第二話「劇的な状況」 (脚本)
〇海辺
「贄を、贄を、贄を、贄を」
キララ「な、何なのよ、こいつら!?」
クロロ「さぁね」
クロロ「でも、とても正気には見えない・・・」
ライゾウ「俺たちにかけられた『呪い』に関係してるってんですか?」
クロロ「その可能性が高いね」
クロロ「手に刻まれた紋様の変化」
クロロ「気絶した女の子」
クロロ「妙な男たち」
クロロ「同時に起こった『劇的な現象』」
クロロ「関係がないとは思えないよ」
キララ「小難しい話は後にしましょう、クロロ。 とにかく今は」
キララ「このクソッたれな状況を切り抜ける! まずはそれだけを考えるべきよ!」
キララ「とにかくみんなで逃げるわよ!」
ケイ「了解っす!」
ライゾウ「んで、どうやって逃げるんですか?」
ライゾウ「俺たちパーカー集団に取り囲まれてますけど」
キララ「それは・・・」
「・・・」
「・・・」
キララ「・・・」
キララ「万策尽きたわね」
ライゾウ「早すぎィ!」
ライゾウ「早すぎますよ、先輩!?」
ライゾウ「諦めないでください! もっとしっかりあがきましょうよ!」
キララ「じゃ、どうすんのよ!?」
キララ「20人の変質者たちに囲まれて どうやって逃げるってのよ!」
ケイ「いや先輩!ここは俺に任せてください!」
キララ「ケ、ケイ!?」
キララ「何かいい案があるの!?」
ケイ「はい!まず俺が服を脱ぎます!」
キララ「ふ、服を!?」
ケイ「そう! そして俺の筋肉を見せつけます!」
キララ「き、筋肉を!?」
ケイ「そうです!」
〇海辺
そしたら連中
俺の肉体美に目を奪われると思うので
その隙に逃げましょう!
〇海辺
キララ「なるほど名案ね!」
キララ「ってバカ!!」
キララ「上手くいく訳ないでしょ そんなアホな作戦!」
ケイ「い、いやしかし!」
ライゾウ「どきな、ケイ!」
ケイ「な、何しやがる、ライ!」
ライゾウ「ここは俺に任せろ!」
ライゾウ「俺に必勝の策がある!」
キララ「ライゾウ!?あんたやれるの!?」
ライゾウ「もちろんです!」
ライゾウ「まず俺が一発芸を見せます!」
キララ「い、一発芸を!?」
ライゾウ「はい!」
ライゾウ「クラスメイトを2時間 笑い転げさせた伝説のギャグ」
ライゾウ「『乳首ドーン!』で行きます!」
キララ「ち、乳首ドーン!?」
ライゾウ「『乳首ドーン!』です!」
ライゾウ「そしたらもう連中立ってられないと思うのでその隙に逃げましょう!」
キララ「なるほどそれで行きましょう!」
キララ「って行けるかバカ!」
キララ「一発ギャグ如きでそんな事態になるわけないでしょ!」
ケイ「いや、待ってください先輩!」
キララ「何よ!?」
ケイ「俺が2時間笑い続けた『乳首ドーン!』 ならいけるかもしれません」
キララ「笑ってたのあんたかい!」
キララ「よけい信憑性が下がったわ!」
「贄を贄を贄を贄を贄を」
キララ「!?」
キララ「ヤ、ヤッバイ」
キララ「アホな事で騒いでる場合じゃないかった」
キララ「ちょ、ちょっとクロロ」
キララ「あんた、なんかいい考えないの!?」
クロロ「・・・」
クロロ「呪いだ」
キララ「はぁ?呪い?」
クロロ「気付かないのかい、みんな?」
ライゾウ「な、何にっすか?」
クロロ「右手の呪いの紋様が―」
クロロ「まだ反応し続けている!」
「!!」
ケイ「つ、つまり!?」
クロロ「劇的な状況が!」
クロロ「これからまだ起こり続けるってことだ!」
キララ「んな!?」
???「・・・」
ライゾウ「う、海から」
ケイ「覆面した変態が・・・」
???「・・・」
???「シャアアッ!!」
「贄を、贄を、に──」
???「フッ!」
???「・・・」
???「行け! 逃げろ!」
「ッ!?」
ライゾウ「せ、先輩!?」
クロロ「・・・」
クロロ「行こう、皆」
クロロ「何はともあれ 今しかチャンスはない!」
キララ「よっし!」
キララ「ケイ、あんたは自慢の筋肉で 倒れてる女の子を背負いなさい!」
ケイ「が、がってんだ!」
キララ「ライゾウはケイの援護!」
ライゾウ「しょ、承知!」
キララ「クロロは私と一緒に最前線!」
クロロ「まあ、そうなるね」
キララ「連中を蹴散らしてでも進むわよ!」
キララ「あんた、怖いなら下がってなさい!」
クロロ「遠慮しておくよ キララの後ろにいる方がハラハラしてずっと怖いからね」
キララ「ドキドキじゃなくて?」
クロロ「・・・」
クロロ「はぁああああああ~」
キララ「ため息おんも!?」
???「ま、待て!」
???「悪い事は言わない! その女の子は置いていけ!」
ケイ「って言ってますけど?」
キララ「変態が20人もいる砂浜に女の子1人置いていけるわけないでしょ?」
クロロ「そうだね」
クロロ「それに・・・」
キララ「?」
クロロ「いや」
クロロ「とにかく今はこの状況を切り抜けよう!」
クロロ「皆行くぞ!」
「了解!」
???「ま、待て!」
「贄を、贄を贄を贄を贄を」
???「グッ!」
???「コ・・・」
???「コロナァッ!!」
〇林道
〇山中の坂道
〇海岸線の道路
ケイ「はぁ!はぁ!はぁ!」
ケイ「先輩!それでどこまで逃げるんですか!?」
クロロ「とにかく遠く!」
キララ「文句言わずに走りなさい!」
クロロ「あーいや!」
クロロ「そこに交番がある!」
ライゾウ「やった!」
ケイ「取り合えずそこに入りましょう!」
〇交番の中
キララ「し、失礼します!」
クロロ「すみません!助けてください!」
警官「あれ~」
警官「どうかしましたぁ?」
ケイ「先ほど変態パーカー集団20人ぐらいに襲われまして!」
ライゾウ「そのあと変態ふくめん男も現れて 今、浜辺が変態パニックなんです!」
ライゾウ「なんとかしてください!」
警官「はえ~」
警官「そりゃ大変ですねぇ」
警官「ちょっと応援呼ぶので待っててくださいねぇ」
「あっ、はい・・・」
「・・・」
キララ「ふぅ~」
キララ「取り合えず一段落って感じね」
クロロ「・・・」
クロロ「いや」
クロロ「そうでもないらしい」
キララ「えっ、どういう意味よ、クロロ」
クロロ「スマホの画面を見ろ、キララ」
キララ「スマホ?」
キララ「別に普段通りだけど」
クロロ「電波」
キララ「ん?」
クロロ「ここ電波が通じてない」
キララ「はぁ!?」
キララ「令和の時代に電波が通ってない!?」
キララ「ありえないでしょ、そんなの!」
キララ「てか、朝は普通に通じてたじゃない!」
クロロ「そうだね」
クロロ「つまりこれは突然の電波障害か」
クロロ「もしくは」
クロロ「妨害電波が飛んでるって訳だ」
キララ「んな、漫画かアニメじゃあるまい・・・」
キララ「い、今、右手の紋様が・・・」
ライゾウ「・・・」
ライゾウ「なんか電話長くないっすか?」
ライゾウ「ちょっと俺、様子を見て来ます」
クロロ「ラ、ライゾウ君!」
ライゾウ「大丈夫です!気を付けますんで!」
〇薄暗い廊下
警官「──────」
ライゾウ「・・・」
ライゾウ「あの~」
ライゾウ「すんませーん?」
警官「──────」
警官「贄を贄を贄を贄を贄を贄を」
ライゾウ「!?」
ライゾウ「やっべ!」
〇交番の中
ライゾウ「せ、先輩ダメっす!ここ、変態交番です!」
ライゾウ「変態巡査部長が 変態仲間にコールかけてました!!」
クロロ「そんなこったろうと思ったよ!」
クロロ「皆、ここはダメだ! 今すぐ逃げよう!」
ケイ「で、でもどこに逃げるんすか!?」
ケイ「交番もダメってもう詰んでないっすか!?」
クロロ「取り合えず隠れられそうなどっかだよ!」
クロロ「急げ!!」
ケイ「あ~もう!」
警官「贄を贄を贄を贄を!」
キララ「うっざい!邪魔すんな!」
警官「タマァッ!?」
「ひえっ!?」
キララ「行くわよ!」
ライゾウ「なぁケイ」
ケイ「ああライゾウ」
ライゾウ「あの人だけは怒らせないようにしような」
ケイ「うん」
クロロ「僕は昔からずっとそう思ってるよ」
ライゾウ「キララ先輩とずっと一緒かぁ」
ケイ「クロロ先輩かわいそう・・・」
クロロ「いや、あれで以外とカワイイ所も」
キララ「何してんの!? あんたら全員置いてくわよ!!」
クロロ「おっと、行くぞ二人とも!」
「りょ、了解!」
「に、贄を、贄を・・・ニエを・・・」
警官「カエセエエエエエエエエエエエエエッ!!」
To be continued