いいから、エンドしよう。