三一月(脚本)
〇河川敷
外ブラブラ散歩してて、
広い川に影が映って、
大きい影が北海道の形になって
カンゾウ(何のしるしだ)
カンゾウ(あれ、栃木?)
形が曖昧になって、
と思ったら、
やっぱり北海道になって
浅い川で夏は膝下くらいしか
浸からないから
ちょうどよくて、歩いたりできて
カンゾウ(今は寒いよな)
って思ってると
高校生が制服で歩いてて
カンゾウ(下校中?)
カンゾウ(卒業式だったら 濡れてもいいってなるけどな)
って、橋渡りつつ下見て思って、
渡ったところ、
左手に肉まん屋さんあって
女子高生二人組のうちの一人が
女子高生「おいしそーっ」
て、ほんとに食べたそうに言うんで
じゃあ買おうってなって、
200円で、大きさは小さくて
小籠包くらいで、食べると
女子高生「おいしいー」
食べたいって子も、もう一人の子も
女子高生「どれどれ あーおいしいねっ」
て、モグモグして。
カンゾウ「みづきは?」
信濃みづき「雪の里にしよ」
カンゾウ「雪の里?」
信濃みづき「甘くておいしいの」
カンゾウ「ユキノシタは苦いし、おせんべい?」
信濃みづき「あ、そう」
カンゾウ「雪の窓かな」
信濃みづき「あー、それっ」
みづきは雪の里か。
雪女なのかな。ゆきめ。
そしたら自分は地獄の悪魔がいいな。
闇でも影でも切り裂いて、
暗闇の底から救い出すよ。
(北海道>雪の女王、北斗
栃木>苺、とちおとめ
肉まん>肉饅頭
食べておいしいもので、
悪習で首はねて捧げるもんじゃない
償いとかいらない)
〇海岸線の道路
彼女「いや、もうほんと そういうのいいんで」
彼女「勘弁して下さいよ」
彼「わかってるよ」
と言いつつ、向かう先は、
彼女「あれ、ここ ちょっと前に来たような」
彼「うるさいっ」
海岸沿い、白い建物が並んで
(ホテルとかリゾート地の雰囲気、
なだらかな坂になってて)
彼女「はー、一緒に来れてうれしいー」
彼女「でも、もうちょっと いい格好して来れなかった?」
彼「ごめんごめん」
彼「スーファン持って 写真撮れればなって思ったんだけど」
って新しい彼。
背高くてかっこいいけど
ちょっと抜けたところがある。
彼女は育ちの良さそうなギャル系かな。
自分は仲人か見届け人で、同行して。
『スーファン』は、
前に(前の彼と)撮った写真が
ファンコン(ゲーム機)を
新郎が抱えて撮ったから、
モチーフ替えて撮ったらいいかなって
とぼけた感じで言って。
(自分は声だけみたいにいて)
〇海辺の街
カンゾウ「着いたーっ」
そこはフラットな、
舗装された空きスペースで
結構広い、海岸のぞむ小高い一角で、
誓いのモニュメントがあって
(奥、海岸側の真ん中に)
カンゾウ(あ、先約いる、ちょっと待とう)
と、先約の彼の方が告白を始める。
(告白書面がバンッと出て)
中年であまり経験がなくて
冴えないけどやっと、君に出会えて
しどろもどろだけど
気持ちの伝わる・・・
カンゾウ「ちょっと待ったーっ」
カンゾウ「あの、今会ったというか 見かけたばかりだけど」
カンゾウ「好きになりました 結婚して下さいっ」
カンゾウ(って割り込もうかな)
カンゾウ(そんなの受けてくれるわけないけど)
って悪い考え起こして、
女性「はいっ」
カンゾウ「えっ」
向こうは両親も
傍にいるみたいなのに、そんな・・・
でも、告白して通るなんて、怖いね
女性「ずっとあなたが 優しく声にしてくれたから」
女性「それこそ、病めるときも 健やかなるときも」
女性「それはちゃんと聞こえてるよ」
女性「だからオッケーしたんだよ」
女性「声いいね^^」
女性「・・・この声つぶすんだよ」
カンゾウ「え?」
女性「例えば 高層から夜景を見下ろして」
女性「建物の明かりが無数に散らばっていて」
女性「それを一粒一粒、声で粒にして」
女性「粒ぞろいになって それが星座になって」
女性「星雲になって、星の川になって」
女性「・・・あなたが見せてくれるから」
かぐや姫「私は月に帰らなくてよくて」
かぐや姫「海のなみまに、なみまに みなしごにならずに」
かぐや姫「あなたといてもいいですか?」
カンゾウ「もちろん・・・」
こうしてかぐや姫は
海に映る満月のようにたゆたって
海月のようにのんきに仲むつまじく
うみのしずくになったのです
〇居酒屋の座敷席
・・・ゆうべその全てが理解できた。
寿司職人の奥さんとして
不安だったけど、
一晩過ごして
起きて板場に下りると、
竹箒持って笑顔のあなたがいて、
その姿を見て、
〇カラフルな宇宙空間
全身がアニマムンディみたいに
奥深く輝いて
奥さん「ああ、この人で 間違いないんだった」
奥さん「安心した」
奥さん「そんな異次元の佇まい してる人は他にいないし」
奥さん「そうさせてしまったのは私だけど」
カンゾウ「後悔なんてしてないよ」
カンゾウ「そうしたかったし、望み通り」
カンゾウ「相思相好みでしょ」
奥さん「いいかっこしい すき」
奥さん「だいすち」
〇アパートのダイニング
母親「手切れ金なら、いくら払ったの?」
未夏の父親「10万は最低バーンって いかなあかんやろう」
と、
イチゴのハンドクリーム
入れるようなボトル
〇けばけばしい部屋
さよなら 未夏
クズじゃないくすり
最高のイチゴ いいイチゴ
一番好きだったけど さよなら
つらいけど 思い出をありがとう
いっぱいあるけど お別れ
未夏さん さようなら
¥(´・ω・`)ノシ
〇宇宙空間
北斗七星が不吉なら
俺が南斗三星
輝かせて照らすよ
そしたら南北十星で
白鳥になって
暗い夜空も輝いて
未夏さんなら大丈夫
祈ってるよ
幸せにね
バイバイ
¥(´ω`)ノシ
グッバイ タノシカッタヨ
〇撮影スタジオ(机あり)
何を言ってるんだこいつは。
女性の次の映画がAVで、
同じようにされたら興奮するかなって
それが映像で観れて、
ビデオで保存できたらいいって
(TV放送されて録画を)
〇草原の道
──映像は舗装されていない道端
乾いた白土わきの草むらから
上半身露わの女性が
仰向けに後退りしながら出てきて、
そこに覆い被さってくる男。
これがAVなの?実録なの?
それを観るのが礼儀?喜ぶ?
何にしても虫酸が走る
被害を受けたことがある女性が
撮影、再現放送されて、
それを残すのがいいって?
〇牢獄
監獄の独房にはベッドと鉄格子
そのわきに吊された
後ろ手に拘束された人形
厚布地の縫い物で
目隠しされてたり
何の暗喩かしらん
何体かあって
懺悔施設?
それとも女性の持ち物?
〇草原の道
男は痩せ型で
バランスの悪い大きい眼鏡かけて
モサッとした髪型、色白。
蟻をしらみつぶすように
叩き殺してやろうか
〇古いアパートの一室
未夏「もう一回お願いいたしますーっ」
って、未夏さんがこっちの手首を
正面から軽く握って、
敷いてある布団中央に
来るように促してくれて
カンゾウ(ちゃんとしていいの? 仕切り直しで)
カンゾウ(すぐ終わっちゃったら嫌だな)
カンゾウ(ほんとにちゃんとしたい 未夏さんと・・・)
未夏「このときはちゃんと できなかったんだっけ」
って、二人で(映像)見直して、
カンゾウ「うん、このときは何もしてないで」
カンゾウ「からだ触れたくらいで終わって」
って振り返りつつ、
未夏さんのからだに触れる。
カンゾウ(いいの?)
って思いつつ、ちゃんと触れられる。
カンゾウ(小さくないよな)
そうしながら未夏さんの内腿が
こっちの太腿に触れて、
未夏さんの両膝ついて開いた
脚に挟まれて、初々しい感触
未夏さんの体は色白で、
ちょっと虫刺され程度に
赤いところはあるけど、
キレイな肌で、結構痩せたかな。
そして何というか屈託なくて、
わだかまりとか抱えてるものがなくて
すっきり明るい感じで、
初めて会ったとき、
初期の頃ってこんな感じだったっけ
もう忘れちゃったけど。
今こうして未夏さんが
元気でいてくれてるのがうれしい。
好きだった未夏さんだ。
カンゾウ「我慢したくないから」
カンゾウ「したいよ、しよう?」
腰下ろした未夏さんの
正面から見下ろし気味に、
右下から手を添える感触が
カンゾウ(あ、揉めちゃってるっ)
カンゾウ(いいのかな)
って思いつつ揉み揉みして
(確かな感触あって)
そうしても嫌がらないし、
何より笑顔でいてくれてるのが
もうそんなことないと思ってたから、
よかった。