紅キ宝石

えたーなる

エピソード3(脚本)

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〇貴族の応接間
  お嬢様は、突然手を4回叩く。すると、何処からともなく黒い霧が集まり、その霧から【犬】のような生き物が姿を現した。
ボブ「お呼びでしょうかボブ?‥お嬢様」
スレー「お嬢様‥お呼びでしょうかスレ?」
  【犬】と呼ぶにはあまりにも大きく、そしてなにより不可思議なことは、2足で立っていることである。
アドルフ「・・・」
ルノ・ヴァレン・リスターナ&お嬢様「ええ‥。用があるから呼んだのよ」
ルノ・ヴァレン・リスターナ&お嬢様「この人間はアドルフ。まだ来たばかりで屋敷のことは全くわからないの。 だからお前達が連れて案内をしてほしいの」
ボブ「かしこまりましたボブ」
スレー「かしこまりましたスレ」
ルノ・ヴァレン・リスターナ&お嬢様「頼んだわよ、【ボブ】、【スレー】。私はこれから忙しいから、アドルフの案内が済んだら、あとは自由にして構わないわ」
  ボブとスレーはお嬢様に一礼すると、アドルフに向かって言葉を発した。
ボブ「‥人間‥ついて来い‥」
スレー「‥いくぞ‥人間‥」
アドルフ「‥はい‥」
  ボブとスレーとアドルフは、お嬢様の部屋から退室する。
  そして、部屋を出ると長い廊下を黙って歩きだす。
  お嬢様の部屋から遠く離れたところまできた辺りで、ボブとスレーが歩みを止めた。
アドルフ「・・・?」
  アドルフも歩みを止めた。アドルフは状況を把握出来ずに、少し前を歩いていた2匹?‥を見つめる。
  そして、2匹?は突然アドルフの方へ振り向き、お嬢様に見せていた穏やかな表情とは売って変わり、禍々しい表情を見せた。
ボブ「おい‥人間。俺様はお嬢様の第一使い魔の【ボブ】様だ。貴様の案内という大役をお嬢様から仰せつかったボブ」
ボブ「有り難く思えボブ」
スレー「俺様はお嬢様の第一使い魔よりももっと偉い使い魔の【スレー】様だスレ。 『跪け‥。頭を垂れろ。』と言いたいところだが‥」
ボブ「・・・おい」
スレー「・・・?」
ボブ「いつからお前が俺様よりも偉くなったんだボブ?」
スレー「俺様も問うが‥。何故、お前が一番だと思うんだスレ?」
ボブ「それがわからないようでは、やはりお前は俺様より下ボブ」
スレー「‥べ、別に‥わからないわけではないスレっ!ただ、お前の口から直に聞きたいのだスレ」
  スレは持ち前の演技力?で分かってる風を装い、ボブを上手く誘導する。
ボブ「すばり【名前】‥ボブ」
スレー「・・・【名前】スレ?」
ボブ「お嬢様は必ず俺様の名前を先に呼ぶボブ!」
ボブ「先に呼ぶと言うことは、俺様の方がお前より上ということボブ!」
  ボブは優越感に浸りながら自慢気に話す。
スレー「・・・ないスレ」
ボブ「‥何ボブ?」
スレー「納得いかないスレ!!それは全く関係ないスレ!!ただのお前の思い込みスレ」
ボブ「っ!?そんなことないボブ!!」
ボブ「なら、お前が上だというのかボブ?」
スレー「その通りスレ。‥その証拠が‥ コレだスレ!!」
ボブ「‥それ‥は‥。俺様達のご飯の器ボブ。それが何だと言うんだボブ」
スレー「【紫色】だスレ」
ボブ「・・・【紫】」
ボブ「はっ!?」
スレー「馬鹿なお前でも気づかないわけなかろう。 そう‥この器はお嬢様の美しい髪色と同じスレ!」
スレー「つまり、この器はお嬢様なのだ。お嬢様と俺様は常に一緒なのだ。したがって、俺様の方がお前よりも上だということだスレ」
ボブ「・・・それこそ勘違いだボブ!‥馬鹿もここまでくると清々しく思えるボブ」
スレー「なんとでも言えばいいスレ。俺様が上に変わりはないスレ」
ボブ「フゥゥゥ‥」
スレー「フゥゥゥ‥」
  最早アドルフのことなど眼中にない2匹。
  勿論アドルフに仲裁などできるはずもないのだが、一言だけ口にする。
アドルフ「あ‥もう‥その辺りで‥」
ボブ「貴様は黙っていろボブ!!」
スレー「貴様は口を挟むなスレ!!」
  2匹のあまりの形相に、アドルフは思わずたじろぎ後退りしてしまう。
  『‥なにをしている?‥案内はどうしたの?』
  頭に直接響いてくる声。身も凍るような声音が1人と2匹を震え上がらせた‥。
  そう・・・。声の主は勿論。
ボブ「も、申し訳ございませんボブ!!直ぐに案内を!」
スレー「も、申し訳ございませんスレ!こいつが!!」
ボブ「はあ!?」
スレー「ぁあ!?」
  お嬢様『・・・。どうやら食事はいらないようね‥。』
ボブ「ぇ!?」
スレー「ぅ!?」
ボブ「お嬢様!!どうかそれだけはスレ!!!! ほ、ほら!いくぞ人間!!」
スレー「お許しくださいスレ!!お嬢様!!!! は、早くいくぞ人間!!」
アドルフ「・・・はい」
  このときアドルフの目に2匹のやり取りがどう映って見えたのかは‥
  アドルフにしかわからない‥。

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