ミナツキ

但馬感象

三十月(脚本)

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〇繁華な通り
  セクハラ主宰事件?
  あれはひどかったね
  って話をしながら、
  女性と歩くんだけど
  後ろからハグしながら歩くと
  その子、内心まだちょっと
  きついかなって、思ってるなって
  何となくこっちが、
  「きつい?」って聞くと
女性「あ、ううん、大丈夫っ」
  じゃあこっちにしよっか
  ってほどいて、
  左隣に並んで手を握ると
女性「あ、こっちの方が楽っ」
  じゃあこうしてよっか
  って歩いて、
  小さくてあったかくて
  ちょっと湿ってる手
  背は150後半くらいかな
  手の位置低くて、
  ショートカットで黒髪の子。
  セクハラ主宰から逃れて、
  引っ越してこっちに来たのかな。
  親御さんも苦心したみたいだけど、
  同じ県でもし見つかったら
  またって心配、ないのかな。
  セクハラ主宰の行動範囲
  リサーチしてるんだろうけど、
  「女なんて男のいいなりに
  なってればいいんだ」なんて、
  煮こごりとか茶碗蒸しすくって
  あいたところを見ながら
  思うやつがいるんだって。
  性的ハラスメントを
  未夏に被せてるのか

〇地球
  ひとのめはひとみ
  ひとみはなみだ
  なみだでみたびもどしました
  月に帰ったかぐやを残念に思って
  心残りがあって
  心に問うと、そうしたのです

〇日本庭園
  かぐやがしくしく泣いています。
  どうする?
  僕は彼女の手をとって、
  結婚しようと告げます。
  すると、かぐや姫は
かぐや姫「それでは月に」
かぐや姫「帰らなくてもいいのですね?」
  もちろんだよ
  ずっといてほしい

〇月夜
  月に影が射すと
  うさぎが消えて
  カニの鋏がつながりを
  断ち切ろうとします
  あかりには梅干しが必要なので
  壺に入れて供えて下さい
  月あかりが射し込む その道筋が
  私たちが歩むヴァージンロード
  血脈の道なのです
  ずっと僕はかぐや姫と結婚したくて
  求婚し続けて、無理難題を言われて
  それは夢の性質で、彼を試している
  その無理が通ったときに
  月の光のもとに
  土の願いがかなうのです
  月が満ちて
  ○ をつけてくれました

〇飲み屋街
  ──その前に外、
  駅前のざっくばらんな
  飲み屋街といった町並みで、
  夜なんだけどやけに明るい。
  結構人が多くて、
  あまりに明るくてみんな不安がってる。
  で、空見上げると

〇白
  全体白くて、
  その中に大きい真円の月があって
  えらくくっきりして大きくて
  すぐ近くに見える
  直視していいのかってくらい
  ありありとして

〇飲み屋街
  異様に明るい白い夜は
  昔の人なら凶のしるしって思うのかな
カンゾウ(まぁ上等ですよ)
カンゾウ((悪魔にはお似合いのいい夜ですよ))

〇ファンシーな部屋
  窓辺にベリーショートの女性と
  白毛の犬がいて、
  もう午前0時を
  まわろうかっていうところ
カンゾウ「ちょっと事情がありまして」
カンゾウ「彼女の先方さんに 応募が届くかどうかって」
カンゾウ「切羽詰まってるところもありまして そういったところも踏まえて」
カンゾウ「いや、すみません、それはまぁ そういうことがあるんだなって」
カンゾウ「知っておいてくれるくらいでいいので 自分行きますね」
  と、迎えにいって──
  ごめん、お待たせ
  刈り上げ気味の女性と犬が振り向いて、
  こっちが手を差し出して
  頬と頭をなでる。
  そのおもむく感じが二人とも似てる
  頬なでるとき目を閉じて
  そっと委ねてくれる。
  よしよし・・・
  ごめんね、待った?
  その二人と自分がいる感じが
  この上なく大事で、
  その二人には自分しかいないし、
  二人もそう思ってくれてる
  頼ってくれてる感じが伝わってきて
  頼りなげな、
  月明かり、お月見、
  窓開けてたたずんでる
  (青い夜、川沿いのアパートかな)
  ──車に乗せてもらって、
  送ってもらうの自分も一緒にいこうか。
  (外出て橋渡って)
  肛門に細い注射器というか、
  鳥の雛に餌をあげるときの、
  スポイトのようなものを仕込んでて
  それも彼女のためにやってるもので
  漏れちゃうよな、
  自分にしかできない。
  未夏さんみたいかな
  もっと華奢だけど
  (ボブカットだし、でも面影が)
  「お待たせ」って
  自分が二人の元に、
  三人でいるのが、
  やっぱりこれしか、かけがえないな
  離れたくない、
  いるよ、いるからね。

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